過払い金詐欺に注意!危険な弁護士・安全な弁護士事務所を見抜く方法とは?
過払い金詐欺ってどんな手口で行われるの?
今回の記事では、過払い金請求で行われる詐欺行為について、詳しく解説するよ!
消費者金融やカード会社に対する「過払い金」の存在、そしてそれを取り戻せることがCM等によって世間に認知されてからもうだいぶ年数が経ちました。
「あなたにも過払い金があるかも?」とか「一度診断してみませんか?」などという言葉に気持ちが高揚してしまい、ついつい連絡したら詐欺業者だった・・ということも決して他人事ではありません。
うっかり騙されて高額の被害に遭うなどということがないよう、過払い金請求を依頼する際の注意点を確認してみましょう。
過払い金詐欺とは
そもそも「過払い金」とは何でしょうか?
過払い金とは、消費者金融やクレジットカードのキャッシング等で、平成20年前後の「貸金業法改正」以前に適用されていた高額の利息を一定期間払っていた人が「実は利息部分を払い過ぎていたから一定の条件を満たすと返還請求できる」というものです。
従前、利息に関する法律には曖昧な部分があり「取ることが合法かどうかがはっきりしない利息(グレーゾーン金利)」がありました。
仮にこのグレーゾーンを利息として取ることを否定し、元金を支払ってきたものとみなしていくと、業者側の言いなりに払っていた人は元金が支払い終わってもなお返済を続けていたことになります。
こうして発生するのが「過払い金」なのです。
昔は過払い金の存在を貸金業者に認めさせることそのものが非常に困難でした。
業者側は「これは合法的な利息だ」と反論してくるのが普通でしたし、ましてや、これを返還させるなど考えられなかったのです。
しかし長年の弁護士や司法書士の努力により貸金業者側に不利な最高裁判例等が積み重ねられ、平成の後半になってからは業者側も返還請求に応じざるを得ない状況となりました。
このことを受けて全国の法律事務所が一斉に「過払い金を取り戻すお手伝いをします」といった広告を打つようになったのです。
ただ、やはり過払い金返還ブームと呼ばれる状況が過熱するにつれ、それに乗じて「悪質な法律事務所」や「資格すら持たない悪徳業者」も出てきました。
例えばこんな事例です。
- 正規の法律事務所ではなく(=過払い金請求を代行する資格がない)怪しい「代行業者」が「過払い金取り戻します」といったDMを送ってくる。
業者との交渉を本人に指示して「本人名義」で行わせ、手数料だけ取る。 - 弁護士が過払い金を取り戻すという触れ込みで実際に弁護士が動いてくれるものの、手数料が異様に高い。
- 弁護士が代行すると言いつつ実際には事務員しか対応せず、弁護士とは一度も面談できない。
- 着手金や手数料といった名目でお金を取っておきながら、実際には手続きすらせず最後には連絡が取れなくなる。
- 代行業者に個人情報を教えて以来、物販など過払い金と関係ないDMが来るようになる。
無資格業者はそもそも論外ですが、本当に資格のある法律事務所であっても良心的なところばかりではありません。
では、さらに具体的にどんな勧誘をしてくるのかを見てみましょう。
過払い金詐欺の手口
DM、インターネットの広告、電話など悪質業者の手口は多岐に渡っています。
架空団体や、実在する団体を装った連絡
団体の名前が「本当に存在するが、やっている内容が法を逸脱している」「団体自体が架空である」など色々なパターンがあります。
特にNPO法人を名乗る団体のことはついつい信用してしまう人も多いのですが、団体の名前がそれらしいからといってまともなことをやっているとは限りません。
あくまでも過払い金請求については「報酬を請求して(=業務として)代理できるのは弁護士か、簡易裁判所代理権を持つ司法書士である」ということを覚えておきましょう。
弁護士や司法書士のなりすまし
大胆にも裁判所、法律事務所、司法書士事務所を名乗って電話などしてくる無資格の人物もいます。
通常、裁判所、法律事務所、司法書士事務所が電話で勧誘等することは考えられません。
法律専門職には「品位保持義務」というものがあり、広告をすること自体は禁じられていないものの誇大広告や過度の勧誘などがあればこういった義務に違反するからです。
法律職を名乗られたためついつい信用してしまい、着手金の振込みを要求されてATMまで誘導されるなど「振り込め詐欺」まがいの事案も見受けられます。
本物の法律職であればまず委任にあたり必ず「本職(資格者)」との直接面談をしなければならないため、電話一本でお金を振り込ませたりすることは考えられないのです。
こういう人物に騙されないためにも、法律家ではない一般の団体には過払い金請求を依頼しない、法律職を名乗る人物については必ず「弁護士会」「司法書士会」のサイト等で実在する資格者なのかどうかを確認するといった基本を押さえておきたいものです。
危険な弁護士や司法書士とは
では、仮に「本物の法律家」であっても危険なケースを考えてみましょう。
過払い金詐欺をはたらく弁護士や司法書士も実在
本物の資格者の中にも稀に「依頼者を騙してお金を着服し、懲戒処分を受ける」人物がいます。
過払い金関係で特に多い不正は
- 「業者から返還された金額のごまかし」
- 「理由もなく異常に高額の報酬」
といったものです。
あとは、「本来は過払い金返還と共に破産など債務整理の手続きをしなければならないのに、過払い金返還だけを処理して報酬を受領し、その先の手続きについては受けられないと言って他の事務所に依頼させる」といった事例もあります。
これは、業界では「つまみ食い」と呼ばれ、法律家として非常に不適切な事件処理とされています。
もちろん返還額を偽るのは論外ですが、報酬についてはトラブルが発生しやすいポイントではあります。
依頼する前に報酬に関する説明をしっかり受けることが大切ですが、現在は日弁連により具体的な基準が示されているため、依頼者側も基本的なルールを知っておくとより安心です。
※日本弁護士連合会ウェブサイトより「債務整理の弁護士報酬のルールについて」
そして、本人の希望に反して法律家が和解条件などを決めてしまうことがないよう、手続きの最中に随時進行状況についての報告をしてもらえるよう求めた方がよいでしょう。
悪徳業者と手を組む弁護士も存在
本来は法に則った手続きを適切にするために存在する弁護士や司法書士ですが、たまに悪徳業者の手先になってしまう者もいます。
過払い金返還がブームになると、下図のような「非弁提携弁護士」と呼ばれる、悪徳業者と手を組む法律家が現れるようになりました。
これらの者は確かに資格者であることは間違いないものの、悪徳業者に自分の名前を貸して自分は案件にタッチせず手数料をもらいます。
悪徳業者側は弁護士の名前を使い過払い金返還の仕事をして暴利を貪りながらも、依頼者と法律家を直接会わせないことも多々あります。
弁護士や司法書士は独占業務を持つ国家資格であり、資格のない従業員に業務の中核となる部分を行わせることができません。
つまり、普通の会社のような「社長は何もせず一から十まで社員に丸投げ」ということは許されないのです。
もちろん業務遂行に伴って発生する事務作業等で補助者を使うことはできますが、依頼者本人ときちんと面談、必要な説明をして委任の意思を確認したり、最終的に和解内容を決定するなど要所では資格者が自身の判断で行わなくてはならないのです。
もし、「提携している弁護士の先生がいますから」などという勧誘をしてきたにも関わらず、弁護士が表に出て来ず業者が主導していると感じたらそこに依頼するのはやめておいた方が無難でしょう。
信頼できる弁護士を探すには
では、本当に信頼できる弁護士を探すにはどうしたらよいのでしょうか?
やはり「専門家を探すルート」というのはとても大切です。
過払い金返還をできる事務所はいくらでもあるため、少しでもおかしな点を感じたら立ち止まって比較してみることも大切です。
実績や口コミをチェックする
債務整理や過払い金返還といった仕事は、「どのくらいの量をこなしてきたか?」「今までの顧客が満足しているか?」ということも選ぶ際の基準となります。
各事務所の口コミなどは近年インターネットで見ることもできるようになったため、いきなり訪ねた事務所で断り切れずに依頼してしまった、などの事例は減っていることでしょう。
ただ、あまりにも口コミが良いものばかりである事務所にも要注意です。
特に自社サイトの「お客様の声」などは脚色されていることもありますのでその分差し引いて考える方が良いでしょう。
消費者金融〇〇の最近の対応はどうか?といった質問に対して即座に応えられるかどうかということもその事務所の実力をはかるバロメーターになります。
「債務整理の森」では、安心安全な弁護士事務所を紹介しています。口コミやインタビューも併せてご覧ください!
弁護士会で紹介してもらう
各地域の弁護士会で弁護士を紹介してもらえる場合もあります(一般的な弁護士紹介を希望者の居住地域で行っているかどうかは各弁護士会に要確認)。
例えば、東京弁護士会のサイトには次のようなページがありますので、このようなものを利用すると悪徳弁護士に当たってしまう事態を避けられる可能性が高まるでしょう。
法テラスを通じて弁護士を紹介してもらう
国が運営する「法テラス」という相談機関があります。
法テラスは法律相談の最初の入り口としては比較的市民が利用しやすいものであり、もし案件を依頼したい場合はここから法律家の紹介を受けることもできます。
また、一定基準の収入以下である人については「法律扶助」という手続き費用を貸与する制度もあります。
弁護士に頼むなんてお金がない自分には不可能だ、と思っている人でも検討する余地があります。
悪徳な弁護士や司法書士に関わってしまったら
和解成立前であれば、新たな弁護士に依頼する事は出来るけれど、その分多くの費用がかかってしまうから注意が必要だね。
では依頼した弁護士や司法書士に対し、業務の途中で不信感を抱くような状況になったらどうすればよいのでしょうか?
弁護士会、警察に相談する
本当に資格者なのかどうかは、弁護士会や司法書士会のサイトの会員名簿を調べればわかります。
しかし、本物なのに業務の遂行について明らかに不信感を抱かされるような状況もありえます。
例えば、最初に聞いていなかった報酬を請求された、相談もせず勝手に和解額を決められた、何度頼んでも現在の進行状況を報告してもらえないなどです。
まず最初にその事務所に説明を求めるなどの形で対応を依頼し、どうしても誠意が見られない態度なのであれば「弁護士会」「司法書士会」に陳情するというのも一つの方法です。
レアケースではあるのですが、もし調査の過程で横領等が発覚した場合は警察への被害届が必要になることもあるでしょう。
ほかの弁護士事務所を探す
例えば「依頼してから何も連絡してこないが、この事務所は不誠実なのではないか?」などと思ったら、まず事務所に直接電話して進行状況を尋ねるといったアクションが依頼者側にも必要でしょう。
弁護士自身は急ぎたいと思っていても、実際に債権者が対応してくれるまでの期間がかなり長いなどの状況も実務的にはありうるからです(最初の段階である「取引履歴の開示」に2カ月かかる業者もいます)。
しかし、何度聞いても誠実に対応してもらえないなど、どうしても不信を拭えないようであれば解任して他の事務所を探すことも可能です。
ただ、明らかに相手方に背信的な事由があったり最初の契約に違反した等がない限り、着手金を戻してもらうのは難しいと考えなくてはなりません。
また、ある程度手続きや交渉が進んでいれば、それまでの業務遂行分の報酬は支払わなければならないのが通常です。
すでに和解が成立してしまっていたら事件は終結となり覆すのは非常に困難なので、和解提案額が納得いかないなどの場合には和解契約書を締結する前に解任しなくてはなりません。
さらには、他の事務所に頼んだからといって必ずしも従前の事務所よりも良い結果になるとは限らないことも理解しておく必要があります。
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まとめ
弁護士選びがとても大切だって事が良くわかったよ。
- 過払い金返還についてはさまざまな詐欺業者や過大な報酬請求が横行しているため、民間の団体にはくれぐれも気をつけなくてはならない。
- 法律家を名乗る者については資格そのものを持たないニセモノもいるが、本物の法律家であっても悪徳業者と提携していることもあるので、法律家以外の者が業務を主導しているようなケースは特に注意する必要がある。
- 過払い金返還請求を依頼する場合、弁護士もしくは簡易裁判所代理権を持つ司法書士を探さなくてはならないが、法テラスや弁護士会の紹介センター等を利用する手段もある。
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西岡容子
青山学院大学卒。認定司法書士。
大学卒業後、受験予備校に就職するが、一生通用する国家資格を取得したいと考えるようになり退職。その後一般企業の派遣社員をしながら猛勉強し、司法書士試験に合格。
平成15年より神奈川県の大手司法書士法人に勤務し、広い分野で実務経験を積んだ後、熊本県へ移住し夫婦で司法書士法人西岡合同事務所を設立。
「悩める女性たちのお力になる」をモットーに、温かくもスピーディーな業務対応で、地域住民を中心に依頼者からの信頼を獲得している。
以後15年以上、司法書士として債務整理、相続、不動産を中心に多くの案件を手掛ける。
債務整理の森への寄稿に際しては、その豊富な経験と現場で得た最新の情報を元に、借金問題に悩むユーザーに向け、確かな記事を執筆中。
■略歴
昭和45年 神奈川県横浜市に生まれる
平成5年 青山学院大学卒業
平成14年 司法書士試験合格
平成15年 神奈川県の大手司法書士法人に勤務
平成18年 司法書士西岡合同事務所開設
■登録番号
司法書士登録番号 第470615号
簡易裁判所代理権認定番号 第529087
■所属司法書士会
熊本県司法書士会所属
■注力分野
債務整理
不動産登記
相続
■ご覧のみなさまへのメッセージ
通常、お金のプロである債権者と、一般人である債務者の知識レベルの差は歴然としており、「知らない」ことが圧倒的に不利な結果を招くこともあります。
債務整理の森では、さまざまなポイントから借金問題の解決方法について詳しく、わかりやすく解説することに努めています。
借金問題を法律家に相談する時は、事前に債務者自身が債務整理についてある程度理解しておくことが大切です。
なぜなら大まかにでも知識があれば法律家の話がよく理解できますし、不明な点を手続き開始前に質問することもできます。
法律家に「言われるがまま」ではなく、自分の意思で、納得して手続きに入るためにも当サイトで正しい知識をつけていただけたら幸いです。
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