債務整理の森

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個人再生をした官報への掲載内容

 

個人再生をすると、「官報」という政府発行の新聞のようなものに名前を掲載されます。これは個人再生のデメリットの一つですが、具体的にはどのような記載がされて、どれくらいの期間載っているものか?

これらについて詳しく解説していきます。

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個人再生手続のデメリットの一つ「官報への掲載」

個人再生手続は、債務整理したくても任意整理のような私的和解をすることが難しい人が取り得る選択肢の一つです。

任意整理では、利息を適正な金額に引き直して債務を計算したら、弁護士等が交渉してもそれ以上の元本減額はできないことが普通です。しかし個人再生は裁判所に元本自体の減額を認めてもらえるため、定収入があるものの元本が多くてすべてを支払いきれない人にとっては破産せずに経済的な立ち直りができる方法といえます。

ただ、そこにはやはり裁判所手続ならではのデメリットもあり、それが「官報」という政府の機関紙への住所・氏名等の掲載です。破産や再生など、究極のプライベート情報ともいえるものが紙面に載ることに抵抗がある人もいるでしょうが、これは「債権者に適切な手続参加を促し、彼らの権利が侵害されないようにする」という意味がありますので債務者本人の意思で載せないでほしいということはできないのです。

官報とはどんなもの?

「官報」というのは政府が、国としての立場で国民に知らせておくべき事柄を「広報・公告(掲載して知らせること)」することを主な目的とした機関紙です。

たとえば法令を交付する、叙勲や皇室・国会に関する事項、国家試験合格者の情報等を広報する他、特殊法人や地方公共団体、裁判所(破産・会社更正関係)、会社(合併・決算公告)などから一般に公告するべきことが掲載されます。

行政機関の休日を除いては毎日発行されており、都道府県庁所在地にある「官報販売所(政府刊行物専用販売所の他、書店の中に設置されることもある)」で販売されています。

インターネットで一定期間の閲覧ができる

官報は通常の新聞と同じように定期購読することが可能ですが、インターネット版「官報」もあり、こちらでは直近30日分までを無料で閲覧することができます。

このような画面になっており、サイドバーに「バックナンバー」が載っていますので見たい日付のところをクリックすると「本紙」「号外」「政府調達」の三種類のメニューが出てきます。破産や再生の公告は「本紙」のところに掲載されています。本紙のところをクリックするとさらに目次が出てきますので「再生関係」というところをクリックしてPDFファイルをダウンロードします。

その他に「官報情報検索サービス(独立行政法人国立印刷局)」という検索用サイトがありますが、こちらは有料ですので業務上の使用以外で検索する人はあまりいないでしょう。

また、過去の一定期間の官報をデータベースとして保管している図書館では、無料閲覧サービスを行っていることもあります(たとえば東京都立図書館では昭和22年以降の全文を保有しています)。

個人再生で官報に掲載されるタイミング

個人再生の手続をした場合、官報に掲載されるのは「合計3回」であり、公告費用が3回分で約12,000円かかります。

では、具体的にどのような形で載っているのかを確認してみましょう。

1回目

 ~個人再生手続開始決定の時~

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・事件番号 平成〇〇年(再イ)第〇〇号

裁判所に申し立てられる事件には「事件番号」というものが付されます。これによって裁判所書記官、事務官等の関係者が各事件を識別、管理しているのです。裁判所に追加の書類や上申書を提出する際は必ずこの事件番号を冒頭に記載しなくてはなりませんし、電話による問い合わせなどの際にも「事件番号は何ですか?」と尋ねられます。
平成〇〇年の後のカッコ内の符号は、それぞれの事件の種類により決まっており、小規模個人再生の場合は(再イ)、給与所得者等再生の場合は(再ロ)と振られます。
第〇号という番号は、その年の1月からその種類の事件につき通し番号を振っていって何番目か、ということを表しています。

・再生債務者の住所・氏名

住所については住民票と一致する人が多いでしょうが、登録上の住所とは別に実際に住んでいる「居所」が別にある人もいますので、その場合は居所も公告されます。たとえば夫のDVから逃げている妻が自己破産、個人再生をする場合に、居所(たとえばシェルター)を掲載しないという扱いをしてもらえるのかということが問題となることがあります。しかしながら、債務整理における官報公告の意味は、債権者に権利行使の機会を与えるものですから、本人の都合で掲載内容を通常と異なるものにすることはなかなか認められないでしょう。
氏名については本名の他に「通称」を使用している人もいますので、そのような場合は「〇〇こと〇〇」のように通称と本名が併記されます。

・決定年月日時 
・主文 再生債務者について小規模個人再生による再生手続を開始する
・再生債権の届出期間 平成〇〇年〇月〇日まで

最低弁済額(個人再生では元本がカットされるが、その際に最低支払うべき金額)を確定させるなどの目的で、期間を定めて債権の届け出を求めることになっています。債務者が債権者一覧表に載せている債権者については届出があったものとみなされます。

・一般異議申述期間 平成〇〇年〇月〇日から平成〇〇年〇月〇日まで

再生債務者が、債権者の届け出た債権額に異議がある場合にそれを述べる期間です。なお、再生債務者はこういった場合に異議を述べるために、個人再生申立の際に提出する「債権者一覧表」の「異議の留保」というチェック欄に必ず印をつけておくようにしなくてはなりません。

・管轄裁判所及び支部

基本的には再生債務者の住所地(事業主なら営業所)を管轄する地方裁判所です。

2回目

~(小規模個人再生なら)書面決議に付する決定の時~

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個人再生の手続きには小規模個人再生と給与所得者等再生がありますが、まず小規模個人再生において必要な「債権者による書面決議」に関する公告を見てみましょう。

・事件番号 平成〇〇年(再イ)第〇〇号
・再生債務者の住所・氏名
・決議に付する再生計画案 平成〇〇年〇月〇日付け再生計画案

債権者がどの案件につき回答すればよいかを明確にするため、日付入りで特定します。

・再生計画に対する回答期間 平成〇〇年〇月〇日まで

回答期間は、原則的に決定の日から2週間以上2カ月以下の範囲で定められます。

・決定日付と管轄裁判所及び支部

小規模個人再生の場合、再生債務者が再生計画案を提出すると、裁判所は事件記録を調査してその結果「再生を不認可とする事由がない」と判断したら、再生計画案を書面による決議にかける決定をします。
なお、通常の民事再生とは異なり、小規模個人再生の場合は債権者集会によって決議を行う方法ではなく、書面決議だけで行い、公告された期限内に「反対」の意思表示をする場合だけ書面で回答します。
再生計画案に同意しない旨の回答をした債権者の数が議決権者総数の半数に満たず(頭数要件)、その議決権の額が議決権者の議決権の総額の2分の1を超えない(議決権要件)場合には再生計画案が可決されることになります(「消極的同意」と呼ばれます)。

~(給与所得者等再生なら)再生計画案についての意見聴取の時~

次に、給与所得者等再生において行われる「再生計画案についての意見聴取」に関する公告を見てみましょう。

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・事件番号 平成〇〇年(再ロ)第〇〇号
・再生債務者の住所・氏名
・意見聴取に付する再生計画案 平成〇〇年〇月〇日付け再生計画案
・書面で意見を述べることができる事項 民事再生法241条2項各号(再生不認可とするのが相当な事由)に定める事由
・書面の提出期間 平成〇〇年〇月〇日まで

意見聴取期間は、原則的に決定の日から2週間以上2カ月以下の範囲で定められます。

・決定日付と管轄裁判所及び支部

給与所得者等再生の場合、再生債務者から再生計画案の提出があると「不認可事由」があるなど一定の場合を除いて裁判所は再生計画案を認可するべきかどうかについて債権者の意見を聴く旨の決定を行うことになっています。
ここでもし債権者から「再生計画案を認可すべきでない」との意見が出たとしても裁判所はそれに拘束されるわけではないため、反対意見を聴きつつも最終的に再生を認可する、ということもできます。

3回目

~再生計画認可決定の時~

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・事件番号 平成〇〇年(再ロ)第〇〇号
・再生債務者の住所・氏名
・主文 本件再生計画を認可する。
・理由の要旨 平成〇〇年〇月〇日までの意見聴取期間が経過した再生計画には、民事再生法に定める不認可の決定をすべき事由はない。
・決定日付と管轄裁判所及び支部

再生計画が最終的に認可された時も債権者に告知するため上記の内容が公告されます。「不認可の決定をすべき事由はない」と若干遠回しな表現になっていますが、要するに「認可してよい」ということです。

個人再生で官報に掲載される期間

このように個人再生では合計3回官報に住所氏名等が掲載されることになりますが、それぞれ1日ずつの掲載ですのでトータルで3日分にしか掲載されません。

一度掲載された官報は上記のように「30日間」はインターネット上で見られる形になっていますが、普通の新聞と比べて圧倒的に見ている一般人が少ないですし、わざわざ毎回買っているのはよほど官報の情報が必要な職種についている人ということになります。

よって、親戚や友人、知人がこれに気が付くという可能性は非常に低いといえるでしょうし、上記の「夫のDVから逃げている妻」などの場合であっても相手からそれを発見されて追いかけられるという可能性はかなり低いといえます。

公務員の場合は大丈夫か

官報を会社単位で買っている職種は金融関係、証券会社、信用情報機関、官公庁などが考えられますが、「公務員だと比較的簡単にばれてしまいそうなのでそうなれば仕事を辞めなければならないのだろうか?」と心配になる人もいるのではないでしょうか。

しかし、公務員・民間企業いずれであるかを問わず、個人再生・自己破産等を含めた債務整理によって職場を解雇されることはありません。債務整理を理由とした解雇は無効ですし、せいぜい会社は経理にいた人を配置転換させることくらいしかできません。

むしろ個人再生の場合、これから3年間の再生計画を遂行するとして現在の仕事・収入を前提とした再生の認可がおりたわけですから、決して辞めてはならないと考えるべきなのです。

住宅ローン審査への影響

上記のように金融機関が毎回しっかり官報を買ってチェックしているなら、住宅ローンの審査への影響はどうなるのでしょうか?

もちろんローン申込先の銀行が官報を直接見て、そこで申込人の名前を発見することもあるかも知れません。しかしそれだけではなく、官報に載る=信用情報機関のブラック情報がついているということですから、たとえ銀行員が官報を見ていなかったとしても住宅ローンを組むことは当分の間不可能です。

銀行系の信用情報機関である全国銀行個人信用情報センター(KSC)は、官報情報(自己破産・個人再生)について10年間保持するとしていますから、その間は住宅ローンはもちろん、自動車ローン、クレジットカード作成などあらゆる「借金にまつわる行為」ができないと考えるべきなのです。

任意整理のように裁判外でする債務整理であれば通常約5年程度で金融ブラックから抜け出すことができますが、官報に氏名が掲載される場合はこの「KSCにより10年間保持される」という事情があるため、ブラックになっている期間が他の手続きと比べて倍くらいになることに注意が必要です。

それ以外のデメリットはあるか?

個人再生で官報に掲載されたことによるデメリットとしては、「ヤミ金からのダイレクトメールが高確率で届く」というものがあります。ヤミ金とは、出資法の上限を超える違法金利で貸し付けを行っている業者のことです。一般的には貸金業登録を行わず、店舗も持たずに携帯電話一つで貸し付けと回収を行っているような業者が多いのですが、中には貸金業登録番号を持っている業者もいるため、登録の有無だけでは合法か違法かを決めることはできません。あくまで設定する利息がどのくらいなのか、というところを基準に判断するべきなのです。

彼らは「ヤミ金同士」「ヤミ金とその他の詐欺業者」などでネットワークを作っていて独自の「多重債務者名簿」を作成していることがあります。

通常、信用情報機関からヤミ金に直接情報が漏れているとは考えにくいので、官報情報を収集してリストにし、カモと思われる顧客に「ブラックでも貸せます」「審査が緩い」などと直接勧誘を行っている可能性が高いでしょう。

なお、近年では債務整理をする前からヤミ金の勧誘を受ける例も多く、これは「ホワイト情報(金融事故以外の通常の利用情報)」がどこかから流出しているのではないかと言われています。

大企業の情報管理についてはマスコミ等により問題視されているものもありますが、消費者金融や信販会社ルートで情報が流出している可能性もないとは言えません。ブラック情報がない人ですらこうして狙われることがある時代ですから、官報に掲載されることにより10年間ブラックリスト入りしている人は、ことさらに注意して過ごさなければならないのです。

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西岡容子

西岡容子

熊本にて夫婦で司法書士事務所を営む。10年以上の実務経験で、債務整理の経験も豊富。現場での経験を活かしてユーザーのためになる確かな記事を執筆中。
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