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破産申請の流れ(法人の倒産手続き)

 

ウサギ

法人が自己破産手続きを進める場合、どんな流れとなるの?


シカ

今回の記事では、債務整理の手続きの1つである、法人の破産手続きの流れについて、詳しく説明するよ!

信頼できる弁護士に依頼することができれば、不安なく破産手続きを進める事ができるけれど、ある程度の流れを把握しておくと安心だね。

法人(会社)の破産申請手続きについての流れを解説します。

法人での破産申告は、経営者や代表者が弁護士に依頼することになります。

まずは全体像から把握してみましょう。

会社破産申請の流れ

全体の流れは下記の通りです。

「弁護士に破産申告を依頼した」という受任通知を債権者(銀行などの金融機関)に送るところから始まります。

  1. 受任通知
  2. 会社財産の保全
  3. 書類準備・残務整理
  4. 裁判所へ破産申立
  5. 決定・管財人選任
  6. 破産管財人打合せ
  7. 債権者集会の開催
  8. 債権者への配当

それでは、一つずつ細かく見ていきます。

1.受任通知

会社の破産の場合、いつ受任通知を出すかということは様々な要素を考慮して決定しなければなりません。

例えば、借入先の銀行口座に入金予定がある場合は、相殺を防止するため、その入金前に受任通知を出すようにします(支払い停止の通知後の入金については、銀行は相殺できなくなります)

逆に強硬な債権者が強引に商品を引き上げたりするおそれがある場合、受任通知をあえて出さずに申立を行う場合もあります。

場合によっては、お世話になった主要な取引先の資金繰りも考慮する必要があります。

いつ受任通知を出すかは、上記のような要素を判断して弁護士が総合的に判断することになります。

2.会社財産の保全

会社破産の場合、破産申立を予定していることが知られると、一般債権者が会社に押し掛けの元にある動産に先取特権を行使するなどして会社の財産が差し押さえられたり、処分されたりと、現場が混乱したりすることがあります。

そのため、会社の財務担当者や顧問税理士を除いて、破産申立の準備は外部に知られないようにして行うことがあります。

準備が整えば、一気に申立を行い、裁判所に破産開始決定を出してもらいます。

3.書類準備・残務整理

破産申立をするためには、会社の資産と負債を整理して裁判所に提出する必要があります。

そのため、書類を整理し、まとめておく必要があります。

具体的には、下記の書類を準備しておくと手続が円滑に進みます。

  • 会社の預金通帳
  • 手形帳・小切手帳
  • 預かり手形
  • 決算書
  • 請求書・売掛帳
  • 不動産の権利証
  • 保険証券、有価証券
  • 契約関係書類
  • 代表者印・銀行印
  • 確定申告書(決算書過去3年分)
  • 会計帳簿
  • 租税・社会保険料関係書類
  • その他会社財産に関係する書類

従業員には、破産申立の前に解雇を通知します。

ただし、破産後も残務整理が必要となるので、その残務整理にあたる従業員には事情を説明して協力を依頼することもあります。

被担保債務や、未払いの賃金がある場合、財団債権として優先的に支払われる事が法律で決められていますし、独立行政法人労働者健康安全機構による立替払い制度もあります。

4.裁判所へ破産申立

準備が整えば、依頼者は、裁判所に申立書や、債権者一覧表などの資料を提出し、破産申立を行います。

管轄は、会社の所在地の地方裁判所となります。

5.決定・管財人選任

法人の破産手続きは管財事件となりますから、裁判所は破産手続き開始決定を行い、破産管財人を選任します。

破産管財人は、以下のような管財業務を行います。

  • 会社の財産の管理、評価、換価
  • 破産債権の確定
  • 否認権の行使
  • 債権者に対する配当
  • 郵便物等の管理

否認権とは、本来であれば破産財団に組み入れられるべきであったにもかかわらず、破産者の元から外部に流出させる行為を否認し、再び破産財団に組み入れる権利です。

会社の財産を不当に安い金額で売却したり、一部の債権者にだけ弁済したりする行為は、破産管財人により否認権を行使され、本来会社にあるべき財産として破産財団に戻されることになります。

この時点で、すでに破産手続きの費用すら支払える状況ではない場合、同時廃止事件となり、申立てと同時に破産手続きは廃止となります。

6.破産管財人との打合せ

会社の代表者、代理人弁護士と破産管財人による打合せとなります。

破産管財人は、破産者の財産や債務を調査し、必要があれば換価や否認権の行使をします。

債権額の確認、通帳に記載されている入金・出金の事情の確認、特殊な動産の売却先候補の情報など、会社の代表者や会計担当者の協力が必要な事項は数多くあります。

破産手続を円滑に進めるためにも、打ち合わせでは積極的に協力することが必要です。

7.債権者集会の開催

破産手続開始決定後、破産管財人は債権者集会を開催します。

債権者には、事前に債権者集会の日程が通知されます。

一般的には、開始決定の日から3カ月程度後に開催されることが多いようです。

債権者集会では、破産管財人から現在の進行状況について説明が行われます。

出席している債権者は、破産管財人に対して質問をすることができます。

債権者集会の回数は、会社の規模や債権者の数等により異なります。

8.債権者への配当

破産会社の財産と債務について調査がなされたのち、配当が行われ清算されます。

各債権者の債権額に応じて配当が行われるため、「債権の○%」という形で配当がなされます。

バブル期に土地が高い値段で換価できた場合は数十パーセントの配当がなされたこともあるそうですが、最近はそのような高率の配当はほとんど見当たりません。

なお、破産管財人の費用や従業員の未払い賃金などは、通常の破産債権に優先して支払われます。

破産手続きに要する期間

ウサギ

破産手続きは、申立てをしてからどの位の期間が必要となるの?


シカ

手続き完了となるのは、債権者の数や金額など、事案によって異なるんだよ。

破産手続に要する期間は事案によって異なります。

通常は半年程度で終わることが多いですが、大きな会社の場合は倒産手続まで、年単位の期間を要することもあります。

法人の場合には、個人債務者の破産とは異なり、会社がなくなりますから、免責許可決定という概念がありません。

ですが、会社の代表者が同時に破産手続きを進める場合、申立人の免責が下りるか否かは、裁判所によって決定されます。

 

どの場面においても判断は会社の状況により異なります。

早い段階で弁護士に相談し、民事再生手続など、その他の選択肢を広げておくことが何よりも大切です。

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債務整理の森編集部

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