生活保護の金額がいくら支給されるかの計算方法

 

ウサギ

生活保護の金額ってどうやって計算すれば良いの?

ミミズク

生活保護は住んでいる地域や世帯人数、母子家庭であるかどうかなど、様々な点を考慮して計算されるんだ。

ウサギ

詳しい計算方法を知りたいな!

ミミズク

よし!では早速、生活保護の計算方法について、詳しく見ていこう。

タイトル

生活保護を受けられることになった場合に、実際にどのくらいの金額を支給してもらえるか?ということは大きなポイントです。

実際に支給される金額は計算方法が決まっており、一律にいくら、と言えるほど単純ではありません。

金額を決める要素としては主にその人が生活している地域、家族の人数や年齢などになります。

では、支給額を計算する際の基本的な考え方と計算式を確認してみましょう。

生活保護を受けるための「要否判定」とは?

最低生活費と収入認定額の算出

日本における「生活保護」の趣旨については「生活保護の条件」で解説しました。

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生活保護を受けるためには何が必要か?というと「本当に保護を必要とする客観的状態である」と判定されることです(要否判定)。

「保護が必要な状態」をさらに具体的に言えば、最低生活費(下図の緑部分)と収入認定額(下図の青部分)の二つを算出して比較し、収入認定額の方が少ない状態ということになります。

つまり、生活保護とは、その人の収入で足りない部分を保護費で補う、というのが基本的な考え方です。(なお、扶養義務者がいて「扶養する」と回答された場合はそれが優先するため、扶養の可否を確認することになります。)

また、養育費をもらっていたり年金受給者である場合、その分も収入として加算されます

なお、給与すべてがそっくり収入額として認定されるのではなく、「給与収入に応じて段階的に定められた基礎控除額」と「社会保険料など必要経費」を差し引いた金額が収入とみなされます。

最低生活費についてはもう少し、下で説明します。

世帯認定

生活保護を申請した人の収入に着目した時に、それが生活費として足りているか否かは「同じ収入源で、何人を養っているのか?(家族構成がどのようになっているか?)」によっても違ってきます。

それを適正に判断するために必要なのが「この人とこの人が同一世帯(同じ財布で暮らしている)」という判定です。

これを「世帯認定」といいます。

  • 同一世帯
    原則、同一の住居に居住し、生計を一つにしている者が同一世帯員と認定されます。
    例外的に、居住する場所が違っていても同一世帯に属するとされる場合があります。
  • 世帯分離
    上記と逆に、同一住居に居住していてもその構成員の一部を他の者と分離して保護することもあります。

結局のところ、戸籍や住民登録ではなく生活実態を優先し、調査にもとづき判断されます

世帯認定

最低生活費の全体像と生活保護(扶助)の種類


ウサギ

生活保護費の内訳はどうなっているの?

ミミズク

生活保護には、たくさんの扶助費があるんだ。

詳しく説明するね。

では、生活保護が必要かどうかを判断する上で重要な「最低生活費」について詳しく見てみましょう。

最低生活費全体は次のように区分されます。

結論から言えば、「最低生活費」とは「生活扶助」(これに各種加算を行う)と、「教育扶助~葬祭扶助までの各扶助」を合わせた額ということになります。

通常、一括りに生活保護と呼ばれることが多いのですが、その内容は上図のように「各種の扶助(生活保護を受ける場合、実際に支給されるお金)」に分かれています。

それぞれの扶助について、下記に説明する「居住地や世帯構成員の人数や年齢」といった基準に基づいて金額を求めていきます。

大きく括ると、扶助の性質によって「月々の支給」「一時的、短期的支給」に分かれます。

では、それぞれの扶助費の趣旨や内容を見てみましょう。

生活扶助

生活扶助の判断基準とは

生活扶助とは、衣食住や水道光熱費など、生活の中で一番基本になる必要費に対する扶助です。

生活扶助で判断基準となるのは次の3つの要素です。

  1. 居住地域による区分(級地区分)
    都市部と村落部では物価が異なるため
  2. 世帯員個人の年齢による区分(第1類費・食費や被服費等)
    かかる食費や被服費が年齢により異なるため
  3. 世帯員の員数による区分(第2類費・水道光熱費等)
    光熱費は世帯員がある程度増加するまでは逓減するため

判断基準

なお、第1類費と第2類費を合わせて「基準生活費」といいます。

生活保護受給金額(生活扶助)の計算方法

では、上記の基準に従って具体的に計算した例を見てみましょう。

計算のために使用するのは、こちらの一覧表です。↓

生活扶助基準額について」(厚生労働省WEBサイトよりダウンロード可能)

設例・東京23区在住の55歳、28歳、25歳の3人世帯の場合
(全員が入院などしておらず在宅していることが前提)

このようにして求めた「生活扶助」の金額に、

  • 一定基準を満たした障害者がいる場合は「障害者加算」
  • ひとり親家庭の場合は「母子加算」

を加えます。

加算

繰り返しますが、この「生活扶助」に下記の「住宅扶助」「教育扶助」などを加算したものが「最低生活費」となるのです。

住宅扶助

住宅は最低限度の生活を保障する上で最も基本かつ重要なものです。

住宅扶助は「住宅を確保」し、「補修など、住宅維持のために必要なもの」を給付するための制度です。

とはいえ、住居そのものを支給するわけではなく、「家賃、間代(部屋を借りる代金)、地代、補修費等住宅維持費を給付するもの」とされており、金銭での支給となります

では、具体的にいくらくらいが給付されるのでしょうか。

基準として、ここでもやはり「級地(居住する場所)」が出てきます。

たとえば、上記設例に挙げた東京23区の3人世帯の場合、住宅扶助の金額は「53,200円~69,800円(東京都の中でも居住場所により異なる)」となります。(※厚生労働省「住宅扶助基準額」より)

住宅扶助

生活保護を受ける状況になった人の中には、それまで住んでいた住居の住宅ローンが支払えなくなって競売にかけられたり、家賃の滞納で賃貸借契約を解除されたなど、引っ越しをしなければならないケースも多いはずです。

そのような人が生活保護受給中に住む住宅を探す場合、福祉事務所に相談しながら慎重に行う必要があります。

なぜなら、生活保護受給者にもかかわらず分不相応な家賃の住宅に住んでいると、生活保護受給そのものの必要性を疑われたり、転居するよう指導されることも考えられるからです。

なお、「生活保護の条件」でも触れましたが、持ち家があったらどんな場合でも売却しなければならないとは限りません。

保護を受ける家庭にふさわしい規模の住宅であれば、売却して引っ越しするよりもそこに居住し続ける方が無駄がないというケースもあるからです。

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とにかく、住宅については生活の中でも大きなウエイトを占める出費ですから、自己判断だけで選ばないことが大切です。

教育扶助

日本ではすべての国民に対し、その保護する子供に「9年(小学校・中学校)」の普通教育を受けさせる義務を負わせています。

教育扶助とは、国民の最低生活の内容として「義務教育への就学」を保障するために設けられている制度です。

教育扶助

「子供の貧困」「貧困の連鎖」が社会問題となる中、これらの扶助は大きな意味を持っています。

実際に支給される費用としては次のようなものです。

支給される内容金額
基準額(基本的な学用品その他遠足や上履き、帽子などの通学用品)小学校
月額2,150円
中学校
月額4,180円
学級費等(生徒会やPTA会費等)小学校
月額620円以内
中学校
月額740円以内
教材代(ワークブックや辞典など、正規教材として学校長や教育委員会が指定するもの)実費
学校給食費(保護者が負担すべき給食費)実費
校外活動参加費(宿泊費や交通費等)実費
通学交通費(通学に必要な最小限度の額)実費
学習支援費(学習参考書や課外クラブ活動費)小学校
月額2,560円
中学校
月額4,330円
一時扶助(入学準備のための学生服やランドセル、靴など)小学校
39,500円以内
中学校
46,100円以内

ただ、教育扶助はあくまで「義務教育」を対象としていることから、もし高校進学のための扶助を受けたいのであれば下記の「生業扶助」を受けられるかどうかを検討することになります。

医療扶助

日本では、生活保護受給者は国民健康保険の被保険者から除外されています。

近年は高齢者世帯の生活保護が増加していますが、貧困世帯では医療費の負担がままならず、病状が悪くなっても病院を受診しないということも考えられます。

よって、生活保護受給者についてはほとんどの者が医療費を全額扶助で負担してもらえることになっており、給付方法としては、費用が直接福祉事務所から病院に支払われることになります。

医療扶助は原則として「現物給付」となりますが、具体的にはこれらが扶助の内容になります。

  • 診察
  • 薬剤又は治療材料
  • 医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術
  • 居宅における療養上の管理及びその療養に伴うその他の看護
  • 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
  • 移送

これらの扶助を受けるためには、初診の前に福祉事務所で「医療券」を発行してもらい、病院の受付で「生活保護受給者なので医療費を福祉事務所で負担する」旨を伝えることが必要です。

医療扶助

介護扶助

介護保険制度の対象者であれば、寝たきりや痴呆で常に介護が必要な状態になったり、家事など日常生活で支援が必要になると介護サービスを受けることができます。

介護保険制度では「医療保険に加入していない40歳以上60歳未満の者」は対象にはならないのですが、生活保護受給者については要介護、要支援状態であれば「介護扶助」の対象になります。

つまり、生活保護中の介護費用については介護や支援の対象となる状態であれば100%支給してもらうことができるのです。

具体的にはつぎのようなものが支援の対象となります。

  • 居宅介護
  • 福祉用具
  • 住宅改修
  • 施設介護
  • 移送

なお、支給方法は原則として「現物支給」となります。

具体的には都道府県知事等が介護扶助の現物給付をする機関を指定し、この指定介護機関に介護の給付を委託して行います。

介護扶助

出産扶助

出産扶助は、分娩の際に必要になる介助や処置等(助産)、衛生材料費、入院費など出産にあたって必要になる最低限の費用を給付するものです。

基準は、級地(居住地によるランク)を問わず全国一律です。

平成30年度ではこのようになっています。

支給される内容金額
施設分娩の費用293,000円以内(これに入院料実費を加算)
居宅分娩の費用262,000円以内
衛生材料費5,700円以内

なお、支給方法は原則として「金銭給付」となります。

出産扶助

生業扶助

生業扶助とは「被保護者が生業を開始し、又は就労することによって収入の増加が見込まれるときに、その必要な費用について行われる給付」です。

なお、義務教育の扶助については上記に説明しましたが、生活保護を受給する家庭で子供を高等学校に進学させたい場合、別途この「生業扶助」という形で給付を受けることができます。

生業扶助はいくつかのカテゴリーに分かれており、それぞれに基準額があります。

この扶助が他の種類の扶助と異なる点は「困窮のため最低限度の生活を維持することができないおそれのある者」も対象としているところです。

つまり、その人の稼働能力(働く力)を引き出し、それを助長して自立を促すことを目的としているからです。

基準は、級地(居住地によるランク)を問わず全国一律です。

生業費

平成30年度ではこのようになっています。

支給される内容金額
生業費(生計の維持を目的とするため事業の開始に必要な資金、器具等)46,000円以内
技能習得費(生業に就くために必要な技術を習得するために必要なもの)技能習得費のうち、高等学校就学費を除くもの78,000円以内
高等学校就学費基本額(月額)5,450円
教材代正規授業で使用する教材費
授業料都道府県条例に定める都道府県立高等学校の額以内
入学料及び入学考査料同上
通学のための交通費通学に必要な最低限度の額
学習支援費(月額)5,150円
就職支度費31,000円以内

なお、支給方法は原則として「金銭給付」となります。

葬祭扶助

葬祭扶助とは

  • 検案
  • 死体の運搬
  • 火葬又は埋葬
  • 納骨その他葬祭のために必要なもの

に対して行われる給付です。

基準は、級地(居住地によるランク)による他、大人と子供で分かれています。

級地基準額
大人小人
1・2級地206,000円以内164,800円以内
3級地180,300円以内144,200円以内

もし、葬祭費が基準額を超えており、葬祭地の市町村条例に定める火葬費用が別途の基準額を超える場合や死体運搬費が基準額を超える場合などは別途、加算されることがあります。

なお、支給方法は原則として「金銭給付」となります。

最低生活費とは


ウサギ

最低生活費は、生活扶助にその他の扶助や加算を加えた金額のことを呼ぶんだね!

ミミズク

人によって最低生活費が違うっていうのはわかったかな?

最低生活費についておさらいだよ。

上記でも説明した通り、最低生活費とは、

「生活扶助」+「母子加算や障害者加算などの要件を満たした人はその加算分」+「必要に応じて住宅扶助や教育扶助などの各種扶助」

を合計して求められた金額ということになります。

母子家庭の場合の計算方法


ウサギ

母子加算っていくらになるの?

ミミズク

子供の数と、住んでいる地域によって金額が違ってくるよ。

ひとり親家庭(父子家庭等も含む)の場合は、「級地(居住地によるランク)」と「児童の数」によって下記の金額が「生活扶助」に加算されます。

母子世帯などのひとり親家庭は託児サービス等育児費用が余分にかかることも多く、それを補うために設けられている制度です。

具体的な加算額は下記のようになっています(在宅の場合)。

級地児童1人児童が2人の場合に加える額児童が3人以上1人増すごとに加える額
1級地22,790円1,800円920円
2級地21,200円1,690円850円
3級地19,620円1,580円780円

また、「児童養育加算」といって、3歳未満の幼児には月額15,000円、3歳以上で中学校卒業までの児童には月額10,000円が加算されます。(級地を問わず一律)

計算する際は弁護士・福祉事務所と相談する


ウサギ

生活保護費を計算するのって難しいんだね。

ミミズク

そうなんだ。

正確な金額を知るためには、福祉事務所へ行くのがお勧めだよ。

一応の目安、計算方法を提示しましたが、自分で「この扶助の要件にあてはまっている」と思っても実は該当しない、などのケースも考えられます。

生活保護の受給金額計算は複雑で、一般の人では難しく、最終的に確定するためには福祉事務所の回答を待たなければなりません。

生活保護制度について知識のある弁護士に相談すれば、いわゆる「水際での追い返し」などに遭わないよう知識をつけておくこともできます。

なお、相談費用を捻出することが難しい人は「法テラス」を通じて弁護士の紹介を受ける方法もあります。

可能であれば弁護士にも福祉事務所に同行してもらい、納得いく説明を受けながら受給内容を確認するようにしたいものです。

法テラス

生活保護の金額がいくら支給されるかの計算方法まとめ

ウサギ

生活保護費の計算方法について、詳しく教えてくれてありがとう!

大まかな金額を知ることが出来て良かったよ!

ミミズク

生活保護費をもらうために福祉事務所に行ったとしても、場合によっては、支給対象外となってしまう事もあるんだ。

中には、福祉事務所の対応が悪いこともあるから、弁護士に事前に相談して弁護士回答を得ておくと安心だね。

まとめ

  • 生活保護とは、「最低生活費」と「認定された収入額」を比べて、不足する分を支給してもらう制度である。
  • 最低生活費は、「生活扶助」+「母子加算や障害者加算などの要件を満たした人はその加算分」+「必要に応じて住宅扶助や教育扶助などの各種扶助」を合計した金額である。
  • 生活保護の要否を判断する際に「世帯認定」という基準があり、戸籍に関わらず「生活実態を見て、一つの収入源でどこまでの人が生活しているか」という点をチェックする
  • 生活保護はさまざまな種類の「扶助」で構成されており、最も基本的な衣食を賄う「生活扶助」の他に「住宅扶助」「教育扶助」など、各人の必要に応じて給付される。
  • ひとり親家庭については居住地や児童の人数に応じて生活扶助に加算される
  • 生活保護受給額の計算は複雑であるため、自分の受給できる内容については、弁護士、福祉事務所と相談して確認することが望ましい。
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西岡容子

西岡容子

熊本にて夫婦で司法書士事務所を営む。10年以上の実務経験で、債務整理の経験も豊富。現場での経験を活かしてユーザーのためになる確かな記事を執筆中。

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