借金の相談は公的機関（無料）でできるの？債務整理の方法について専門家が解説

借金に苦しむ人が誰かに相談したいと思っても「相談料が心配になって行けない」ということもよくあるものです。

「弁護士は30分5000円が相場」などの話を聞けば、明日の生活費にも困窮するような人は相談する気になれなくても無理はありません。

まだ知らない人も多いのですが「相談は無料でOK」という公的機関などの窓口は探せば意外にあるものです。

そのような窓口、そしてその後の手続きについてもなるべく経済的負担のない方法にはどんなものがあるのかを考えてみましょう。

無料で借金の相談ができる公的機関

借金問題について最初の相談が無料でできる機関をまとめてみると、次のようになります。

※注・新型コロナウイルスの影響で一時的に面談等を中止している機関もあるため、予約前にリンク先サイトで最新情報を確認してください。

法テラス

「法テラス」は国が設置した法律問題全般について国民に広く開かれた相談機関です。

債務整理だけではなく、その他の法律問題の相談も取り扱っています。

収入面など一定の条件を満たせば無料相談を受けることができます。

また、相談のみならず一歩進んで実際の手続きを依頼したい場合でも、「民事法律扶助」という制度を利用して手続き費用を通常より安くしたり、条件によっては返還免除の扶助を受けることもできます。

※日本司法支援センター・法テラス公式ホームページ

法律扶助を受ける場合の全体の流れはこのようになっています。

資力要件などの具体的な金額は上記リンクから確認することができます。

日本貸金業協会

日本貸金業協会では「貸金業相談・紛争解決センター」という機関があります。

こちらでは、以下のような内容の相談を受付けています。

• 一般相談
  たとえば、借りている（借りようとしている）業者は正規の登録業者なのか不安であるとか、契約内容がよくわからないといった全般的相談になります。
• 債務相談
  個々の抱えている借金についてのより具体的な困りごとの相談に乗ってもらえます。
  すでに行き詰まっていて債務整理を検討している人などが、現在の債務状況に基づいたアドバイスをもらったり債務整理の方法を教えてもらったりすることができます。

※日本貸金業協会・公式ホームページ

全国銀行協会

全国銀行協会相談室で、電話または面談でのカウンセリングを受けることができます。

もっぱら銀行での住宅ローンやカードローン、それも個人への貸付について特化した窓口になっています。

電話相談は番号にかけてそのまま相談に入れる場合と、カウンセラーから折り返し電話をしてもらう場合があります。

面談での相談は予約制になっています。

また、大阪の「銀行とりひき相談所」でも面談形式でのカウンセリングを行っています。

※全国銀行協会・公式ホームページ

ただ、住宅ローンのリスケジュール等、より具体的な相談については直接支店の担当者にかけあった方が柔軟な対応をしてもらえることもあるため、ひとまず融資を担当した支店に出向いてみるのもひとつの方法です。

国民生活センター

国民生活センターは幅広く「消費者に生じたトラブル」を解決に導くための相談、アドバイスをしてくれる機関です。

商品やサービスに関する苦情を聞いてくれる窓口が種類別に準備されています。

国内のみならず、海外から購入した商品（海外通販サイト）への相談を専門にするセンターも準備されており、さまざまな相談に乗ってもらうことができます。

※国民生活センター・公式ホームページ

日本クレジットカウンセリング協会

公益財団法人のため、相談料は一切無料です。

「多重債務ほっとライン」というダイヤルがあり、こちらで借金の対処方法についてアドバイスしてもらえます。

また、電話相談の内容によっては次に面談相談の予約を取ることもできます。

面談相談まで進んだ人については、アドバイスだけで済む人はそこで終了しますが、具体的な手続きのサポートまでしてもらえることもあります。

債務整理の中でも一番手続きが簡易な「任意整理」については日本クレジットカウンセリング協会が無料で手続きのサポートをしてくれます。

実際に協会から債権者に介入通知を出して取立てを止めることもできますが、その間、家計改善のためのカウンセリングもしてもらえます。

もし、任意整理によって返済を続けることが難しい、また、任意整理がまとまって返済を始めたものの途中で行き詰まった人については「個人再生」「自己破産」といった家庭裁判所が関与するような方法での債務整理となります。

この場合は弁護士会などの機関を紹介してもらった上で実際の手続きに進むことになります。

※日本クレジットカウンセリング協会・公式ホームページ

市町村、ショッピングモールで開催している無料弁護士相談

県単位ではありますが、ショッピングモールと共同して「無料弁護士相談」のブースを設けている弁護士会もあります。

個々の事務所にわざわざ出向くことに抵抗がある人や、相談の内容が軽微な人は、買い物のついでにこのようなところに気軽に相談するのも良いかもしれません。

また、各地方自治体の役場では「弁護士による無料法律相談」の曜日、時間が決まっていて役場の一室で個別相談を受けられることもあります。

基本的に予約制になっていることが多いので、居住地の役場のウェブサイトで確認した方がよいでしょう。

予約制の場合、希望時間を電話で予約した上で役場の相談室へ相談に行く形になります（空きがあれば当日直前などに予約できることもあります）。

面談での相談だけではなく、電話相談になっている場合もあります。

金融庁

金融庁のサイトでは、各県ごとの相談窓口が記載されたリーフレットのPDFファイルをダウンロードすることができます。

また、こちらでは借金問題全般に対する相談窓口の紹介以外にも、ヤミ金融に関する相談や貸金業者の対応に関する苦情窓口なども紹介されています。

※金融庁・公式ホームページ

日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会

弁護士や司法書士を束ねる機関である「日本弁護士連合会（日弁連）」や「日本司法書士会連合会（日司連）」のサイトでは、会員弁護士、司法書士の情報を一般の人が検索することができるシステムを設けています。

名前や事務所所在地などの情報を入力すると条件に合った会員を検索できます。

※日本弁護士連合会「弁護士情報・法人情報検索」

※日本司法書士会連合会「司法書士検索」

ただ、それぞれの会は公的な意味が強いため、具体的に一般の相談者にどこか特定の事務所を紹介してもらえるシステムにはなっていません。

むしろ、この検索システムを用いる意味は「本物の弁護士、司法書士かどうか？」を確かめることにあるのではないでしょうか。

日弁連も日司連も「強制会」といって、そこに所属しなければ弁護士や司法書士の看板を掲げて業務を行うことはできません。

よって、ウェブサイトや人の紹介で知った法律家に相談しようと思った時に確かに本当の弁護士、司法書士であるかどうかを確認することができるのです。

弁護士

債務整理の相談先として、そのままスムーズに手続きに入れる窓口といえばやはり弁護士事務所なのですが、債務整理に長けている弁護士を探すにはどうしたら良いか？ということが問題になります。

その弁護士の得意分野をはかるためにわかりやすいのはやはり「ウェブサイトで解説に力を入れているポイントはどこか？」ということでしょう。

もし債務整理を得意とする事務所であれば、項目別に丁寧な解説をしていたり、Q&Aで一般の人が疑問に思うことをフォローしていたりするものです。

無料相談を設けているかどうかなども記載されていることが多いため、しっかり目を通してから行くようにしましょう。

相談に必要になる物

実際、借金の相談に出向く際には借入れや返済に関する情報が書かれた次の書類を持参した方がよいでしょう。

ただ、ないと相談できないというわけではありません。

手元資料がない場合は自身の記憶をある程度整理し、メモなどしておくとスムーズに話が進みます。

金銭消費賃貸契約書

最初に契約したのがいつなのか？というのは重要な情報です。

ただ、最初の契約書の他に貸金業者の意向で「借り換え」などさせられていることもよくあるため、同じ取引で何通かの契約書が存在することも考えられます。

よく探してみて、契約書が複数あればすべて持っていくようにしましょう。

クレジットカード、キャッシングカードの取引明細、もしくは請求書

ATMから返済した際に機械から出力されたもの、また、滞納してしまった場合の督促状、業者から和解を持ちかけられた際の書類など、手元に残っている資料があればひととおり持っていきましょう。

住宅ローン、車のローンなど借り入れ状況を把握できる物

住宅ローンや自動車ローンについては銀行等から「償還表」を受け取っているはずです。

それがあれば、現在どのくらい返済が進んでいるかといったことも確認できるため、保存してあれば持っていく方が良いでしょう。

どこに相談するのがおすすめか

一番おすすめの相談先がどこなのか？というのは個々の借金の状況によるため一概には言えないのですが、もし相談の費用すら捻出できずに困っている人の場合なら「法テラス」が無難でしょう。

法テラス

上記にも紹介した「法テラス」は国の機関であるため安心ということもありますし、相談料や手続き費用が出せずに困窮している人に対しては「民事法律扶助」という制度があります。

利用条件（収入額など）はあるものの、それを満たせば費用の貸与を受けることができ、格安での手続きができる他、場合によっては貸与された費用の償還を免除してもらえることもあります。

弁護士

法テラスを利用した場合、実際の手続きまで進むのであれば弁護士（司法書士）の紹介を受けることもでき、通常より手頃な価格で債務整理することができます。

しかしすべての弁護士（司法書士）が法テラスの案件に対応しているわけではありませんので、法テラスとの基本契約を締結している法律家を紹介してもらうことになります。

もし、現在「法律家に相談して、手続きまでしなければならないとしてもそんな高いお金は出せない」と悩んでいる人がいたら、ひとまず法テラスに駆け込んでみるのが一番安全で確実性の高い解決方法といえるのではないでしょうか。

まとめ

• 借金問題の相談先としては、市区町村の無料相談や一般財団法人、国の運営する法テラス、民間の法律事務所などさまざまな種類がある。
• 契約書等の資料がなくても相談自体はできるが、よりスムーズにアドバイスを受けるために手元に残っている資料があれば持参することが望ましい。
• 法テラスには「民事法律扶助」という制度があり、生活困窮の程度によっては手続き費用の貸与を受けて通常より安く手続きすることができたり、条件を満たせば貸与された費用の償還を免除されることもある。

 - 借金が返せないとどうなる？対策集