債務整理の森

債務整理を依頼する際の弁護士の選び方と、それぞれの弁護士の口コミや評判を検証し解説します。

債務整理を法テラスに依頼する流れ

 

クマ
債務整理をする時に、法律事務所に依頼する費用がない場合にはどうしたら良いの?

ミミズク
借金を返済できない状態であるわけだから、弁護士費用に不安を持ってしまう人は少なくないよね。そんな場合には法テラスを利用してみよう!

クマ
法テラスって何?弁護士費用が無料になるの?

ミミズク
無料になるわけではないけれど、非常に安い費用で弁護士や司法書士に債務整理を依頼する事が可能となるよ!今回の記事では法テラスを利用する流れについて、詳しく見ていこう

債務整理にはそれなりの費用がかかることもあり、現在無職の人などは「費用が出せないから」とあきらめてしまっていることもあるようです。
しかし、そのような人を救済する機関として国が設立した組織である「法テラス」があります。

すべての人があてはまるわけではありませんが、ケースによっては法テラスの制度を利用して援助を受けられることもありますので、その概要や要件、利用方法などを確認してみましょう。

法テラスによる法律扶助の役割

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法律扶助とは

「法律上の扶助を要する者の権利を擁護し、その正義を確保する」

ということを目的としています。
具体的には消費者金融からの借金を含む多重債務はもちろん、離婚、交通事故、その他いろいろな法律上のトラブルについて法律家の紹介や相談、手続き費用の貸与などの形で国民を支援しています。

多重債務者はその多くが弁護士(司法書士)報酬等を準備することができない生活状況にあります。
しかし、特に東京地裁のように事務処理量が多い裁判所は、自己破産手続きにおける弁護士代理をすすめていることもあり、すぐに費用を準備できない債務者にとって法律扶助制度がとても重要な役割を担っています。

法テラスでは「どこまで、どのような」援助を受けられるのか

クマ
法テラスでは、どんな事をしてくれるの?

ミミズク
弁護士が必要となる様々な案件に対して、相談者の手助けを行っているよ!

多重債務に関連することで、法テラスが行っている援助にはどんなことがあるのかを確認してみましょう。

情報の提供

法律の知識がまったくない人にとっては「困った状況になった」という事実だけが目の前にあって、それに対する解決方法や相談窓口などはまったくわからないことも多いものです。
そのような人に対し、

  • 「その不安や問題を解決するためにこのような制度がある」
  • 「そのトラブルの内容ならここに相談すべき」

という情報を無料で提供してくれます。(ただし、紹介された相談先では料金がかかることもあります)

法テラスに直接出向く他、電話やメールで問い合わせることもできます。

民事法律扶助

「民事法律扶助」というのは、経済的にゆとりのない人が法律に関するトラブルに遭った時に

  • 無料法律相談(法律相談援助)
  • 民事裁判などの準備、遂行のための弁護士、司法書士費用などを立て替える(代理援助、書類作成援助)

といった形で本人をサポートするものです。
法律扶助を受けられるのは「個人」だけであり、「法人」の債務整理をする際に援助を受けることはできません
会社とその代表者が同時に債務整理を行うことがありますが、その場合でも援助を受けられるのは代表者個人だけになります。

民事法律扶助の流れと詳細

クマ
法テラスを利用する場合には、どうしたら良いの?どこに依頼すれば良いのかな?

ミミズク
申し込みをしなければ法テラスを利用する事はできないよ!申し込みの流れをチェックしてみよう!

民事法律扶助全体の流れ

では、民事法律扶助を受けるまでの全体の流れを図で見てみましょう。

大まかな流れとしては申し込みの後、審査がされ、要件を満たすと相談や手続きの援助を行い、進行中及び終了後に立替金の返済を行うというものになります。

援助の申し込み

申し込みをする人の自宅または勤務地がある都道府県内の法テラスに申し込みをします。

まだ、具体的に決まっている弁護士や司法書士がない人は、最初に必ず法律相談からスタートし、必要な場合に次のステップとして「代理援助」「書類作成援助」として費用立替えに進むこととなります。

申し込みがあったら、法テラスではまず法律相談援助(無料法律相談)の要件を満たしているかどうかを審査し、該当するようであれば援助を行います。

法律扶助を利用できるのはどんな人?

最初のステップである「法律相談援助」の要件は次の2つです。

  1. 資力に乏しいこと(収入要件、資産要件をクリアすること)
  2. 民事法律扶助の趣旨に適すること

1の資力要件について、「収入要件」の具体的な金額はこのようになっています。

申込者及び配偶者の手取り月収額が下記を満たしていること※注1家賃又は住宅ローンを負担している場合に加算できる限度額※注2
1人18万2,000円以下
(20万200円以下)
4万1,000円以下
(5万3,000円以下)
2人25万1,000円以下
(27万6,100円以下)
5万3,000円以下
(6万8,000円以下)
3人27万2,000円以下
(29万9,200円以下)
6万6,000円以下
(8万5,000円以下)
4人29万9,000円以下
(32万8,900円以下)
7万1,000円以下
(9万2,000円以下)
※注1 東京や大阪など生活保護一級地の場合、()内の基準を適用する。以下、同居家族が1名増加するごとに基準額に30,000円(33,000円)を加算する。
※注2 申込者等が家賃または住宅ローンを負担している場合、基準表の額を限度に、負担額を基準に加算できる。居住地が東京都特別区の場合、()の基準を適用する。

 

また、その他に「資産要件」というものがあります。
申込者及び配偶者が不動産(自宅や係争物件を除く)、有価証券などの資産を保有している場合は、その時価と現金、預貯金との合計額が下表の基準を満たしていなければなりません。
3カ月以内に医療費や教育費などの出費がある場合は相当額が控除されます。

世帯数金  額
単身者180万円以下
2人家族250万円以下
3人家族270万円以下
4人家族以上300万円以下

2の「民事法律扶助の趣旨に適すること」とは、債務整理の場合、「浪費・ギャンブル・詐欺的借入があるかどうか」といった点が審査の際に見られるということです。

ただ、これらがあるからといって必ず援助が受けられないわけではなく、審査員に丁寧に説明、説得を行うことによって多くの場合は援助が受けられています

以上に見てきた要件を満たすと「法律相談援助」を受けることができますが、利用上の注意点としてはこのようになっています。

  • 1回の相談時間は30分程度
  • 同一問題についての相談は3回まで

法律相談は、各法テラスに待機している相談登録弁護士(司法書士)が担当します。

審査の時に必要な書類

要件にあてはまるかどうかを審査する資料として、次の書類を提出します。

1.【資料を証明する書類】

  • 給与明細(直近二カ月)
  • 課税証明(直近のもの)
  • 確定申告書の写し(直近1年分、収受印のあるもの。e-Taxの場合は受付結果を添付する。)
  • 生活保護受給証明書(援助申込みから3カ月以内に発行されたもの)
  • 年金証書(通知書)の写し(直近のもの)
  • その他これに準ずる書類

2.【資力申告書(生活保護受給者以外)】

 ※下記参照

3.【世帯全体の住民票の写し(本籍、筆頭者及び続柄の記載のあるもの、マイナンバーの記載がないもの)】

4.【事件に関する書類】

  • 多重債務事件の場合は債務一覧表(下記参照)

「代理援助」「書類作成援助」のための審査

上記の「法律相談」を受けた結果、相談を担当した弁護士(司法書士)の弁護士回答が、次の段階である「代理援助等」を必要と判断すればそのための審査に回されます。

なお、代理援助や書類作成援助を受ける場合は上記の2要件の他に

「勝訴の見込みがないとはいえないこと」

という要件が加わります。

この要件を債務整理の場合に当てはめて考えると、

  • 自己破産なら、免責許可を受ける見込みがあるとき
  • 任意整理や民事再生なら、事案の内容として「弁護士が代理することにより解決が見込まれるもの」

となります。

援助が決定すると、各手続きや債権者数などに応じて決められた基準金額の立替えを受けることができます。

着手金実費過払金回収報酬
任意整理105,000円~189,000円債権者数に応じて
25,000円~35,000円
いずれの手続きにおいても、

  • 交渉による回収の場合は回収額の15%
  • 訴訟による回収の場合は回収額の20%
個人再生157,500円~210,000円35,000円
自己破産債権者数に応じて
126,000円~178,500円
(管財事件については210,000円~268,000円)
23,000円
  • 自己破産や個人再生では「官報公告費用」が、自己破産において管財事件となる場合は「管財費用の予納金」が発生しますが、これは生活保護受給者を除いて援助されません。
  • 弁護士報酬金については、過払金回収報酬以外はなく、弁護士側もこれを債務者に請求してはなりません。
    テレビ出演などで著名な東京の女性弁護士が法テラスで定めた金額を超える報酬額を請求して懲戒処分になったことも記憶に新しいですが、依頼者側もそのことを知っておいた方がよいでしょう。

「持ち込み案件」とは?

法テラスを利用する場合、

  • 債務者本人が直接法テラスに相談する→援助に移行する
  • 弁護士(司法書士)が受任する→報酬の支払いが難しいと思われるため、法テラスに案件を持ち込む

という2パターンがあり、後者がいわゆる「持ち込み案件」と言われるものです。

日弁連の「債務整理事件処理の規律を定める規程」の中では

「報酬の支払いが難しい債務者であると判断したら、積極的に法テラスの説明をし、利用をすすめることが弁護士の責務である」

とされています。

これは、債務者に法テラスを紹介するだけではなく、法律扶助の制度を紹介、利用方法をアドバイスし、さらには相談を受けた弁護士がその債務整理を直接受任するように努めるべきであると解釈されています。

法テラスへの立替金の返済

現在、行われている法テラスの援助は「立替制度」であり、返還(償還)が必要になります。

債務整理事件の場合、利用者は援助決定の翌月から月額5,000円から1万円程度の立替金を償還していかなくてはなりません
具体的には銀行口座からの引き落としで償還します。
ただ、この償還が著しく困難と認められる者については「事件進行中に償還を猶予する措置」や「終結後の償還免除の決定」がされることがあります。

それぞれ、次のような要件を満たさなければなりません。

償還の猶予

  1. 生活保護受給中は「当然に」猶予が認められる。
  2. 生活保護に準ずる程度に生活状況が厳しいため償還することが著しく困難な場合は猶予申請書とともに家計収支表を提出して認められれば猶予される。具体的には、法テラスの定める計算方法で算出される収入の70%以下である場合。
  3. 保有不動産、預貯金その他の資産について、当該資産を償還に充てることができない合理的事情がある場合。たとえば、住宅や必要な動産、売ることが難しい不動産など。

償還の免除

償還の猶予の要件に加えて「将来にわたって資力を回復することが難しい」場合。

 

具体的にはそれぞれの要件につき、さらに細かく規定してあるため、もし支払いが困難になった場合は必ず放置せず、すぐ法テラスに相談するようにしなければなりません。

法テラスを利用するメリットとデメリット

クマ
法テラスがあって助かったよ!でも、デメリットもあるんでしょ?

ミミズク
そうだね。無料になるわけではないから、費用を負担に感じる人もいるし、弁護士によっては、あまり良い対応を得る事ができない場合もあるんだ。

法テラスを利用するメリットとは

法テラスのメリットとしては、「通常の報酬基準金額を支払うのは難しいが、相場より安ければ分割で支払える」程度の資力がある債務者にとっては、本来受けられなかったはずの司法サービスを受けられるという恩恵がもたらされる、ということです。

上記のとおり、法テラスの立替金は通常の法律家の報酬基準表と比較して半額~7割程度の金額に定められており、それ以上を弁護士(司法書士)側が独自に依頼者に請求することはできません

法テラスのデメリットとは

一方、法テラスを利用するデメリットとしては、元々償還できる資力が不足している者の場合、事件終了後も償還が続くことにより結局生活があまり楽になったと感じられないことがあるという事や、法律専門家は法テラス案件について、通常の報酬よりかなり安い金額で事件を受託している状態になっているため、(専門家の倫理としてはそのようなことがあってはならないが)事務所によってはあまり良い対応をされないこともある、ということです。
これらの点を念頭に置いた上で利用するかどうかを検討しなくてはなりません。

債務整理を法テラスに依頼する流れ、まとめ

クマ
法テラスの申し込み方法がよく分かったよ!弁護士に依頼する事を諦めていたから、早速法テラスでの手続きを進めてみるよ!

ミミズク
弁護士事務所の中には、法テラスを利用することが出来ない場合もあるから、弁護士事務所に無料相談に行く場合には、事前に調べておくことが大切だよ!

  • 法テラスとは国が設立した「法的な相談窓口を紹介したり、実際の法律相談や手続きの援助をする」機関である。
  • 実際に法律扶助(費用の立替えなど)を受けるためには一定の要件を満たす必要がある。
  • 法律扶助の申し込みをする際は、自宅または職場が存在する都道府県の法テラスに扶助の申込書と添付書類を提出するが、審査を経て扶助が受けられるかどうかが決まる
  • 弁護士(司法書士)にすでに案件を相談している場合、その事務所に法テラスの利用希望を伝える。事務所側では依頼者が適切に法テラスを利用できるように努めなくてはならない
  • 法律扶助を受けて立て替えを受けたらその後月々、決まった額を償還していかなくてはならない
  • 生活苦が甚だしく、償還が難しい場合は「償還の猶予、免除」という手続きもある。

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