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任意売却とは住宅ローン返済ができない場合の解決方法

 

住宅ローンが返済できない場合の対策として「任意売却」というものがあります。しかしその意味を理解している人は多くありません。この記事では、任意売却のメリットやデメリット、どんな状況なら任意売却した方が良いのか?などについて書いています。

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住宅ローン返済ができない場合の解決方法の一つ「任意売却」

平均的な年収の家庭であれば、住宅ローンが家計の中に占める割合(=返済負担率)は「20%~30%」くらいまでが許容範囲と言われています。しかし、基本的に住宅ローンを組む時は将来の昇給を予定して考えることが多いため、予想していたほど給料が伸びない、それなのに固定金利の期間が終わって金利が上がったという要因でこの範囲を超えてしまう人が少なくないのです。

また、リストラ、ボーナスや退職金カットなども珍しいことではなくなり、「普通に定年まで勤めあげればローンは返済できるはず」という目算は立たない時代となっています。

返済計画が狂い、支払いが滞った場合に借主はどのように対処するべきなのでしょうか。その選択肢は1つではなく、銀行に相談してリスケジュール(支払い方法の見直し)を行う、任意整理や個人再生などで住宅を手放さずに債務整理する、そして物件を手放す形での任意売却や自己破産するといった方法があります。(詳しくは「住宅ローンが払えない場合の対処」を参照してください)

ここでは、住宅を処分する形の手続きである「任意売却」について詳しく見ていきます。

「任意売却」って何?

「任意売却」というのは、よく「競売」と対になる言葉として使われます。

「競売」は、債権者が裁判所に申し立てることによって国家により強制的に物件を売り、債権者に配当するシステムですが、「任意売却」は、所有者がローン返済に困窮している状態で行われるのは同じですが外形上一般的な不動産取引と変わらない方法で売ってその売却代金を配当するやり方のことです。

つまり、不動産仲介業者が間に入って広告などを行い、買主を探して普通に契約をして決済する形になるため、競売よりも高い価格で売却することができます。

よって、債権者としても手間や費用のかかる競売よりも、むしろ任意売却してほしいと要望することがしばしばあります。債務者がローン返済に困って銀行の窓口にリスケジュールの相談に行ったところ、「リスケは無理なので銀行も協力するから任意売却しましょう」と言われて不動産業者を紹介されるケースが相当数あるようです。

ただ、より高く売れるとはいっても、ほとんどの場合売却代金から諸費用を差し引いたものを債権者に配当してなお完済できないというのが前提になっています(それをどのように処理するのかは後述します)。任意売却した場合の返済イメージはこのようになります。

任意売却

どんな状況なら任意売却を検討すべき?

すぐにでも任意売却を検討すべきなのは、次のような状況の人です。

  • 銀行にリスケジュールの相談をしたが難しいと言われた。
  • 住宅ローンを支払うための収入が足りない状態が今後しばらく続きそうである。
  • 住宅ローン以外の債務がほぼない(=そちらを債務整理する余地はない)。
  • 住宅ローンの支払いができないので他から借りて返そうかと考えている。
  • すでに競売を申し立てられている。

 特に競売が始まっている人や、他から借り入れをして住宅の返済に充てようかと考えているような人は、もはや「待ったなし」の状況に置かれているといえます。

競売がすでに始まっている人でも任意売却はできますが、どちらの手続きが早いかという追いかけっこになりますのでとにかく急がなければなりません(詳しい時期等は後述します)。

また、住宅ローンが苦しいからといって他から借り入れて返済するようなことは厳禁です。そもそも、そのような経済状態の家庭がまともな(銀行など)金融機関の融資審査に通る可能性は低いため必然的に消費者金融等の高金利な業者に走ることになりますが、今月の返済ができたとしてもそれは単なるその場しのぎであり、数か月後の事態はさらに深刻なことになります。

消費者金融の借金がなければ任意売却で家を手放すだけで解決できたのに、消費者金融も加わったため自己破産せざるを得なくなった、ということもありえます。マイホームへの過度な執着が対応の遅れにつながり、結果的にかえって余分な費用や手間を生み出してしまったという状況だけは避けなければならないのです。

任意売却にはどんなメリットがある?

では、任意売却は競売と比べてどのような点で優れているのでしょうか?

他人にローン滞納を知られる心配がほとんどない

競売のように裁判所の執行官が物件調査に来るようなこともないため、ご近所に知られることもなく所有者にとっての心理的負担が軽くなります。

物件が競売より高く売れる

競売は一般的に市場価格の6割程度でしか売れないが、任意売却ならその2、3割は高く売れる可能性が高いと言われています。よって、その分だけ債権者に多く配当でき、債務者にとっても物件を売った後の残債務が少なくなるので負担が軽くなるという結論になります。

諸費用を売却代金から出すことができる

任意売却の場合、売却代金から仲介手数料、司法書士による抵当権抹消登記費用など諸経費を差し引いてその残額を債権者に配当することになります。ただ、諸費用といってもどの範囲まで認められるかどうかは交渉次第といえるでしょう。

銀行によっては債務者が新居に引っ越しする費用30万円~50万円程度を出してくれることもあります。しかしこれはあくまで債権者の好意であるため、仲介業者と債権者との間の交渉が円満な形で進まなければ難しいこともあるのです。

競売が始まっていても任意売却はできる

上記のように、競売が始まっている状態の人でも任意売却で不動産を処分することはできます。単に法律上の話をするのであれば、買受人が出た後であっても代金が納付されるまでなら買受人の同意があれば競売の取り下げをすることはできます。

しかし、実務上「いつまでなら競売を阻止することができるか(=債権者が取り下げの要請に応じてくれるか)」という話になるとまた別です。実際には入札が開始したくらいの時期から先は難しいといえるのではないでしょうか。段取り良く進んだ場合、申立てから半年経たないくらいの時期でその段階になるため、競売申立がされている状況で任意売却に切り替えることを希望するならとにかく早く動かなくてはならないということです。

債権者や裁判所からの書類を開けずに放置してぎりぎりの段階になってから相談に来るなど、動くのが遅すぎる債務者が多いというのが実情ですが、理想を言ってしまえば「滞納前」に銀行に相談して任意売却の打合せを進めておくべきなのです。

任意売却における注意点

担保権者、差押え等をつけた債権者全員の同意が必要

上記で説明したように、任意売却の場合、売却代金から諸費用を差し引いたものをすべて返済に充てても債権者に完済できないことが前提です。しかし売却する以上は物件についている抵当権や根抵当権、差押えなどはすべて抹消しなくてはなりません。

つまり、「全額は返せませんが、それでも抵当権を消してくれませんか?」という交渉をすべての債権者との間で成功させなければならないのです。

多くの債務者は、銀行の抵当権だけではなく、2番で消費者金融の抵当権がついていたり、固定資産税滞納などによる市区町村の差押えがついていたりします。税金については多くの場合、滞納分の一部を支払った上で残額を分割払いにしてもらう交渉をすることで差押えを外してもらうのですが、これも市区町村役場の担当者との調整が必要になります。

任意売却は業者選びで成否が決まる

任意売却は上記のような債権者とのタフな交渉を成立させることが成功の鍵となるため、どこの不動産業者でもできるというわけではなく、任意売却の経験が豊富で交渉力に長けている業者であることは必須の条件です。

たとえば2番抵当権者との交渉の場面を考えてみましょう。

もし競売になった場合、彼らは建前上売却代金から1番抵当権者が配当を受けた残りをもらえるという立場です。ただ、実務の場面で競売による配当で1番抵当権者がすべての弁済を受けられ、2番抵当権者まで配当が回ってくるという状況はほぼ期待できません。

しかし任意売却になった場合、彼らは「担保を抹消する条件としてのハンコ代」を要求してきます。ハンコ代とは法律上の規定によるお金ではなく、あくまで交渉によって支払われるものであり、慣例としての相場は最低10万円くらいから、後は抵当権の債権額によっても異なります(最初から配当がないことを理解しつつハンコ代をもらうために2番抵当権をつける貸金業者もいるのです)。

もし任意売却において2番、3番抵当権者へのハンコ代を出そうと思えば1番抵当権者の取り分が減ることになります。こういった場面で1番抵当権者も含めて納得させなければならないのですが、できる仲介業者は「配当表」を作成した上で「今回はこれしかないからこの案で協力してもらえませんか」と各債権者を説得します。それぞれの債権者の意見をゆっくり聞いていたらいつまでもまとまらないため、イニシアチブをとって進めることのできる有能な業者であることが必要なのです。

また、差押えについて言えば決済当日、裁判所に取下げ書類を出し、裁判所が法務局に抹消登記を嘱託(依頼)するという流れになるため、通常の抵当権抹消とはやり方も異なりますから、こういった具体的段取りをよく理解した上で動いてくれる業者でなければなりません。

さらには、「より有利な価格で売却できる」といった不動産業者としての本来の能力が高いことも必要です。債権者も債務者も、競売より高く売れるという期待を持って任意売却を選ぶわけですから、それに応える価格で売ってくれてこそ意味があるのです。

万一、早く売りたいと焦るあまりに安い価格で売ってしまうと、(後述しますが)保証人との関係で問題になることもあります。

このように任意売却を担当する業者には様々な能力が求められるため、安易に「たまたま知っているところに何となく依頼する」などということは避けなければならないのです。

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慎重に準備しないとトラブルになりやすい

任意売却の現場で実際にあったトラブル事例です。

物件の買い手が見つかり、各抵当権者などとの担保抹消の交渉も無事にまとまりました。いざ代金決済の当日、担当した司法書士が当日謄本(決済直前に権利関係を確認するために取る登記簿謄本)を取ろうとしたところ、法務局で「現在、この物件については登記中のため謄本を交付できません」と言われました。取ろうとする物件が他の登記手続き中である場合、登記が完了するまで謄本は取れず、何の登記が出されているか法務局の人は教えてくれないのです。

司法書士は「もしや売主仲介が見落としていた債権者から差押えが入ったのでは?」と疑い、急いで法務局から売主の仲介業者に連絡し、今まで聞いていた債権者以外に何か心当たりはないかと尋ねました。そして仲介業者が売主に確認したところ、固定資産税の滞納分があったことが発覚したのです。売主本人から役場に聞いてもらうと、確かに市がその数日前に差押えの手続きをしていたことがわかり、交渉がまとまるまで決済は延期せざるを得ない状況になりました。

任意売却において、本来税金滞納の有無は欠かせないチェックポイントであるわけですが、このケースでは売主の仲介業者が任意売却に慣れていなかったとしか考えられません。

また、事前にわかっていた債権者についても、交渉の詰めが甘いと決済当日になって担保抹消料の増額を要求されて決済が流れるという可能性があります。

このように、せっかく物件の買い手がついても売却機会を逃すような状況が生じる危険があるため、不動産業者選びは本当に大切だということです。

任意売却にかかる費用

上記でも説明しましたが、基本的に任意売却では売却にまつわる諸費用を売却代金から控除した残額を債権者に配当するので、債務者の持出しとなる部分が少ないことがメリットです。ただ、諸費用が高くなればその分債権者に配当できる金額が減る、という関係にあるわけですから、抑えられるところは極力抑え、債権者の取り分を多くして彼らの協力を得られるようにしなければなりません。

では具体的に、どのような範囲までの費用が「普通に控除が認められる範囲」なのかどうかを見てみましょう。

 費用の種類備考
通常は認められる費用・不動産業者への仲介手数料速算式(400万円を超える取引)は(売買価格×3%+6万円)×1.08となる。しかし、これはあくまで最高額の定めなので、業者の関与度合いによって報酬額は個別に交渉する余地がある。
・抵当権抹消等の司法書士報酬事務所により異なるが1物件1万円、1つ物件が増えるごとに1,000円くらい「筆数加算」していくのが相場。たとえば住宅金融支援機構では「任意売却における報酬は何物件であっても1万円まで」のようにあらかじめ決められている。
・不動産鑑定にかかる費用破産を伴う場合で、大きく担保評価を割り込むような時は裁判所の許可が必要となる。ただ、通常の鑑定費用は高額となるため、任意売却の際の鑑定は「5万円~30万円」くらいでできる簡易鑑定となるよう事前に打ち合わせされることが多い。
・契約書に貼付する印紙代現在は軽減税率が適用されている(平成30年3月31日まで)1千万円を超え、5千万円以下の契約金額であれば1万円となる。
・固定資産税の精算金物件所有者が滞納している固定資産税の精算を売却代金から支払うということもある。
・(破産を伴う場合)破産財団組入金

※「破産財団」とは、破産者の財産の中から債権者に配当するために形成される財産の集合体のこと。

破産を伴う場合は「銀行主導で行われた任意売却では売却代金の3%~5%を破産財団に組み入れて担保権者以外の債権者に配当する」のが基本となる。
ケースによって認められる費用・建物の取り壊し費用建物を解体する方が土地が高く売れるような場合には解体を行ってその費用を売却代金から控除することもある。ただ、複数の業者から見積もりを取ってなるべく安く上げることが大切。
・引っ越し費用30万円~50万円程度を引っ越し費用として認めてもらえることもある。
・測量にかかる費用買主から物件を購入する条件として境界の明示を求められたような場合には測量費用を支出して売却代金から控除することもある。
・ゴミ撤去にかかる費用物件の中に粗大ゴミが放置されているような場合は10万円~30万円程度を目安として撤去費用を控除することもある。
・土壌汚染調査費用どうしても必要な場合に限り、信頼できる業者の見積もりに基づいて支出する。
・立退料物件の占有者がいる場合、円滑に任意売却を進めるため賃料の2カ月~6カ月の立退料を支出することがある。しかし中には悪質な占有者もいるため、破産管財人弁護士が交渉にあたることもある。

気をつけたい任意売却前後の処理

連帯保証人

任意売却において債権者との交渉と同じく難しいのが連帯保証人の扱いです。銀行がローンを貸付けるにあたって、物件を担保に入れると同時に人的な保証(連帯保証人)も要求していたとしましょう。たとえ不動産を先に売却したとしても、債務は残る可能性が高いわけですから既に資力がなくなっている債務者に代わって連帯保証人に請求するということも十分考えられるのです。

連帯保証人が保証をする際に債務者から「この物件は5,000万円の価値があるから、保証人になってもらうとしてもあなたに迷惑はかけない」と言われていたのにもし任意売却の際に3,000万円で売ったとすればその保証人からクレームがつく危険性があります。

「そんな安い金額で勝手に売ってしまったのだから、残りの分を保証しろと言われても責任は持てない」と保証人が言い出すことも考えられるということです。

これは決して連帯保証人が勝手な主張をしているというわけではなく、民法504条で「債権者が故意または過失により担保を喪失、減少させたような場合は法定代位権者(代わりに弁済することによって債権者の地位を獲得する者、ここで言うと連帯保証人)はその喪失、減少で償還を受けることができなくなった限度においてその責任を免れる」とされているため、それに基づく主張なのです。

こういったクレームを避けるためにあらかじめ銀行サイドから保証人に対し、「担保物件処分の同意書」という書類を取り付けることがあります。これは不動産の処分価格やそこから差し引かれる諸費用、それらの残りを債権者への弁済に充てることなどに保証人に同意させる内容の書面になります。

もちろん適正価格で売却することを前提とした同意ではありますが、連帯保証人は担保物件が売却された後も責任を免れられない立場にあるわけですから、任意売却の話が持ち上がった時点で債務者自身から連帯保証人にきちんと事情を説明して理解を求めておくことが大切です。

残債務の処理

上記のように、任意売却により不動産を手放したとしても通常は債務が残りますので、その部分についての支払い義務は残ると考えなくてはなりません。物件がどのくらいの金額で売れるかによって残債務の金額は異なりますが、債務者の収入と残債務額のバランスによって「自己破産する」「債権者との交渉で分割払いにする」など、後の対応を決めなければなりません。

「家すら手放したんだから残りの借金なんか払えるわけがない」と開き直って放置するといった対応だけは厳禁です。 → 詳しくは「住宅ローンが払えない場合の対処」の中で解説しています。

任意売却を考えるにあたり、押さえておきたいポイントをまとめると次のようになります。

そもそも本当に任意売却に適する案件かどうかを判断する必要がある。不動産業者はどうしても物件売却を中心に考えてしまうが、他の債務とのバランスなど債務者の状況を総合的に見られる立場の人からのアドバイスが大切。つまり不動産業者探しの前に「銀行」や「法律家」に相談しておく方がおすすめ。

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相談はとにかく早め早めに。できれば「そろそろ滞納してしまいそう」というくらいのタイミングで行く方が良い。特に競売開始の通知が送られてきた人はすでに一刻の猶予もないと考えるべき。

不動産業者は「名前を知っているから」「購入した時に世話になったから」などの理由だけで選んではいけない。任意売却を適切に行うためにはある程度の経験を積んでおり、交渉力が高いことが大切。つまり実績がどのくらいあるかが重視すべきポイントとなる。

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西岡容子

西岡容子

熊本にて夫婦で司法書士事務所を営む。10年以上の実務経験で、債務整理の経験も豊富。現場での経験を活かしてユーザーのためになる確かな記事を執筆中。
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