債務整理と生命保険
目次
生命保険の役割と債務整理の関係
「備えあれば憂いなし」の言葉に言い表されている様に、生命保険の本来の役割は万が一の事態に陥った時に残された家族が経済的に困らないように備えておくことです。
例えば、夫婦と子供2人の平均的な家庭において一家の大黒柱である夫が病気で亡くなった場合、残された家族は経済的に困窮する恐れが出てきます。
基本は掛け捨て死亡保険
この様な時に夫が生命保険に加入していれば死亡保険金で残された家族は安泰に暮らすことができます。つまり、最も基本的な生命保険はこの様な掛け捨て型の死亡保険です。
掛け捨て型の死亡保険は毎月の掛け金は低く抑えられていますが、万が一の場合の死亡保険金額は大きくなるように設計されています。
従って、基本的にこの様な掛け捨て型の死亡保険には配当や満期返戻金はありませんので、途中解約した場合にも解約返戻金もありません。
つまり、この様な掛け捨て型の死亡保険は保険としての価値はありますが財産的な価値はありません。
一方で、現在、生命保険には様々なタイプの生命保険があります。
積立型の生命保険
例えば、積立型の生命保険は万が一の時の死亡保険金額は少ない設計ですが、配当金や満期返戻金は充実しています。また、途中解約した場合の解約返戻金も充実しています。
つまり、この様な積立型の生命保険は保険としての価値は低いですが財産的な価値はあると言えます。従って、債務整理と生命保険の関係を考える場合、前者の掛け捨て型の死亡生命保険は何の関係もありませんが、後者の財産的な価値がある積立型の生命保険は考慮しなければならいいくつかのポイントがあります。
債務整理と積立型の生命保険
債務整理の基本的な考え方として財産が残っている場合は、その財産を債務に充当するのが筋です。
例えば、800万円のカードローンの返済に窮し債務整理を考えている人が100万円相当のマイカーを持っていた場合、常識的にはマイカーを処分して債務に充当するべきです。
或いは、同様に800万円のカードローンの返済に窮し債務整理を考えている人が積立型の生命保険に加入していた場合、また、その積立型の生命保険の解約返戻金が100万円だとすれば、常識的には積立型の生命保険を解約して債務に充当するべきです。
任意整理なら解約する必要はない
しかしながら、それらを強制することはできません。何かの個人的な事情で生命保険を解約できない人もいるからです。例えば、難病を抱えていて積立型の生命保険に入院給付金が付いているなどの理由です。
従って、債務整理においても例えば任意整理において生命保険の解約を求められることはありません。
任意整理は全部の債務ではなく債務を選んで債務整理することもできるからです。そもそも、任意整理の交渉相手に債務者が生命保険に加入していることが解る筈もありませんが。
自己破産の場合は解約指令も
但し、自己破産の場合だけは例外的に裁判所から生命保険の解約が求められる場合があります。
基本的に自己破産は財産を残すことは認められず、債務全額の免責を求める場合は3ヶ月分の生活費に相当する99万円以内の現金以外の財産は債務に充当しなければなりません。
従って、債務者が積立型の生命保険に加入している場合で、その積立型の生命保険の解約返戻金が20万円を超える場合に裁判所から解約を求められる場合があります。
現実的には裁判所から解約を求められる前に弁護士から解約を求められる筈です。
債務整理をしても生命保険に加入できるのか
生命保険に加入している人が債務整理する場合は上記のポイントに注意する必要がありますが、債務整理をした人には何の問題もありません。また、債務整理中の人が生命保険に加入することも同様です。
生命保険加入時に債務の審査項目はない
そもそも、生命保険会社の保険の加入時の審査項目に債務に関する項目はありません。
毎月の保険料金を滞納すると数ヵ月で保険は失効し保険会社が損失を被ることは無いからです。或いは、例え数億円の多重債務を抱える加入者であっても、毎月の保険料金をきっちり支払い続ける限り加入した保険が失効することはありません。
生命保険会社はブラックリストとも無縁
また、もともと、生命保険会社は個人信用情報機関のネットワークには入っていませんので、個人の信用情報を知る術もありませんのでブラックリストとも無縁です。
つまり、債務整理中でも債務整理後でも生命保険に加入することに何の問題もありません。
最後にポイントをまとめるとすれば・・・
上記の様に債務整理中でも債務整理後でも生命保険に加入することに何の問題もありませんが、債務整理しなければならない人が加入する保険は必要最小限に限定することが求められます。
つまり、万が一の場合に備えた保障額の大きい掛け捨て型の生命保険は毎月の掛け金も最低限の金額で済みますが、それ以外の積立型や満期返戻金が多い生命保険は毎月の掛け金が高くなります。
従って、債務整理が済むまでは必要最低限の生命保険に限定した方が良いと言えます。
また、債務整理のために加入していた生命保険を解約しなければならないのは、自己破産手続において債務者が解約返戻金が20万円を超える積立型の生命保険に加入している場合だけと言えます。

債務整理の森編集部

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