債務整理の森

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債務整理をする前にやっておきたいこと・知っておきたいこと

      2017/05/23

債務整理をする前にやっておきたいこと・知っておきたいこと

債務整理に踏み切るべきか、それとも何か他にできることはないかと迷う状況もあるのではないでしょうか。

では、債務整理以外に考えられる手段や、債務整理した場合の影響、債務整理後の生活はどうなるのかなどを考えてみましょう。

自分は本当に債務整理をするべきか?

「いくら借金があれば債務整理するべきなのか?」ということ自体、疑問に思う人もいることでしょう。

ただ、これには明確な答えがありません。よく、「年収の〇倍なら自己破産」などと書いてあるものもありますが、これも絶対的な基準ではありません。

「返済不能」といえる状態は人によってまったく異なります。大企業の管理職の人が抱える借金300万円と、非正規労働者で月給15万ボーナスなしの人が抱える300万円ではその重さが同じであるわけはありません。

 

それでもやはり自分はまだ債務整理という段階ではないのでは?と思う人は、念のため他の選択肢も知っておいた方がよいのではないでしょうか。

ただし、次に紹介する方法について知識をつけたら「実行に移す」前に必ず無料相談などで弁護士(司法書士)に相談してみることを強くおすすめします。

なお、次のようなケース・お悩みの場合はそれぞれこちらの記事をご覧ください。

自分の借金状況、借入先の確認をする

債務者の中には長年返済に追われる生活をしていて自分の現状をきちんと整理できていない状況の人も多いといえます。

最終的に債務整理をするにせよ、しないにせよ、下記の点を一覧表にしてクリアにする必要があります。

  • 債権者がどこで、いつから借り始めたのか
  • 現在、自分が認識している残債務額はいくらか
  • 過去に高金利(おおよそ年利20%超え)で取引していて完済した業者があるか

これだけは情報として最低限把握する必要があります。

また、弁護士(司法書士)に相談してみる際にはこのようなこともわかる方が望ましいといえます。

  • 途中で完済してまた借りたなどの事由があったか、ブランクの月数(年数)、同一業者に「借換」をさせられたことはないかなど(もし契約書実物があれば持参する)

このような点は、債務整理する場合にその債権者との取引の全貌や正しい現在の債務額、過払い金を把握するため必要なことなのです。

おまとめローンと債務整理

借金について色々調べている人は「おまとめローンで返済をラクに」という広告などを見たことがあるのではないでしょうか。

おまとめローンというのは何社もあった借金を1社にまとめるために、その1社から借りて他のすべての会社に返済するという一種の「借り換え手続き」と考えればよいでしょう。

おまとめローンを利用すれば今までの会社にはちゃんと返済するわけですから債務整理のように「ブラックリスト」に載る心配もないというメリットがあります。

ただ、おまとめローンが向いているのは借金返済能力自体はある人、つまり収入がそこそこ安定している人です。おまとめローンを申し込むと、やはり借り換え先で融資審査があるためそれに通過しなければならないからです。

現状、借りている数社ですでに何回か滞納歴がある人はもはや難しいと考えなくてはなりません。つまり、自転車操業で「借りられる枠が限界に近い」状態の人も審査に通過できない可能性が高く、おまとめローンで解決できる状況ではないといえるでしょう。

なお、おまとめローンについて詳しくは「おまとめローンと債務整理の違い」で詳しく解説していますのでこちらもご覧ください。

住宅ローンやカーローン

住宅ローンは早い段階なら「リスケ」で解決することも

住宅ローン

かつての日本では「収入は右肩上がりになるもの」だったため、住宅ローンを組んで家を買うことはある程度の年齢になったら当たり前と捉えられていました。

しかし、昇給や一定額のボーナス支給が確約されていない現代では、住宅ローンを抱えている人が途中で行き詰まることも珍しくありません。

住宅ローン支払い中の人にありがちですが一番やってはいけないことは何でしょうか。それは「苦しいのにぎりぎりまで頑張ってしまうこと」です。

「住宅ローンを払えなくなること=人生の落伍者」のように考えてしまう人は、誰にも相談できないまま他の消費者金融などから借りてやりくりしてしまいがちです。

ただ、すでに負債が膨らんで首が回らなくなっている状態で銀行に泣きついてももはや遅いのです。

このままいくと2、3カ月先には行き詰まってしまうと思ったら「滞納する前に」銀行に相談するべきです。早めに相談すれば銀行側が「リスケジュール」の相談に乗ってくれることもあります

リスケジュール(リスケ)とは、債権者と債務者が話し合って月々返済額を減らして返済期間を延ばすなどの方法で債務者の負担をラクにすることです。

ただ、もちろん負債額そのものをカットするわけではありませんから、これができるのは病気などの事情で一時的に減収しているなど、まだ困窮の状態が軽微な人に限られます。

リスケが無理なら「家の任意売却」を検討する

もし、リスケが無理ということになると次に浮かんでくる選択肢は「任意売却」です

通常、住宅ローンを滞納すると大体3カ月程度で銀行の後ろについている「保証会社」が滞納した債務者に代わって銀行に返済しますが、図解するとこのようなしくみになっています。

住宅ローンにまつわる「保証委託契約」の仕組み

図の⑤代位弁済と呼ばれる状況になると、その後は保証会社が債権者の地位を承継します。

代位弁済がされると、もう住宅ローンとしての性質は失われるので保証会社から「残額一括返済」の請求が来ることになります。

もしそのまま滞納を放置し続けると「競売」といって、住宅は裁判所を通じて売られてしまうことになりますが、その前に債務者が自ら物件を売るのが「任意売却」なのです

※なお、任意売却について詳しくは「任意売却とは住宅ローン返済ができない場合の解決方法」で解説していますのでこちらもご覧ください。

任意売却すれば競売に比べて高値で売れることが多いのが現実なので、銀行にとってのメリットもあります。銀行にリスケの相談をしに行った債務者が「リスケはもはや無理なので任意売却を検討されてはいかがですか」と提案されるというのもよくある話です。

そして、任意売却は通常の不動産売買と外形的には同じように見えるので、周囲に対しても体裁が悪いこともないですし、仲介手数料や売買関連の諸経費、そして債権者が許せば引越し費用を出してもらえることすらあります

ただ、競売にしろ任意売却にしろ、物件を売って配当に充てた後の債務は無条件に免除されるわけではなく支払い義務は残ります。

これを請求するかしないかは債権者の判断次第ですが、もし請求があった場合は債権者と交渉して現実的な範囲での分割払いに応じてもらうことが多くなるでしょう。

任意売却とローン返済

収入に見合わなかった住宅を処分するだけでもずいぶん生活が楽になり、上図の「残ってしまった支払義務」を分割で払いながら生活を立て直せることもあります。

ただ、それでも生活が立ち行かないほどの債務額が残った場合、また、住宅ローン以外の債務もあって返済不能である場合には自己破産などの債務整理を検討するべきということになります。

なお、任意売却した後でやはり全体的に返済不能であることがわかって自己破産、ということもありますが、破産申立てが先にあって、手続きの中で破産管財人が任意売却をするというパターンもあります。

カーローンのリスケは難しい

カーローンのリスケ

車のローンは住宅ローンに比べて上記の「リスケ」は難しいと考えられます

なぜなら、カーローンはもともとの元本が住宅ローンよりも相当低いことが多いため、債権者が全期間で取れる利息も少ないのです。

つまり、債権者にとってあまりうまみがないものをわざわざリスケの手間をかけてまで払わせる必要はなく、自動車を引き揚げて弁済に充てる方が手っ取り早いということです。

カーローンを組む際は債権者となる信販会社等が「ローン完済まで所有権を留保する」という契約になっていることが多くなります。

つまり、銀行が不動産に抵当権をつけるのと同じで、完済まではまだ買主のものにはならないので、「支払えない」と意思表示した途端に信販会社は自動車を回収しにくる流れになります

もし、カーローンだけしか借金がなくそれに行き詰ってしまった人は、自動車を手放す決断をするのもやむを得ないでしょう。

しかし、もしその他消費者金融などと長期間高金利の取引を繰り返していたり、過去に完済している履歴があるような人であればそちらの過払い金を回収して自動車の返済に充てられることもあります。

何社もあるという人はひとまず自動車を含めた全債権者のリストを持参し、弁護士(司法書士)に法律相談してみましょう。

携帯電話・スマホの割賦払い

スマホの割賦払い

携帯の未納代金のことが気になっていて債務整理に踏み切れない人もいるかと思います。

携帯代については、「通話料金など回線契約にまつわる代金」と「端末そのものの割賦代金」を分けて考える必要があります。

もし携帯代金を未納のままにして強制解約になってしまうと、たとえキャリア(ドコモ、auなどの会社)を乗り換えたとしても情報が共有されているため、その後の回線契約ができなくなってしまいます。

そこで、債務整理をするにせよしないにせよ、携帯がなければ生活、仕事に支障が出る人は少なくとも今までの未納分は解消しておく必要があります。たとえ債務整理しても未納代金さえなければ回線自体の再契約はできることが多いのです。

ただ、ここで問題となるのが端末の割賦契約についてです。消費者金融などと異なりあまり借金という意識を持ちにくいでしょうが、これも債務整理の対象となります。

もし債務整理した場合(=金融ブラックの人)は、やはりクレジットカードなどの申し込みと同様、一定の期間は端末の割賦契約を締結できなくなります

とりあえず回線利用料さえ支払えば端末を変えない限り使用を継続できる会社もありますが、新たに端末を分割で購入することはできません。つまり、端末を変えたい場合は格安のものを探して一括購入するしかないということになります。

キャッシングとカードローン

キャッシングとカードローン

キャッシングやカードローンは債務整理する時にはどのような扱いになるのでしょうか?

これは、借入先がどのような会社か、金利がどのくらいだったかということによります。

たとえばクレジットカード会社のキャッシング枠を使ってのキャッシングは、貸金業法改正以前の利息(おおよそ平成20年以前)では年利20%を超えるくらいに設定されていることも多かったので、そのような場合は消費者金融などと同様に債務整理することになります。

ただ、銀行カードローンの場合、貸金業法改正以前から法定金利内であることが多かったため、「任意整理」の方法で債務整理する場合には外して手続きすることが大半でしょう。

銀行をあえて債務整理の対象としないのは、「利息引き直し計算」をしても債務が減らないこと、そしてその銀行に口座を持っている債務者は口座をロックされてしまうといった不都合が生じることがあるからです。

※債務整理における銀行の取扱いについては「銀行カードローンの債務整理」で詳しく解説していますのでこちらも参照してください。

よって、他の会社を債務整理しても銀行については何事もなかったように返済を継続することが多いため、こちらについては債務整理前から滞納がないように心がけておかなくてはなりません。

債務整理した場合の連帯保証人への影響

連帯保証人がいることで、「迷惑をかけたくない」という一心から債務整理に踏み切れずに悩む人は少なくありません。

もし連帯保証人がいる場合に、具体的に迷惑をかける可能性がある手続きは、全債権者を対象にしなければならない「個人再生」「自己破産」です。

「任意整理」の場合は債権者と和解した内容についてきちんと返済さえすれば連帯保証人には影響がないことがほとんどです。そして、任意整理は相手方債権者を選べるので、連帯保証人がいる債務を避けて手続きすることもできます

連帯保証人がいることが気になってずるずると債務整理に踏み切れなかったとすると、結局滞納が長くなった分、遅延損害金がかさんで余計に迷惑をかけてしまうことがあります

もう無理だと判断したらすみやかな行動が大切ですが、まずは弁護士(司法書士)に連帯保証人の存在を伝えた上で、迷惑をかけずに手続きできるかどうかを確認します。

全体的な状況から考えて迷惑もやむなしとなれば、債務整理を開始する前に必ず事情を説明して謝罪し、理解を求めることが必要です。

ある日突然債権者からの請求が来て連帯保証人が仰天するようなことになれば、信頼関係が崩壊してしまうことは避けられません。

事前の説明プラス、債務整理の後でどうフォローしていくかを考えることが連帯保証人に対して示せる最大限の誠意だということを理解しなくてはならないのです。

※債務整理による連帯保証人への影響は「債務整理と連帯保証人」で詳しく説明していますのでこちらもご覧ください。

債務整理後、数年のライフイベント

債務整理後のライフイベント

債務整理したらその後の生活がどうなってしまうのだろう?という不安を抱いている人は具体的に「債務整理による不利益」を正しく知ると不安を解消できることがあります。

任意整理や個人再生など「返済型」の手続きでは、3年から5年くらいは生活しながらの返済になるため、債務整理後ただちに生活がラクになるわけではなく、それなりに厳しい家計に耐える覚悟もしなければなりません。

つまり、返済プランを考える際には、教育費などのまとまった出費を考慮した上で「本当にその手続きで大丈夫なのか?」を判断しなければならないのです。

そして、自己破産では実質、手続中のみではありますが「職業制限」がネックになる人もいます(復権するまでは人のお金を管理するような性質を持つ一定の職業につけない)。

いずれの手続きにおいても債務整理後最大のデメリットといえるのが「ブラックリスト」ではないでしょうか

長期滞納や債務整理などの「金融事故」によって信用情報機関にマイナス情報が載り、それによって一定の期間借り入れやクレジットカード作成ができなくなるといったものですが、それも数年後には解消されます。

※債務整理とブラックリストの関係については、「債務整理でブラックリストに残る期間」で詳しく説明していますのでそちらをご覧下さい。

「破産すると戸籍に載る」「選挙権がなくなる」など債務整理にはとかくデマがつきものです。しかし一般に考えられているほど債務整理による不利益は多くないのが現実です。

いたずらに不安を煽られて本来手続きするべきタイミングを逃すとかえって手間や費用が多くなったり、より深刻な手続きになってしまったりすることがあります。

自分で手続きの始めどきを判断することは大変難しいので「まだ何とかなるだろうか?」と思うくらいの、比較的早めの時期に弁護士(司法書士)に相談しておかなければなりません。

債務整理をする前にやっておきたいこと・知っておきたいこと、まとめ

  • 債務整理するかどうかは単純に債務額だけで決められない。
  • まずは債務の全貌をクリアにすること。債務整理をする前におまとめローン、リスケジュール、任意売却などの選択肢もある。
  • カーローンや銀行カードローンは除して債務整理できることもある。
  • 連帯保証人がいる場合、債務整理を引き伸ばすことでかえって迷惑をかけることがある。
  • 債務整理による不利益はそこまで多くない。引き伸ばさずに早めに弁護士(司法書士)に相談することが大切。
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西岡容子

西岡容子

熊本にて夫婦で司法書士事務所を営む。10年以上の実務経験で、債務整理の経験も豊富。現場での経験を活かしてユーザーのためになる確かな記事を執筆中。
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