奨学金逃げ切りを敢行するも断念し債務整理した女性に突撃インタビューして体験談を聞きました

「17万3,190人」

この数は平成26年に日本学生支援機構がおこなった、奨学金の返還者に関する属性調査結果から分かった、3か月以上の長期延滞者の数です。

^{参考：https://www.jasso.go.jp/about/statistics/zokusei_chosa/h26.html}

更に1日以上の延滞者32万8,386人を足すと約50万人が期日に返済できない「奨学金滞納者」となります。

実に奨学金で学校に通う高校生・大学生の10人に1人以上が1日以上の滞納をしている現状です。

こういった事から、奨学金の滞納問題は社会問題となっていてテレビなどで度々取り上げられてます。

さて、この奨学金問題。何が厄介かって、滞納を続けるとサラ金などよりも怖い末路が待っています。

 

今回はそんな奨学金を長期滞納し、一括返還を求められて本気で踏み倒す事を考えていた和美さんに取材をしました。

結論から言うと、和美さんは最終的に債務整理（任意整理）をしましたが、

• 奨学金を滞納し続けると最後はどうなるのか？
• なぜ債務整理をしたのか？

これらについて詳しく聞いてきました！

奨学金の債務整理体験談

奨学金を滞納までの経緯

 

そもそも自分が奨学金制度で学校へ行っていた事を知らなかったんです。

高校3年間を奨学金で行っていたという事実は高校を卒業して就職後の、社会人3年目か4年目に知りました。

きっかけは車のローンが組めなかった時です。

通勤途中に事故を起こしてしまい新しい車が必要になったんですが、近所の中古車販売店でローンを組めないと言われてしまったんです…。

それまでクレジットカードも作った事がなく勤務年数も3・4年という事で、車屋さんもローンが組めない事を不思議がっていました。

家に帰り母親にローンが組めなかったと伝えると、

「でしょうね」

の一言。

• 自分が高校を奨学金で通っていた事
• 奨学金の返済をせずに滞納している事
• 奨学金の滞納は信用情報機関に事故登録されてしまう

こういった事実をこの瞬間知りました。

 

残元金が約40万。

それに＋延滞料が約10万なので、合計で50万くらいでした。

滞納している期間に何度も日本学生機構から支払いを催促する手紙がきていたようですが、これらも全て無視している状態だったので延滞料が結構な金額になってしまいました。

 

何もしていませんね。

完全に他人事です。

 

正直言って、奨学金というものをよく理解していなかったですし、もう何年も前の事で「自分には関係ない話だ」みたいな感覚がありました。

所得も少なく毎月ギリギリで生活していたので、奨学金なんて返せるわけないじゃん！という感じで開き直ってましたね。

こういった催促状も全て無視です。

奨学金を任意整理する事になった理由

 

私が初めて奨学金を滞納している事が分かったのが22歳の時で、そこから債務整理をするまでの7年間は、ずっと日本学生機構からの連絡を無視し続けてました。

手紙を無視

電話は着信拒否

という感じで、踏み倒す気満々でしたね。

そんな折にいつもとは違う手紙が送られてきたんです。

今まで送られてきた手紙の中身は一応全て確認していましたが、
その時は「いつもと何かが違う」と感じました。

やたらに赤字が並ぶ文面で、「一括返還しない場合は裁判して差し押さえしますよ」という内容。

さ・し・お・さ・え？？

差し押さえをネットで調べて背筋が凍りました。

必要最低限のもの以外は全て競売などに持っていかれる！？

仮に車が差し押さえられてしまった場合は会社に行けなくなりますし、私が住んでいる所は田舎なので買い物や子供の保育園への送り迎えなどもできなくなります。

ここでようやく「ヤバくない？？」と思い、日本学生機構に電話しました。

終わった・・・・。

この時までに延滞金は20万を超えていて、元金と合わせて60万円以上。

とても一括で払える金額ではありません。

ネットで奨学金を支払わずに済む方法を探したりしましたが、奨学金を返還せずに踏み倒す方法はないという事がわかりましたね。

唯一の手段として消滅時効の援用を考えましたが、

• 時効成立まで10年の期間がかかる
• 裁判上の請求をされたら時効成立までの期間がリセットされる

という事で、時効というものはあるけど現実的に適応される人はいないんじゃないか？と思う制度でした。

そういった事から司法書士事務所に泣きつく事になったんです。

相談が無料だという事だったのでとりあえず話だけでもと思い藁にもすがる思いで電話で連絡しました。

司法書士事務所へ任意整理の依頼～和解～完納まで

 

電話相談では、奨学金の滞納額や収入状況などを聞かれました。

その結果、任意整理で分割払いにする事を勧められました。

任意整理であれば日本学生機構も和解に応じてくれる場合が多いようです。

奨学金を任意整理する場合はカードローンなどと違い、利息のカットなどができない事がほとんどらしいですが、私のように長期間奨学金を滞納していて一括返還を求められた場合の人は任意整理をする事によって差し押さえを回避する事ができるとの事。

それを聞いて肩の荷が一気に降りました！！

これしかない！と思いそのまま司法書士さんに任意整理をお願いする事にしたんです。

 

不安だった所は、依頼する際に生じる報酬額についてですね。

何十万もしたら払えないよ・・・と思っていましたが全部で6万くらいと言われたので、それなら何とか払えると思い安心しました。

 

全て担当の司法書士さんにお任せでした。

委任契約証書というのを作って頂いて署名と判子を押すだけで、後は司法書士さんが日本学生機構に和解の交渉をしてくれるという感じですね。

和解が成立するまでの間も、自分が直接日本学生機構と話をするような場面も一切なかったですね。

 

60回払いで完済できるようにという事で初回は端数の9,784円を返済し、残りは毎月11,000円づつ返していく事になりました。

但し任意整理はあくまで相手側（日本学生機構）に「分割で必ず払うから一括返還は勘弁してください」とお願いしているものだから、決められた日に返さなかったら「今度こそ強制的に取り立てますよ」と司法書士さんに釘を刺されました。

 

和解後に日本学生機構から毎月の支払い用紙60枚が届きましたが、任意整理後は毎月一度も遅れる事無く返済を続け、今年ようやく完納しました。

立派な返還完了証を見て思わず笑ってしまいました。

なんにせよ差し押さえされず完納できて良かったです。

全て任せてください！と言ってくれた司法書士さんには本当に感謝しています。

奨学金の踏み倒しは難しい

奨学金を踏み倒す事は実質不可能に近いです。

奨学金を踏み倒す方法としてよく言われるのが、「時効まで逃げる」「自己破産する」などですがどちらも現実的ではありません。

時効について

奨学金の踏み倒しを考える人が最初に試みるのが時効の適用。

カードローンなどと同様に日本学生機構の奨学金にも消滅時効があります。

しかし、この消滅時効が適用される事はまずないと考えていいでしょう。

まず、カードローンの場合は商事債権(商法522条)なので消滅時効までの期間が5年ですが、奨学金の場合は一般の債権扱いなので消滅時効までの期間が10年と長いです。

この10年の間に、通常訴訟や支払督促などの裁判上の請求が一度もない場合に時効が成立しますが、そんな事はほぼ100%ないと考えてください。

特に最近の日本学生機構は、滞納者への債権回収に力を入れています。

外部の債権回収会社（サービサー）、日立キャピタル債権回収・エム・ユー・フロンティア債権回収などに長期滞納者の奨学金回収を委託している状況です。

こういった事から「時効で奨学金を踏み倒す事はできない」という結論になります。

自己破産について

全てをチャラにできる自己破産ですが、奨学金の場合自己破産をおこなう方は少ないでしょう。

なぜなら、奨学金を借りる際は本人が返済不能になった場合の保険として、「保証人・連帯保証人」をたてる必要があります。

自己破産をおこなうと本人の支払い義務は消滅しますが、代わりに保証人・連帯保証人に返済義務が生じてしまうんです。

おそらくほとんどの方は保証人が親・兄弟・親族になっているかと思います。

つまり、自己破産を選択できる人は自分さえ良ければいいや！と債務を身内に丸投げできる鋼の心の持ち主です。

【結論】やっぱり踏み倒しはできない！一括返還を求められたら即刻法律専門家に相談

結論から言うと、やはり奨学金を踏み倒す事はできません。

貸した金は必ず回収するというのが奨学金制度。

返還期限猶予などで一時的に返済をストップしたり、返済期限を延長する事はできますが、免除される訳じゃありません。

住民税などと同じで、ある意味闇金よりも怖い地獄の取り立てです(笑)

この奨学金を借金と認識していない方が最後に痛い目を見る事になります。

できれば、一括返還を求められる前に日本学生機構側と返済方法について話合うのがベストですが、今回色々と質問させていただいた和美さんのように一括返還を求められてしまった場合の解決策は1つ！

「差し押さえをされたくなければ弁護士・司法書士など法律のプロに早急に相談する事」

任意整理で無理なく返済できる分割払いができます。

何もせずいつ自宅に差し押さえが入るか？ビクビクする前に弁護士や司法書士に相談する事をお勧めします。

 - 任意整理の体験談