債務整理の自治体の相談窓口ってあるの?弁護士に相談するのとは違うの?
今回の記事では、借金返済の相談先をいくつかピックアップしてみたよ。
まずは自治体の相談窓口はどんな物なのかチェックしてみよう。
債務を返済しきれなくなった人がどこかに相談しようとした場合、まず思い浮かべるのは
- 「弁護士などの法律家」
- 「市役所などの公的機関」
ではないでしょうか。
最終的にやるべき債務整理は同じような結論に行きつくことが多いのですが、手続きが終わるまでのスムーズさや費用について両者に差が出てくることがあります。
では、法律家と公的機関の相談にはそれぞれどのような特徴があるのか、メリットやデメリットなどを確認してみましょう。
自治体の借金相談窓口とは
都道府県や市区町村などの各地方自治体は、その多くが「借金の相談窓口」を設置しています。
その自治体にもよりますが、相談窓口が借金専用ではなく、悪徳商法など消費者問題全般に渡って相談を受けられることもあります。
相談を受けるのは弁護士や司法書士などの法律専門家であり、各弁護士会や各司法書士会が当番制にした上で会員を派遣しています。
そのため、どの弁護士に当たるかはその日によって異なり、具体的に利用者が指名することはできません。
利用を希望する人は「自治体名+借金相談窓口」で検索すると、その自治体が設置している相談窓口のページが上位表示されます。
相談希望者は利用する前にウェブページを詳しく読み、設置日や内容を確認しておきましょう。
例えば「新宿区 借金相談窓口」では、このような「多重債務特別相談」が出てきます。
このような窓口では月に1回や2回など、各月に相談日と相談時間が設定されています。
利用希望者はまず「電話で予約のみ行う」「予約日時に設置された相談場所に出向き、面談形式で相談する」といった形が一般的です。
相談時間は30分~60分の設定、相談料は無料とされていることが多いのですが、利用条件として「その自治体に居住しているか、在勤や在学している」ことが原則です。
なお、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、相談も含めて電話で対応する自治体もありますので確認が必要です。
自治体以外の相談先
それぞれの特徴を見てみよう。
では、自治体以外に相談する場合はどのようなところがあるのでしょうか。
弁護士
一般の人が相談先として連想しやすいのは「弁護士事務所」ではないでしょうか。
弁護士事務所に行くべきなのは、必ずしも今すぐ債務整理が必要な人ばかりではありません。
「もう返済が苦しい、でもどうしたらよいのかわからない」という段階の人でも十分、相談する価値があります。
果たして債務整理までするべきなのか、それとも債権者と話合ってリスケジュール(返済計画の組み直し)で解決するのかどうか、そのようなことも含めて相談できます。
なお、弁護士や司法書士は近年、多くの事務所で「債務整理無料相談」を実施しています。
回数の制限や条件を設定している事務所がある一方で、「債務整理に関することなら何回でも無料」のところもあります。
ウェブサイトなどで無料相談を実施している事務所を見つけたら、まず条件や内容を確認してみましょう。
ただし、「法律家を価格だけで選ばない」ということも大切です。
債務整理の相談では、お金のことや家庭の事情など様々なことを他人である法律家に話さなくてはなりません。
そう考えると、やはり信頼関係が築けない相手では安心して手続きを進められないのです。
最低1回は直接面談をして、弁護士や司法書士、手続きを担当してくれる事務員まで含めて相性が良さそうかどうかを確認してみることをおすすめします。
法テラス
「法テラス」とは、国が設置した国民のための各種法律相談機関であり、正式名称を「日本司法支援センター」といいます。
相談希望者は「各地域の法テラス事務所」や「法テラスに登録する弁護士事務所や司法書士事務所」で相談を受けることができます。
※ただ、こちらも新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から「電話での相談」としていることもあります。
法テラスでは「民事法律扶助」といって、経済的に困窮している人への相談料や手続報酬の貸与を行っています。
ただし、こちらには利用条件があります。
無料相談(30分)を希望する人については1と3の要件を満たす必要があります。
また、弁護士や司法書士等の費用立替を希望する人については1から3までの要件をすべて満たす必要があります。
- 収入等が一定額以下であること
- 勝訴の見込みがないとはいえないこと
- 民事法律扶助の趣旨に適すること
(単なる報復目的だったり、権利濫用ではないこと)
民事法律扶助は経済的困窮者が法律サービスにアクセスしやすくすることを目的としているため「資力基準」といって、一定の収入や資産以下であることが求められます。
貸与された手続費用は返還することが原則ではあるものの、一定以下の収入の人については返還を免除されることもあります。
なお、詳しい収入要件などについては法テラス公式サイトから確認することができます。
民事法律扶助の流れは次のようになっています。
消費者センター
全国の各都道府県には「消費者センター(消費生活センター)」が設置されており、商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情や問い合わせなどの相談を受け付けています。
これらの消費生活センターを設置しているのは、消費者庁が所管する「独立行政法人国民生活センター」です。
民間の相談機関とは異なり、公正中立の立場で消費者側の相談を受けることができ、利用も無料となっています。
相談者はまず消費生活センターの相談員に概要を相談し、その後は相談員が弁護士など適切と思われる紹介先に繋ぎます(紹介先での相談も無料です)。
貸金業相談・紛争解決センター
「貸金業相談・紛争解決センター」は、日本貸金業協会が運営しています。
貸金についての借入や返済の相談、貸付自粛制度の受付、貸金業者の業務に対する苦情や紛争についての相談をすることができます。
相談者は債務整理の方法についてのアドバイスをもらえるだけでなく、再発防止のためカウンセリングや家計管理の支援も受けることができます。
※貸付自粛制度・・・自分に浪費癖があること、ギャンブル等依存症により自分や家族の生活に支障を生じさせるおそれがあることその他の理由により、自らを自粛対象者とする旨を日本貸金業協会に対して申告する。
申告により、貸金業者が貸付けを求められてもこれに応じない対象とすることができる場合がある。
日本クレジットカウンセリング協会
公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会は、クレジットや消費者ローンの利用者が多重債務に陥った場合などに公正・中立な立場で相談を受け、救済や生活債権の援助を行っています。
相談、家計管理のアドバイスをはじめ、実際に債権者との間で「任意整理」の手続きをする段階まで無料で行うことができます。
ただし、任意整理はあくまで残債務を分割で返済する手続きになりますので、将来利息の免除などのメリットはありますが返済能力そのものは必要です。
もしその他の債務整理(個人再生や自己破産)でなくては解決できない場合は、他の相談機関に紹介してもらうことが必要になることもあります。
弁護士と公的機関、どちらに相談すべきか
公的機関の方が相談しやすいと感じる人が多いけれど、結局弁護士にお任せする事になる場合が多数だから、初めから弁護士に依頼するのがおすすめだよ。
弁護士のように「法律相談や事件処理を業として行っている民間の事務所」と、市役所や法テラスのような公的機関を比較すると、最終的な問題解決の観点からはやはり弁護士ということになります。
自治体の無料相談や法テラスに行ったとしても任意整理、個人再生、自己破産のような最終的な解決に至るまでには、どこかで弁護士の力を借りなければならないことが大半です。
弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼するメリットは上記のように、最初の相談から債務整理手続きの最後まですべてにわたってサポートしてもらえる点です。
報酬はかかるものの、現在は分割払いを認める事務所も多いですし、法テラスと提携している弁護士であれば要件さえ満たせば「法律扶助」を受けることもできます。
「法テラス」の項目で説明したように、法律扶助を受けるには一定の収入要件などが定められているのですが、扶助を利用できるかどうかを自分で判断するのは難しいものです。
よって、相談者はまずは無料相談を利用し、扶助の可否について弁護士に判断してもらってから正式依頼するという方法もあります。
公的機関に相談するメリット
弁護士以外の公的機関の最大のメリットといえば「敷居が高くない、気軽に相談できる」という点です。
上記のとおり、市役所の無料相談などであれば市民は誰でも予約さえすれば利用できます。
もしそこで必要であれば弁護士など次の機関に紹介してもらえますし、いきなり弁護士のところに行くよりは抵抗感がない人が多いのではないでしょうか。
中には、債務整理だけを行っても、生活保護などの手段を併せて利用しなければ解決しない人もいます。
さらには、借金をすることが「ギャンブル、買い物依存症」のような何らかの疾病が原因であるケースも少なくないため、医学的アプローチが必要なこともあります。
そのような人が相談した場合でも、公的機関であれば「生活の建て直しや借金を繰り返すことを防ぐために必要な窓口はどこか?」についての知識がむしろ法律家より豊富なこともあります。
総合的な解決のために相談先として多くの選択肢があることを知るのはとても大切なことです。
とにかく「行き詰まったら、すぐに」相談機関にアクセスすることをおすすめします。
滞納の危険が生じたくらいのタイミングですぐ相談に行けば、解決方法の選択肢も増えるためです。
迷ったり考えたりしている間にも利息や損害金がどんどん膨れ上がることもあるため、まずは自分が相談しやすい機関に予約を入れてみましょう。
まとめ
弁護士事務所の無料相談を利用すると解決がスムーズだって事が良くわかったよ!
- 債務整理の相談先としては弁護士や司法書士などの法律家以外にも、市役所、消費者センターのような公的機関がある。
- 弁護士は最初から最後までのトータルサポートをしてもらえること、自治体は相談先として敷居が高くなく相談しやすいことがメリットといえる。
- 手続費用に不安がある人は、法テラスの法律扶助を受けられることもあるため、借金に行き詰まったらとにかく早めに相談することが大切である。
西岡容子
青山学院大学卒。認定司法書士。
大学卒業後、受験予備校に就職するが、一生通用する国家資格を取得したいと考えるようになり退職。その後一般企業の派遣社員をしながら猛勉強し、司法書士試験に合格。
平成15年より神奈川県の大手司法書士法人に勤務し、広い分野で実務経験を積んだ後、熊本県へ移住し夫婦で司法書士法人西岡合同事務所を設立。
「悩める女性たちのお力になる」をモットーに、温かくもスピーディーな業務対応で、地域住民を中心に依頼者からの信頼を獲得している。
以後15年以上、司法書士として債務整理、相続、不動産を中心に多くの案件を手掛ける。
債務整理の森への寄稿に際しては、その豊富な経験と現場で得た最新の情報を元に、借金問題に悩むユーザーに向け、確かな記事を執筆中。
■略歴
昭和45年 神奈川県横浜市に生まれる
平成5年 青山学院大学卒業
平成14年 司法書士試験合格
平成15年 神奈川県の大手司法書士法人に勤務
平成18年 司法書士西岡合同事務所開設
■登録番号
司法書士登録番号 第470615号
簡易裁判所代理権認定番号 第529087
■所属司法書士会
熊本県司法書士会所属
■注力分野
債務整理
不動産登記
相続
■ご覧のみなさまへのメッセージ
通常、お金のプロである債権者と、一般人である債務者の知識レベルの差は歴然としており、「知らない」ことが圧倒的に不利な結果を招くこともあります。
債務整理の森では、さまざまなポイントから借金問題の解決方法について詳しく、わかりやすく解説することに努めています。
借金問題を法律家に相談する時は、事前に債務者自身が債務整理についてある程度理解しておくことが大切です。
なぜなら大まかにでも知識があれば法律家の話がよく理解できますし、不明な点を手続き開始前に質問することもできます。
法律家に「言われるがまま」ではなく、自分の意思で、納得して手続きに入るためにも当サイトで正しい知識をつけていただけたら幸いです。
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