債務整理は全国対応か地域密着どちらに依頼すべきか

 

クマ

弁護士事務所ってたくさんあるけれど、全国展開している場合と、地域密着である場合、どちらがお勧めなの?


ミミズク

全国展開している事務所と地域密着である事務所、それぞれにメリットとデメリットがあるんだ。

今回の記事では、双方の違いや特徴をチェックしていこう!

昔は士業の事務所といえば5人以内くらいの小規模なイメージを持たれることが多かったことでしょう。

しかし現在の弁護士、司法書士は法人化が認められているためその規模の二極化が進んでいると言われています。

大規模なところになると資格者数十人、数百人を抱えてさながら一つの会社組織のような形態となっています。

そういった事務所の中には全国に支店を展開したり、東京にいても他県からの案件を募ったりして膨大な債務整理を処理しているところもあるのですが、このような事務所は果たしてどのような特徴を持ち、依頼者にとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

全国対応している事務所の特徴

クマ

全国展開をしている事務所の特長を教えて!


ミミズク

拠点数が多いという事かな。

その他にも実績が多いという事などもメリットとなるよ。

全国対応できる事務所の特色の1つとして、「拠点を数多く持っている」ということが挙げられます。

拠点を多く持てるのは「弁護士法人、司法書士法人」という組織になっているからです。

弁護士については平成14年から、司法書士については平成15年から法人化が認められましたが、それに伴って支店の設置ができるようになりました。

従来であれば1人の弁護士(司法書士)は1つの事務所しか持つことができませんでしたが法人として登録することにより複数事務所が設置できるようになったのです。

各都道府県別の弁護士法人数をグラフにすると以下のようになりますが、やはり東京・大阪などの大都市に集中する傾向があります。(資料:日本弁護士連合会 弁護士白書2015)

日本弁護士連合会 弁護士白書2015

引用:http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/statistics/data/white_paper/2015/1-4-2_hojinsu_2015.pdf

つまり、東京などを拠点とした上で地方の各支店に常駐の資格者を置き、支店の周辺都市も含めて相談者を募って案件を処理するというのが大事務所の一つのあり方として確立してきたということでしょう。

複数の資格者を置き、事務員の業務もマニュアル化されているという「会社化」した仕事の進め方がこういった事務所の特色です。

全国対応事務所のメリット

全国対応できるとうたっている「支店を持つ法人事務所」は、どのような点で優れているのでしょうか。(支店を持たずに「全国対応」として案件を集めているに過ぎない場合、下記にあてはまらないこともあります)

業務効率が良いことが多い

上記のように、法人事務所であれば業務フローが出来上がっていることも多いので、処理スピードが速く効率的ということが挙げられます。

依頼者からの事情の聴き取りもしっかりしたマニュアルができていれば、情報の聞き漏らしによる手続き選択ミス等も減らせます

借金に苦しむ債務者の中には一刻も早く処理を進めてもらって借金問題から解放されたいという人が少なくないため、こういったスピード感は頼もしいと感じられることでしょう。

債務整理に特化し経験値が豊富

全国対応事務所の強みは何と言っても経験した案件の数、そしてバリエーションの豊富さです。

地方の個人事務所ではとても経験したことがないようなケースでも、大きな事務所であれば過去の事例を参照して対応を考えるということもできるのです。

消費者金融などの債権者側も、法律事務所、司法書士事務所のランク付けをしており、やはり実績の多い有名事務所であればそれなりの対応をしています。

また、本店、支店間の連絡システムも出来上がっていることが多いので、刻々と変化する債権者の対応や各地方裁判所の取扱い、法改正の情報共有などもスムーズです。

支店が多ければ多いほど全国の情報を漏れなく収集することができる可能性が高まります。

複数の法律家がいることで事務所全体の経験値が上がっていくということもあります。

もし困難な案件に当たっても、何人かの法律家がいれば別の解決案が出てくることもあるということです。

料金に対して不安を感じる場合には、法テラスを利用する事ができる場合もあるでしょう。

支店に法律家が常駐する場合は直接面談できる

この点は法律家の職業倫理にも関わってくる問題ですが、大きな事務所では「法律家と本人が一度も顔を合わせずに事件を受託する」という事案が頻繁にあり、これについては日本弁護士連合会(日弁連)や日本司法書士会連合会(日司連)も適切な処理の方法ではないと問題視していました。

そこで、日本弁護士連合会は「債務整理事件処理の規律を定める規程」、日本司法書士会連合会も、「債務整理事件の処理に関する指針」を出し、その中で原則として依頼者本人に会わなければならないとしています。

もし支店が各地に存在する大事務所であればこういった指針についても遵守できるシステムが出来上がっているということになります(支店がない事務所でも飛行機などで会いにいっているところもありますので必ずしもこういった指針に違反しているとは限りません)。

24時間365日相談可能など対応の充実度

法曹界における広告自由化に伴って「お客様へのサービスを重視する」という姿勢を前面に打ち出す事務所が増えてきています。

昔であれば、平日9時から18時など役所関係に近い時間帯しか法律相談や電話を受け付けていなかった事務所が圧倒的に多かったのですが、最近では随分依頼者の利便性を考えた相談体制を整えてきています。

特に大都市圏の法人では職員がシフトを組んで24時間体制で電話を受け付けている、年中無休であるといったところも出てきています。

多重債務者の中には借金返済のために昼夜となく働いていたり、休日などほとんど取れなかったりという人もいます。

そのように仕事のかけもちをしている、「ブラック企業」に勤めているという債務者は平日に有給を取って相談先に出向くなど到底無理な話です。

こういった債務者が借金問題を先延ばしにしないためにも、休日や深夜といったイレギュラーな時間帯に相談できる事務所は非常に利便性が高いといえるのです。

隣接士業との連携をはかっていることも多い

大規模な事務所では、弁護士事務所でありながら司法書士や行政書士といった様々な分野の専門士業を社員として雇っていることも多く、社外であったとしても密接に連携を取っていますので、一つの案件に複数の士業が関わらなくてはならなくなった場合にも素早い処理が可能です。

全国対応事務所のデメリット

このように全国からの案件を受託するような大事務所にはメリットも多いのですが、同時にデメリットもあることを知っておかなくてはなりません。

郵送のみの場合は注意が必要

上記のように依頼者が訪問できる範囲に支店を持っていたり、法律家が会いに来てくれるような事務所であれば良いのですが、法律家としての倫理観が薄い事務所の場合、「ご来所いただかなくても手続きできます」と宣伝し、郵送での委任状などのやりとりのみで一度も直接会わずに手続を進めてしまうことがあります。

このようなやり方をしていると、法律家サイドが必要な情報を十分に得られないことから手続選択の判断などで重大なミスをおかす危険もあるということです。

これは、弁護士・司法書士の法人化が認められて以来巨大化してきた一部の法人が極端な商業主義に陥っている傾向の表れといえます。

テレビやラジオのCM、インターネット広告、新聞折り込みチラシなどあらゆる手段を駆使して債務整理の相談者を集め、とにかく売上さえ上げればよく本人の経済的再生など二の次という悪質な事務所も中には存在します。

依頼者の側もほとんどの場合、法律家にアクセスするのが初めてで、「どこもこんなものだろう」と思ってしまうことが多いのですが、債務整理業務を適正に行うためには本人から丁寧に事情の聴き取りをすることは欠かせないプロセスだということを依頼者側も知っておかなければなりません。

着手金や、減額報酬金、成功報酬額はそこそこ高いのに仕事が雑という悪質な事務所を最初に見抜く意味でも、複数事務所を比較して対応の違いを比べてみることは重要なのです。

細かい部分の相談ができないことも

法律家に一度も会わずに手続きするというのは論外でしょうが、法律家が面談したとしても大事務所の場合、非常に機械的なこともあります

上記のように、借入れ情報、本人の月々返済額や家庭の事情などは、債務整理手続きの種類選択やその後の交渉等において重要な要素ですが、聞き取りが雑な場合、うっかり大切なことを見落とすことがあります。

そうなると手続き自体の選択ミスを起こしたり、支払い計画が甘くなって途中で頓挫する危険性もあるのです。

「こんなことまで聞かれるのか」というくらい、色々な方向から聞き取りをするのが本当に親切で、丁寧な仕事をしている事務所といえるのではないでしょうか。

案件が多すぎて「放置」されるケースが実際にある

あまりにも案件を抱え過ぎている事務所では、依頼者が着手金を払ったにもかかわらず「事件放置」をして依頼者本人や、債権者から懲戒の申立をされるケースがあります。

受任通知を出して取り立てが止まった後で案件の処理が遅れていると、債権者の中には定期的に法律家に宛てて「確認書」の類を送ってくることがあります。

「〇〇さんの債務整理の件につき、現在の状況と今後の見通しをお知らせください。
1.他社の取引履歴取り寄せ中
2.任意整理予定
3.個人再生申立予定(〇月〇日頃)
4.自己破産申立予定(〇月〇日頃)
連絡事項(            )」

債権者によって異なりますが、おおよそこのような内容です。

また、債権者から法律家に「状況確認」の電話がかかってくることもしばしばあります。

「現在、自己破産の書類準備中です。〇月末頃には申し立てをする予定です。」などと答えられればよいのですが、債権者によってはあまりにも法律家の処理が遅いと訴訟を提起して判決を取り、差し押さえをかけてくることも考えられます。

もちろん、手続きによっては債務者本人の書類収集などの協力がないと進められないものもあるため、本人の非協力により遅れてしまう場合もありますが、法律家側の事情で遅れ、本人に不利な状況になるのではせっかく依頼した意味がありません。

もしいったん依頼しても、途中で納得できる理由も説明してもらえずに事件処理が遅れているようであれば法律家を解任する勇気も必要です。

「美味しいところ取り」の事務所に注意

地方に支店を置く事務所であればまだ良いのですが、東京にしか事務所がなく、そこから全国の案件を集めている事務所の場合、地方での中途半端な案件集めによる相談者の混乱という問題も起こっています。

地方ではよく新聞の折り込みなどに入っているのですが「借金無料相談会」などと銘打って相談者を募り、「多額の過払い金請求がある美味しい案件だけを受託し、過払い請求なしであるような、儲からない案件と見るや否や結局たいしたアドバイスもせず『うちでは無理だから地元の事務所を探してください』と言って終わり」ということがあるのです。

実際、地方の事務所の法律家からこういった無責任な対処をする事務所に対する苦情も出ています。

もし、本当に債務者のことを考えて「この案件は地元事務所の方がより良い対応をできる」と考えるのであれば、具体的にその地元事務所と連携して優良な法律家を紹介するというところまでケアするべきでしょう。

そのようなこともせず、案件を選別して「儲かる、儲からない」を基準に切り捨てるのであれば、あまりにもその地方の相談者に対して不親切です。

色々な考え方はあるでしょうが、基本、その地域に何の拠点も持たないのに遠征してきて相談会をしている場合、債務者にとって親身にケアしてくれる事務所にはなりえない確率が高いのではないでしょうか。

過剰な広告宣伝をしている事務所は報酬が高いことも

広告をすること自体は弁護士会、司法書士会でも禁止されているわけではありませんしそのこと自体が悪とはいえません。

ただ、法律サービスに限らずどんな商品でもそうですが、広告宣伝費に過剰な費用をかけている場合、依頼者の報酬金がその分高く設定されている可能性があり、費用面で負担を感じる場合が多いということも念頭に置いておかなくてはなりません。

なお、弁護士報酬や司法書士報酬については現在、自由化されているため一概には言えず、必ずしも大事務所の方が高いというわけではなく、事務所単位で報酬体系も具体的な金額もばらばらなのが現状です。

地域密着事務所のメリット

クマ

地域密着の場合には、どんなメリットがあるの?


ミミズク

親身になって弁護士先生に相談に乗ってもらえる場合が多いよ。

しっかりと相談に乗ってもらう事で、安心感を得る事ができるんだ。

では、逆に地元に根付いている中小事務所のメリットを見てみましょう。

対面できるので相性がわかりやすい

地元の特に中小事務所で一番安心できるのは、「法律家の顔が見える」ということでしょう。

やはり債務整理の相談では家庭の事情やお金といったプライベートをすべてさらすわけですから、人間的な信頼関係が築けることは大切な要素です。

理屈ではなく、この人には話せるという直感的な部分での相性判断も必要になるでしょう。

また、小規模な事務所であれば不安な点が出てきた時、毎回直接法律家が出てきて相談に乗り、不安を解消してくれることもあります。

債務整理途中の債務者は「本当にちゃんと解決できるのだろうか」という不安や緊張感にさらされており精神的に不安定なことも多いといえます。

そこで、たとえ同じ手続きの結果になったとしても親身な対応をしてくれたかどうかで債務者の満足度はまるで違ってくるということもあるのです。

色々な点で「融通が利く」ことがある

大きな事務所であれば対応がマニュアル化しているため、「報酬は〇回払いまででなければ依頼自体、受けられません」ということもあるでしょうが、中小事務所であれば債務者の事情に応じて融通を利かせてくれる面もあります。

もちろん、法律や会の規則で決まっていることであれば事務所単位での判断をすることはできませんが、それ以外のことは柔軟に対応してくれる可能性もあります。

地域密着事務所のデメリット

では、一方で地方の中小事務所のデメリットとは何でしょうか?

債務整理の実績が薄い場合が多い

東京、大阪などの大都市と地方都市では基礎となる案件数の違いは明らかです。

ノウハウが蓄積されていない事務所の場合、やはりが遅くなることも考えられますし、最もひどいケースでは手続選択を誤る危険性もあり、任意整理を進めたけれど、後々個人民事再生や自己破産の手続きをし直さなければいけない事もあるのです

ただ、地方といえども、その県で債務整理に関してトップレベルの案件数を受託する事務所を選択すれば「はずれ」を引くリスクはそれほど高くはないでしょう。

内容によっては受け付けてもらえないケースもある

上記のように、中小事務所では「案件数」において大都市に劣ることがあるので、債務者が希望する内容(かつ、適している内容)の手続き自体をその事務所が未経験ということもあります。

こういった場合にはもちろん他の事務所を紹介してもらえることもあるでしょうが、自分でまた1から探す手間をかけなければならないこともあります。

まとめ

クマ

全国展開も地域密着も、どちらも魅力的にかんじるよ。


ミミズク

そんな人の場合には、様々な法律事務所に無料相談を利用して相談に行くことがお勧めだよ。

いかがでしょうか?

結局のところ、大事務所と中小事務所、どちらにも一長一短あるため、どちらが良いのかは債務者の重視するポイントにもよってきますが、選び方のポイントをまとめると以下のようになります。

  1. 実績重視なら大事務所親身な対応重視なら中小事務所。大事務所に頼む場合でもできれば支店が自分の地域にある方が良い対応が望める。
  2. 報酬は各事務所まちまちであるため、事務所の規模により決まるわけではないが、派手な広告をしている事務所はその分高いこともある。どこに頼むにせよ、依頼の前には必ず見積を取る
  3. 案件を受け過ぎて対応が雑、極端な儲け主義の大事務所には気をつける。イメージだけで判断せず実際に相談することが肝心。違和感があればやめておくのが賢明。
  4. 地方であってもある程度債務整理の数をこなしている事務所を選ぶ。小規模でも経験豊富なところもあるが、開業間もないようなところはやはり案件処理能力に不安が残る場合があるので注意
  5. 無料相談の際に色々と質問をしてみることである程度実力を判断できる。

迷っている場合は、規模の異なる事務所複数の相談無料の事務所に行ってみるのも良いかも知れません。

とにかく正式依頼の前に自分自身の目で確かめることが大切だと覚えておきましょう。

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西岡容子

西岡容子

熊本にて夫婦で司法書士事務所を営む。10年以上の実務経験で、債務整理の経験も豊富。現場での経験を活かしてユーザーのためになる確かな記事を執筆中。

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