任意整理から自己破産への変更はできるの?
任意整理をした後でも、自己破産の手続きを進める事は可能なの? 任意整理の手続きは、私的な手続きとなるから、任意整理の手続きの最中でも、任意整理の手続きが完了した後でも、自己破産の手続きをする事は可能となるんだよ。 まずは、任意整理の手続きがどのような物なのか、おさらいしてみよう!
やっと任意整理をして返済計画を立て、残債務額や返済額を減らしてもらったのに、リストラされたり、会社が倒産してしまった場合、給料減額、冠婚葬祭などで急な出費などがあり、また住宅ローンなどの債務の返済ができなくなってしまうような可能性もあります。
一度任意整理をしている人でも、自己破産へ変更することはできるのでしょうか。
任意整理の意味を再確認
払えなくなるほど膨らんだ借金を整理するとき、債権者と和解契約を結んで、借金を減額してもらうのが任意整理です。
過払い金利息が発生する場合は借金の総額が減ったり、将来利息のカットができたり、債権者との交渉により月々の支払額を減らすことができます。
和解契約では、借金の総額が減らしてもらうのと同時に、現実的に支払えるだけの金額に分割してもらうことになります。
このようにして、任意整理後は、和解契約で新たに決まった条件にしたがって借金を返済していくことになります。
任意整理和解後の返済ができなくなった場合
任意整理が失敗となってしまうような人っているのかな? 任意整理は、借り入れが0になるわけではないから、リストラにあってしまったり、収入が激減するようなことがあると、返済が難しい状態となってしまうよね。 そんな人の場合、任意整理が失敗となってしまうね。
一旦、任意整理をして借金を減らしたのに、仕事や生活環境が変わったり、健康上の理由などにより急な出費が出たり収入が減少したりして、また返済金が滞ってしまうということはあります。
任意整理後に再度借金を支払えなくなった場合、経済的に立ち直るためには、再び債務整理をするしかありません。
そのようなことが可能なのか、疑問に思う方もいると思いますが、結論を言うと、一度任意整理をした後でも、重ねて債務整理することができます。
任意整理は、あくまで債権者と債務者との間の和解契約にすぎません。
任意整理という名前ですが、要は、債権者との間で私的な約束をしたというだけです。
なので、その後重ねて債務整理をすることには、全く問題がありません。
これと対照的なのが自己破産です。
破産は、裁判所が関与する公的な手続きで、債権者と債務者との間の私的な契約ではないので、7年に1度しかできないということが破産法という法律で決まっています。
任意整理も自己破産も、どちらの場合でも、個人信用情報機関に事故情報が残ってしまう事になります。
自己破産の場合には、保証人がついている借り入れの場合、保証人に迷惑をかけてしまう事になりますから、注意しましょう。
任意整理後に自己破産へ変更することはできるのか
任意整理後に自己破産をする事ってできるの? 裁判所で認められれば、自己破産をする事が可能だよ。
できます。
任意整理によって、今までの消費貸借契約(お金の貸し借りの契約)に基づいて支払う義務があった借金が、和解契約に基づいて支払う義務のある借金に変わります。
しかし、いずれも個人間の契約に基づく借金であることに変わりはありません。
契約に基づく借金が支払えなくなって清算する場合に使う自己破産の手続きは、任意整理をした後の和解契約に基づく借金にも利用することができます。
任意整理から自己破産に切り替えるには
自己破産への切り替えは、裁判所への申し立てが必要です。
自己破産は、民事再生、特定調停、任意整理といった他の債務整理の方法とは異なり、債権者の同意が必要ありません。
したがって、任意整理から自己破産に切り替える際に、特別な手続きは不要です。
任意整理で交渉中だった、消費者金融や金融機関、ローン会社の許可すらいりません。
ただ、債権者との交渉の経緯が、破産後の免責の判断に影響する場合があるので注意が必要です。
切り替える際に免責にできるかどうかの判断
判断基準は、一般の自己破産と同じです。
債権者を害する目的で財産を減少させた場合、著しく不利益な条件で債務を負担した場合、一部の債権者だけに借金を返済して他の債権者を害した場合、ギャンブルなどで浪費を繰り返した場合など、破産法252条1項に記載されている事由にあてはまらなければ、免責できます。
仮にあてはまったとしても、破産手続開始決定にいたった経緯その他いっさいの事情を考慮し、免責を許可するのが相当であると裁判所が認めてくれたときには、免責できます(破産法252条2項)。
要は、この人に経済的に立ち直らせる機会を与えるべきかどうかを、一切の事情を元に裁判所が決めるということです。
そのような場合に、任意整理の際の交渉態度が考慮されることがあります。
- 債権者と誠実に交渉しようとしたけれども、債権者が過酷な条件でしか和解に応じてくれないがために、結局破産になってしまったという場合は、免責が認められやすくなります。
- 債権者が現実的な返済条件を提示してくれているのにそれに応じず、借金を返していくための十分な努力を怠ったとみなされてしまう場合には、免責が認められにくくなります。
任意整理での返済ができなくなったら弁護士・司法書士に相談
任意整理後に自己破産に切り替える場合には、どういう手続きが必要となるの? まずは、弁護士事務所や司法書士事務所に相談して弁護士回答を得る事が大切だね!
このように、任意整理後に自己破産が可能といっても、二度目の債務整理となると貸金業者が和解に応じない場合もあります。
一度任意整理をしている場合は交渉が難しくなるため、まず任意整理を依頼した弁護士や司法書士に相談をします。
借金内容や任意整理の経緯、状況を把握しているので、その他の債務整理(個人再生または自己破産)への手続きもすんなりといくでしょう。
以前依頼した弁護士や司法書士が辞任していたり、あまりよい弁護士・司法書士ではなかった、法律事務所が倒産しているなどで継続依頼ができない場合は情報収集を行い、別の法律事務所を探しましょう。
ほとんどの法律事務所は、債務整理に関する法律相談は無料です。
一人で悩んだり、返済が遅れてしまう、滞納してしまう、借りるところがなくてヤミ金に手を出してしまう前に、まずは専門家へ相談し、改めて借金返済の手段を考え、生活を立て直していきましょう。
弁護士費用は任意整理の時よりも高くなってしまう事が多いのですが、一括返済ではなく、分割での支払いとなることがほとんどですから、返済に困ったら、気軽に相談しましょう。
西岡容子
青山学院大学卒。認定司法書士。
大学卒業後、受験予備校に就職するが、一生通用する国家資格を取得したいと考えるようになり退職。その後一般企業の派遣社員をしながら猛勉強し、司法書士試験に合格。
平成15年より神奈川県の大手司法書士法人に勤務し、広い分野で実務経験を積んだ後、熊本県へ移住し夫婦で司法書士法人西岡合同事務所を設立。
「悩める女性たちのお力になる」をモットーに、温かくもスピーディーな業務対応で、地域住民を中心に依頼者からの信頼を獲得している。
以後15年以上、司法書士として債務整理、相続、不動産を中心に多くの案件を手掛ける。
債務整理の森への寄稿に際しては、その豊富な経験と現場で得た最新の情報を元に、借金問題に悩むユーザーに向け、確かな記事を執筆中。
■略歴
昭和45年 神奈川県横浜市に生まれる
平成5年 青山学院大学卒業
平成14年 司法書士試験合格
平成15年 神奈川県の大手司法書士法人に勤務
平成18年 司法書士西岡合同事務所開設
■登録番号
司法書士登録番号 第470615号
簡易裁判所代理権認定番号 第529087
■所属司法書士会
熊本県司法書士会所属
■注力分野
債務整理
不動産登記
相続
■ご覧のみなさまへのメッセージ
通常、お金のプロである債権者と、一般人である債務者の知識レベルの差は歴然としており、「知らない」ことが圧倒的に不利な結果を招くこともあります。
債務整理の森では、さまざまなポイントから借金問題の解決方法について詳しく、わかりやすく解説することに努めています。
借金問題を法律家に相談する時は、事前に債務者自身が債務整理についてある程度理解しておくことが大切です。
なぜなら大まかにでも知識があれば法律家の話がよく理解できますし、不明な点を手続き開始前に質問することもできます。
法律家に「言われるがまま」ではなく、自分の意思で、納得して手続きに入るためにも当サイトで正しい知識をつけていただけたら幸いです。
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