【第1回】ギャンブル依存症患者の思考回路

 


債務整理についてコラム書かない?と言われたので、僕もちょっと債務整理には言いたいことありますよ、なにせ僕の友人の大半は債務整理みたいなことが出来ず、社会的に「もうだめ」になっていきましたから。そんな気持ちがあります。僕自身も言うまでもなく借金玉ですし。どうも、借金玉です。

僕は北の方のあまり治安のよくない地域の出身です。そして、僕が少年時代を過ごしたのはまさにパチスロ全盛期。我々スラムチルドレンといったら、十代前半からジャンジャンバリバリギャンブルに興じているのが標準だったわけですが、そこで極めて自然に起きてくる問題として「借金」があります。

今は規制などもあり下火になったわけですが、1985年生まれの僕が少年時代を過ごした時代のパチスロ熱といったら凄まじいものがありました。朝一番でパチンコ屋に数百人が列を成すのです。閉店から朝まで並んでる奴とかいたね。当然、一日の勝った負けたも10万20万は当たり前の世界。最低賃金が600円台(当時)の地域でコツコツコンビニ労働をして一か月働いても手に入らない額が、一日でポーンと飛び出して来たりするのです。そりゃ高校サボって並びますよ。

十代の若者はコテンコテンに負けても家に帰れます。スラム地域としては、生活が自立していない子供がとても多く、大体は実家暮らし。有り金全部負けるなど日常茶飯事だったわけですね。しかし、「お金の使い方」はいわゆるマネーリテラシー、この資本主義社会を生きていく上で必須の能力と言えます。それを養う大事な時期に「給料日に有り金全部負けた」とかやってると、そりゃそうだよというお話で借金がすごいことになるのです。

マネーリテラシーがない

僕は十代を仲間と部屋をシェアして暮らしていました。一か月の家賃は一人2万円の3人暮らし。大学を辞め、人生も7割くらい辞めていた時期でしたのでとにかく支出を最低限に抑えて楽しく暮らすために取った策です。最低賃金が底にへばりついているノーススラムにも良いところはあり、家賃がとても安いのです。70平米くらいの部屋を3人で借りてこれですから、そんなに生活はキツくありません。

一か月、お婆ちゃんから習ったスラムの知恵袋を活用すれば6万円くらいは稼げます。これで本を読んだり酒を呑んだり、コンプライアンスの厳しいところではちょっと書けないようなことをして僕は結構楽しく暮らしていました。そうすると、冬場の虫がちょっと暖かいところに集まるあの理屈で、どんどん住人が増えていきます。その多くは「家を追い出された」「借金から逃げている」「反社経営のあれからバンスを借りたらすごいことになった」「(コンプラ)」などの人間でした。

そう、トラブルの根源は「金」だったのです。(あとは「親」)こうやって書くと「恵まれないチルドレンが寄せ集まっている」みたいな暖かな雰囲気も出るかもしれませんが、現実は全く違います。同情の余地など一切ない連中の吹き溜まりです。では、その「借金」に至るルートとして最も多かったのが「ギャンブル(依存症)」です。

「賭場から出られない」という経験は僕にもあります。月収6万円の僕が2万円もパチスロ台に呑まれたら、後はもう財布が空になるかサバンナチャンスのサウンドが鳴り響いてドル箱が積まれるまでは椅子から立てません。彼らのパターンは同じです。稼ぐ、スる、借りる、スる、稼げなくなってくる、スる、お終い、です。僕がこのパターンに嵌らなかった理由はお酒と薬物などに強い関心があり、ギャンブルはその次だったからです。(それはそれで大問題で、措置入院になりました)

そして、この異常でありながら画一的な行動パターンの源泉に何があるかと言えば、「マネーリテラシーを学ぶ機会が絶望的になかった」ということが言えると思います。僕は度々、借金地獄に陥った奴に「今いくら借金あるんだ?」と質問しました。しかし、一度たりとも自分の借金額を正確に把握している人間に出会ったことがありません。「大した借金じゃないだろ、1年ガマンして暮らせ」と支出と収入から逆算した生活規範を作ってやっても、誰一人どうにもなりませんでした。僕も今では「借金がキツイ」という人間にはただ一言「専門家を頼れ」ということになしています。素人にどうにか出来るシロモノじゃないということは、身に染みてわかりました。

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依存の問題

借金には依存性がある、と僕は思います。お金がない日、このまま家に帰れば白米にポン酢でもかけてハラをふさいで寝るしかない。こういう状況下で、ポンと5000円が手に入ると人間は回転寿司とかを食べてしまいます。「お金が手に入った」わけですから、祝いをやらなければいけないという機運が出るのです。また、借金して食う寿司はうまいという問題もあります。

マネーリテラシーのある人は、「これは借金だからこの寿司はダメだ」と考えられるのですが、日銭で暮らすスラムチルドレンには「寿司うまい」で終わりです。「利子がつく」とかも概念としてはボヤっとわかっているのですが、本質は一切理解していません。「家に帰ってポン酢メシを食うしかなかったが、寿司が食えた」。脳にインプットされる本質はただこれだけです。そして、この気持ちが僕には痛いほどわかります。

これは、明確に依存を生み出します。だって、ポン酢メシが寿司に化けるんですよ?そりゃ借りるでしょう。いやね、これを「なんて意志力の弱い人間だ」って思ってる皆さんも、一回ノーススラムで暮らしてみてくださいよ!あそこには娯楽も文化も人の営みもないんですよ。厳しい資本主義の掟の中で暮らす野生動物たちに人間の理屈が通じると思うなよ。

で、野生動物たちは最終的にすごいことになります。この野生動物達を救う活動に僕も従事していた時期があります。「今借金いくらあるの?」「仕事は?」「じゃあ、公的なやつに頼って…」。現在の僕は「二度とやらない」と心に決めています。前段でシェア暮らしの話をしましたが、居間のテーブルの上には「カンパ箱」が置いてありました。カンパ箱ですが、入れられた金額より持ち逃げされた金額の方が確実に多かったです。後はお察しください。

やっても出来ないからプロに頼れ

そういうわけで、僕はちょっとした幸運がいくつかあって多重債務地獄に落ちることはありませんでした。その後、会社経営でものすごい額の借金をして借金玉を名乗るようになるわけですが、それは別のお話。

債務整理についてのコラムを書くということは、債務整理が必要な皆さんに読んでもらうことになるのでしょうが、そういうわけで僕の言いたいことは一つです「皆さんが自力で態勢を立て直すことは高確率で不可能なので、さっさと外部のプロを頼りましょう」です。これは、僕自身がアルコールと睡眠薬の依存症から自力脱出が不可能だったのと完全に同じです。

そういうわけで、「債務整理について」は僕がテレテレ説明しなくてもインターネットに大量の知見があるので、そちらを至急調べてどういうものなのかを知り、「明日から頑張ればなんとかなる」というその信仰が事実に基づくものであるのか精査し、適切な行動をとりましょう。ただし、一点だけ。「債務整理」というのは「溺れる者の掴むワラ」です。資本主義には溺れるものを大量漁獲してミキサーに投げ込む悪魔が出ますので、ちゃんとどういうものなのか理解して進めましょう。大丈夫、借金生活からの自力脱出に比べれば簡単だから。

僕は口から錠剤と酒を噴き出してぶっ倒れているところを救急車で搬送され、やっと依存のドン底から抜け出すことが出来ました。それからこの「悪癖」と完全に手を切るのには、更に10年近い月日を必要としました。(なお、救急車を呼んでくれたのは多重債務を抱えた人間でした)

悪しき習慣、知識の欠如、そういったものから抜け出すのはとても難しいことです。さっさとプロを頼りましょう。「適切な」プロを頼りましょう。「プロの悪魔」もたまにいるのでそれはくれぐれもご用心。皆さんの意志力は実に頼りないが、人間はすごいので頼れる人材は存在しています。自分でできないことは他人にやってもらうのが人間の根源的な知恵と言えます。

人生は色々あります。色々ありました。しかし、なんとかうまいこと生き伸ばしていきましょう。やっていきましょう。

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借金玉(ベンチャーネットライターズ)
診断はADHDでコンサータ54ミリを服用しながらなんとか生きている発達障害者。ASDの傾向も多分にあり。大学卒業後、金融機関勤めを経て起業の後大コケしたというキャリアです。現在は雇われ営業マンをやったりブログを書いたりツイッターを書いたり文章を書いたりしています。
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