クレジット債務とは?リボ払いの扱いや審査への影響
クレジットカード発行の申込書を書いていたら、クレジット債務っていう項目があったんだ。
クレジット債務って何?
クレジット債務とは、現在どの位クレジットカードを利用しているのかを申告する部分だよ。
分割やリボ払いなどが対象になるんだ。
クレジット債務は正確に記載しなければいけないの?
ピッタリ同じ数字にする必要はないけれど、クレジット債務をごまかすような書き方だと、審査に落ちてしまう可能性があるんだ。
今回の記事では、クレジット債務について、詳しく見ていこう。
クレジットカードの申し込みをすると「クレジット債務」の年間利用予定額を聞かれるケースがあります。
そもそもクレジット債務とは何なのか?
クレジット債務を聞かれる理由は何か?
クレジット債務が多かったらどうなるのか?
カードの審査に通りやすくするにはどうしたら良いのか?
今回は、クレジット債務に関するそういった疑問にお答えしていきます。
クレジット債務とは
クレジット債務とは、商品やサービスを割賦で購入した場合の債務です。
つまり、分割払いで支払いをした場合にクレジット債務になると理解しましょう。
クレジットカードを使う場合には、以下のような支払い方法がクレジット債務になります。
2回払い
2回払いとは、クレジットカードを利用したときに2回で支払いをする方法です。
たとえば10万円の商品を購入したら、1か月に5万円ずつ、2か月で完済します。
手数料はかからないことが多いです。
リボ払い
リボ払いとは、どれだけ負債が増えても毎月一定額の元本額を支払う方法です。
たとえば月1万円ずつのリボ払いの場合、5万円の商品を購入したら月1万円ずつ5回払いにします。
さらに5万円の商品を購入し、合計10万円になったら月1万円ずつ10回払いにします。
このように「1回の支払い額が固定される」というのがリボ払いの特徴です。
分割払い
分割払いは、商品やサービスの購入代金を3回以上の分割で支払う方法です。
リボ払いとは異なり、月の支払い額が変動します。
利用額が大きくなると毎月の支払金額が大きくなり、返済は苦しくなります。
たとえば5万円のものを買って月1万円支払っていたところ、さらに5万円のものを買い足したら月2万円ずつ支払うことになります。
ボーナス払い
ボーナス払いは、毎月の返済額を少額に抑えながら、ボーナスが入ったときに一気に支払いをする方法です。
2回払いやリボ払い、分割払いなどと組み合わせることも可能です。
フレックス払い
フレックス払いは、毎月の最低支払額を設定し、それさえ支払っていれば後はどれだけ返済してもかまわないという制度です。
支払い方法を固定せずに都合の良い方法で返済を行えるので、収入に変動がある人などの場合に利用しやすくなっています。
以上に対し、クレジットカードを使う場合でも「一回払い」はクレジット債務になりません。
クレジット債務に含まれるローンと含まれないローン
何を購入してもクレジット債務に含まれるの?
クレジットを利用しても、クレジット債務に含まれる物と含まれない物があるんだよ。
次に、クレジット債務に含まれるローンと含まれないローンの種類について、説明をします。
クレジット債務に含まれるローン
クレジット債務に含まれるのは、以下のようなローンです。
クレジットカードを使ったショッピング
先にご説明した2回払い、リボ払い、分割払い、ボーナス払い、フレックス払いのショッピングのケースです。
携帯電話の割賦弁済
携帯電話の端末を購入するとき、端末代を2年の分割払いにする方が非常に多いです。
その場合には、携帯電話の割賦返済金がクレジット債務となります。
エステや英会話教室などのサービス利用の分割払い
こういったサービスを契約するときには、利用料金について、クレジットを使った分割払いにするケースがあります。
その場合クレジット債務に含まれる可能性があります。
絵画や宝石、パソコンなどの商品購入の分割払い
高額な商品を購入するときには、クレジットを使った分割払いにするケースがありますが、そういったケースでもクレジット債務となります。
上記のような債務があるなら、クレジットカード申込書の「クレジット債務」欄に記入しましょう。
クレジット債務に含まれないローン
一方、以下のような支払いはクレジット債務に入りません。
- クレジットカードのキャッシング
同じクレジットカードの利用分でも「キャッシング」はクレジット債務に含まれません。
キャッシングにもリボ払いや分割払い、ボーナス払いなどが適用されますが、「クレジット債務」としての申告義務はないので間違えないようにしましょう。
ただしキャッシングについては「他社からの借入、ローン」という別項目で申請する必要があるので、その欄にはきちんと記入しなければなりません。 - 住宅ローン
住宅ローンは不動産購入の分割払いですが、クレジット債務には含まれません。 - オートローン
自動車を購入する際に利用するオートローンもクレジット債務ではありません。 - 奨学金
奨学金などの借入債務もクレジット債務ではありません。 - その他の金融機関からの借入
銀行からの教育ローンや事業用ローン、消費者金融からのおまとめローンなどの各種借入に関しては、クレジット債務に含まれません。
申告すべき「年間利用予定額」の意味
年間利用予定額も、クレジット債務と同じなの?
クレジット債務は、現在までのクレジット利用の金額だけれど、年間利用予定額は、今後1年間を予想した金額だよ。
クレジットカードの申込みをすると、クレジット債務の現在残高ではなく「年間利用予定額」を聞かれるケースも多々あります。
年間利用予定額とは何なのでしょうか?
年間利用予定額の意味と計算方法
年間利用予定額とは、その後1年にクレジット債務を利用するであろうだいたいの金額です。
つまり「今後一年間に、どのくらいクレジットカードのショッピングや携帯電話の分割払いなどを利用するか」を自分で計算して申告する必要があります。
たとえば現在携帯電話の端末代を毎月5000円で分割返済中の方は、12か月分の60000円が利用予定額となります。
商品を購入した代金を毎月1万円払っていて、あと10回の返済が残っている場合には年間利用予定額は10万円です。
上記の携帯電話と商品の両方の利用があれば、年間利用予定額には合計額の「16万円」と記入します。
どのくらい正確に書く必要があるのか
年間利用予定額を書くとき、どのくらいまで正確な金額が必要か迷ってしまう利用者がおられます。
基本的に、厳密に考える必要はありません。
たとえば申込書に「20万円」と書いたけれど実際には19万円や21万円だったというケースでも、さして問題にはなりません。
だいたいの金額を計算して書けば足ります。
ただし、明らかに債務を隠そうとすると、悪質と捉えられて審査のスコアリングに悪影響を及ぼす可能性があります。
クレジットカードの会社は個人信用情報機関で、過去の借入について調べることができるので、怪しいと思えば申込者の本当のクレジット利用履歴や現状を確認できるからです。
クレジット利用額を故意に隠してはいけませんが、だいたいの金額が書けていればざっくりとした計算でかまわないと理解しましょう。
現在すでにクレジットの残高がある場合
クレジット債務の申告をするとき、現在すでに残高がある場合には注意が必要です。
申告フォームには「年間利用予定額」とあるので、今後1年に新たに利用する予定のある額と思ってしまう方がいますが、そうではありません。
ここには「現在の残高+今後1年の利用分」を書く必要があるからです。
たとえば既にクレジット債務が20万円あり、今後1年で16万円利用する予定があれば、合計36万円と書かねばなりません。
間違わないように注意してください。
クレジット債務を聞かれる理由
何でクレジット債務を記載する欄があるの?
クレジットカードを発行して会員になっても、返済できなければクレジットカード会社は困ってしまうよね。
だから、返済能力を調べる手段の1つとして記載するんだよ。
クレジットカードの申込みをするとき、なぜクレジット債務の利用予定額を聞かれるのでしょうか?
それは、申込人の返済能力をはかるためです。
クレジットカードは非常に利用しやすく、たくさんのカードを作って返済能力以上に買い物をしてしまう人がいます。
現在は「総量規制」という制度が導入されて、年収の3分の1間でしか借入をできないようになりましたが、ショッピング利用分は総量規制対象外ですので、年収の3分の1の限度額を超えて多額の利用残高を残している人もいます。
カード会社としても、貸付をして返済してもらえなくなると困りますので、クレジット債務の状況を確認し、すでに多くのカード利用がある人や返済能力の低そうな人にはカード発行を見合わせるようにしています。
クレジット債務は審査に関係するのか
クレジット債務は、カード発行の審査にどのように影響するのでしょうか?
上記のように、クレジットカード会社がクレジット債務の残高を確認するのは、申込者の支払い能力を測り、カード発行を認めるかどうか検討するためです。
当然、クレジット残高が多いと「返済能力が低い」、「滞納のおそれが高い」ことになるので、カード発行を拒否される可能性も高まります。
クレジット債務について、虚偽の申請は可能か
「クレジット債務が大きいとカードを発行してもらえない可能性がある」と聞くと「虚偽の申請をすれば良いのではないか?」と考える方もいます。
しかし、虚偽の申請をするのはまずいです。
先ほども説明した通り、カード会社や信販会社には、個人信用情報を確認する権限があるからです。
個人信用情報とは、国民1人1人のクレジットやローンの利用履歴や残高に関する情報です。
個人信用情報を照会すると、その人がどこのクレジット会社やローン会社から、いつどこでいくらの借入をしているのかが一覧でわかります。
ショッピングなどのクレジット債務だけではなくキャッシングやその他のローンも判明します。
そこで、虚偽を申告しても、調べられるとすべてバレてしまいます。
また、本来は審査に落とされるほどの多額のクレジット債務でなくても、わざと隠して申告すると「悪質」と判断されて、審査に落とされる可能性が高くなります。
このようなリスクを考えるなら、クレジット債務がある場合、虚偽申告はせずに正直に申告すべきです。
クレジット債務は相続の対象となるのか
クレジット債務も相続の対象になるの?
そうだね。
クレジット債務だけではなく、借金のほとんどが相続の対象となるんだよ。
現在クレジット債務を抱えている場合、「このまま死亡したらその債務が子ども達に相続されるのか?」と心配される方がおられます。
実は、クレジット債務に限らずほとんどすべての借金や負債は相続の対象になります。
たとえば以下のような負債が相続されます。
- クレジットカードのショッピング
- クレジットカードのキャッシング
- 車のオートローン
- 銀行カードローン
- カードローン会社や消費者金融から借り入れ
- 保証債務
- 教育ローン、事業用ローンなどの金融機関からの借入全般
- 商品やサービスの購入代金
- 損害賠償債務(交通事故など)
- 滞納していた税金
- 家賃、光熱費
住宅ローンも一応相続対象ですが、住宅ローンの場合には「団体信用生命保険」に入っていることが多く、死亡した場合には保険が下りて一括払いされるのであえて記載していません。
負債を相続した場合、相続人たちは「相続放棄」や「限定承認」という手続きをしない限り、相続した負債の支払いをしなければなりません。
相続人が支払えない場合、相続人自身の財産(家や預貯金)を差し押さえられてしまいますし、最悪の場合には相続人が自己破産しなければならないケースもあります。
そのようなことを避けるには、生前に借入をした本人が「債務整理」をしておく必要があります。
債務整理とは
債務整理って何?
債務整理をすれば借金を相続しなくても済むの?
債務整理にも、任意整理や個人再生、自己破産など様々な種類があるから、債務整理の種類によっては相続しなくても済む場合もあるね。
債務整理とは、クレジット債務やキャッシング債務、銀行ローンや自動車ローンなどの支払いが苦しいときに、支払い方法を変更して借金を整理する手続きです。
全体的な金額を減額してもらったり利息をカットしたり元本を減額、免除したりして、支払いが苦しく立ちゆかなくなった状況を解決します。
債務整理というと自己破産が有名ですが、自己破産ではなく任意整理を選べば財産を失わずに個別の借金だけを減額できますし、個人再生をすれば住宅ローンがあっても家を守れます。
債務整理をすると、信用情報機関に事故情報(ブラック情報)が残り、保有しているクレジットカードや家族カードが使えなくなってしまい、新たなクレジットカード契約ができなくなってしまう事が多いのですが、すでに借り入れが多くなってしまっているのであれば、新たなクレジットカードの契約者となるのではなく、債務整理を検討するのがお勧めです。
クレジットカードを作れないと困るという場合には、デビットカードを利用する事で解決できる場合もあります。
債務の問題でお困りなら、一度債務整理に強い弁護士や司法書士に相談してみると良いでしょう。
まとめ
クレジット債務について良くわかったよ!
クレジットカードの審査に通るためには、できるだけ正確な数値を記載することが大切なんだね。
クレジットカードは便利だけれど、クレジット債務が大きくなってしまうと、返済に困ってしまう事があるから、借り過ぎには十分注意しよう。
クレジットやローン契約の利用残高が多額になると、新たにカードを発行するのは難しくなります。
もしも返済が苦しくて、完済の目処が立たないのであれば、早めに弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。
福谷陽子
元弁護士・ライター。
弁護士としての活動した約10年間のうち、7年間は独立開業して事務所の運営を行う。
実務においては債務整理案件を多数担当し、任意整理・個人再生・自己破産のみならず、過払金請求も手がける。
その経験をもとに、現在はライターとして法律関係の記事を執筆している。
■略歴
・京都大学法学部在学中、司法試験合格
・京都大学法学部卒業後、司法研修所入所
・弁護士登録・某法律事務所にて勤務
・独立し、陽花法律事務所を設立
・弁護士活動を停止し、ライターに転身
■ご覧のみなさまへのメッセージ
借金問題を抱えていると、追い詰められた気持ちになるものです。
「どうしようもない」「借りた自分が悪い」「借りたからには返さなければ」と律儀な思いを持ち、必死で返済を続けている方もおられるでしょう。
しかしどんなに頑張っても返済できない借金があるものです。
法律は借金返済できない方や苦しくなった方に救済手段をもうけています。
債務整理をすると嘘のように借金問題を簡単に解決できるケースが本当に多いです。
借金問題に悩んでいる時間はもったいないです。
債務整理は恥ずかしいことではないので、勇気を出して専門家へ相談していただきたいと思います。
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