ライブ配信の投げ銭が理由の借金でも債務整理はできますか?
今回の記事では、投げ銭により借金が増えてしまう理由や、投げ銭による借金の相談先、投げ銭による借金でも債務整理ができるのかどうかなど、詳しく見ていこう。
「推し活」という言葉が最近すっかり世の中に浸透してきた印象があります。
自分の「推し」にしているYoutuberやTikTokLive配信者などに金銭を支援したり、プレゼントを贈ったりすることで推しにもっと活躍してほしい、また、自分の存在を認識してほしいという思いがあるのでしょう。
ただ、ライブ配信の投げ銭などはファン同士がお互いに金額を競い合ったりすることでエスカレートする危険があります。
投げ銭に熱中しすぎて依存状態になると、本人も気づかないうちに大きな借金を抱え、債務整理を余儀なくされることもあります。
本記事では
- 「投げ銭とはどのようなものか、なぜ借金を抱えることになってしまうのか」
- 「投げ銭を原因とした借金についてはどこに相談すればよいのか」
- 「債務整理をする場合、どのような種類があるのか」
といった点について解説します。
投げ銭とは
投げ銭とは冒頭に説明したように、ライブ配信者(ライバー)への支援等の目的で金銭やプレゼントを贈ることができるシステムです。
もともと投げ銭とは、路上ライブなどを行う大道芸人やミュージシャンに対し、応援の意味で彼らの前に置かれた箱にお金を入れるという習わしによりつけられた名前です。
それがインターネットの普及した現在では、デジタルの形で金銭等の支援ができるように進化を遂げています。
投げ銭により贈られる金銭やプレゼントがライバーに対する支援になるとともに、投げ銭をすることでライバーから直接コメントをもらえるなど、支援した側にとってのメリットもあります。
投げ銭のやり方
投げ銭をする際の具体的な方法について確認してみましょう。
まずは投げ銭をしたい対象のプラットフォーム(SNSなど)に新規登録を行った上でログインします。
応援したいライバーの配信を開き、そこで「$」や「ギフト」などの記号をタップして金額や商品を選んで贈ります。
決済についてはクレジットカード、キャリア決済、Paypayなど各プラットフォームでさまざまな利用方法が設定されています。
投げ銭で借金をしてしまう理由
その他にも、推しへのアピールや他ファンとの比較のために、額が増えてしまう人が多いんだよ。
投げ銭により借金が膨らんでしまう理由にはどのようなものが考えられるでしょうか。
手軽にできる
投げ銭とは、少なければ100円単位の少額から行うことができるため、気軽な気持ちで始めてしまう人が多いという事情があります。
また、低額を少しずつプレゼントしているうちに感覚が麻痺して、総額でいくらになっているのかを把握しにくい状況になりやすいといえます。
自分の存在をアピールしたい
投げ銭は「贈った側の承認欲求を満たしてくれる」という特徴があります。
投げ銭をした人にはライバーから御礼のメッセージをもらえるなど自分の存在に気づいてもらえる、感謝してもらえるという、いわば「報酬」があるため、さらなる報酬を求めて金額が増えてしまう傾向があります。
他者との比較
投げ銭については他者がいくらくらい贈ったのかがわかってしまう機能がついているプラットフォームもあります。
例えばYoutubeのスーパーチャット(スパチャ)では、投げ銭された額がコメント欄で見ることができます。
このように他者と競争させられることで余計に投げ銭をしたい気持ちが加熱する仕組みになっているのです。
自分が多くのファンの中で頂点にいるという優越感を味わいたい一心から冷静な判断を失い、数百万円、数千万円といったあり得ない金額を投じてしまう人も出てきます。
投げ銭による借金とは
それでも無視をしていると、差し押さえになってしまうこともあるんだよ。
投げ銭が加熱しすぎると、クレジットカードやキャリア決済などで限度額まで利用してしまうなど、知らず知らずのうちに借金が膨らんでいることがあります。
投げ銭借金を放置するとどうなるのか
もし、投げ銭で多額の借金を作ってしまい、請求が来ても払えず放置するとどうなるのでしょうか。
例えばクレジットカードで翌月の決済ができない状況になると、まずカード会社から電話やハガキ等で督促が行われます。
この時点で支払いの目途が立てばきちんとカード会社の連絡先に電話等をして、「〇月〇日までには支払えます」などと伝え、その通りに支払いができれば法的措置が行われることはありません。
しかし、連絡せず放置したり、支払うと伝えた日に支払わずに日数が経過してしまった場合、「支払督促」「訴訟」などといった法的手段に移行してしまうことがあります。
もし裁判所からの訴訟期日の呼び出しなども無視していると欠席の状態で勝訴判決を取られてしまうことがあるため、次の段階として「給与や預金等の差押え」という事態もあり得ます。
債権者が行う法的措置の内容が「支払督促」であれば下図のように手続きの流れが非常に速く、1カ月から2カ月程度で債務名義(強制執行を行うための書類)を取られてしまいます。
つまり、債権者が支払督促を行ってきた場合は通常の裁判より緊急性が高い事態になっているといえます。
裁判所が絡む段階になると自分での対処は難しくなるため、もし法的措置を予告された場合にはすみやかに弁護士に相談することをおすすめします。
投げ銭の借金が増えてしまった時の対処法
すでに生活が困難なほど借り入れをしている場合には、支払い方法の変更や債務整理の検討が必要になるよ。
投げ銭による借金がすでに増えてしまっている時の具体的対処法を考えてみましょう。
依存症の専門家に相談する
投げ銭をすることがすでに生活の一部になっているなど、精神的な依存を伴う場合は「依存症外来」などを設置する精神科への相談がおすすめです。
投げ銭への依存の根底にある心理状態は「ギャンブル」や「アルコール」への依存と共通していることもあります。
債務整理をする人の多くは今ある借金をゼロにしてもまた繰り返してしまうことがあり、結局「精神的依存」を治療しないと根本的解決にならないことがよくあります。
借金については弁護士に、精神的な問題は医師にといったように同時並行で解決していくことが大切です。
なお、厚生労働省のサイトに依存症についての記事が掲載されていますのでこちらも参照してください。
分割払いに変更する
債務整理するほどではないが一括での支払いは厳しいという場合、「分割払い」への変更で対処できることもあります。
ただ、特に「リボ払い」の利用については注意が必要です。
リボ払いとは、月ごとの支払額を一定にして返済期間を延長するなどの方法で返済していくものです。
一見便利なシステムに思えますが、手数料(利息)が高率に設定されているため、毎月の支払いが楽になる代わりにいつまでも利息だけを払い続けなければならない状況に陥りやすいのです。
また、いったんリボ払いを設定した後に追加での利用(買い物等)があるとさらに手数料がかさむ他、支払いの終了時期がますます見えにくくなってくるリスクがあります。
一括払いから分割払いへの変更で完済を目指すのは、なるべく毎月の収入が安定している人が選ぶ手段と考えるべきでしょう。
また、極力リボ払いではなく終わりが見えやすい「分割払い」を選択することも大切なポイントであることを覚えておきましょう。
専門家に相談する
分割払いに切り替える方法でも完済するのが難しい状況になったら、なるべく早期に弁護士や司法書士といった法律専門家に相談に行くべきです。
投げ銭をやめることは大前提として、既に抱えた借金を整理し、無理のない状態に生活を立て直す必要があるからです。
いきなり弁護士事務所に連絡するのは抵抗感があるという人は、市役所などの無料相談を利用して自分の状況を整理することから始めるとよいのではないでしょうか。
投げ銭の借金も債務整理できるのか
ギャンブルなど、免責不許可事由に該当する場合でも、状況調査により免責許可を出していることも少なくないから、まずは弁護士に相談してみよう。
投げ銭のしすぎで膨らんでしまった借金は、そもそも債務整理の対象となるのでしょうか。
「ギャンブルで作った借金は免責がおりない」など、ネット上の情報を見て不安になる人もいるでしょう。
確かに、自己破産を選択した場合、ギャンブルが借金の原因の中で大半を占めるようなケースは「免責不許可事由」に該当する可能性が高くなります。
しかし、免責不許可事由がある案件であっても最終的に裁判所が状況を調査して「破産管財人」と協議を重ねた上で「裁量免責」を出すことも少なくありません。
投げ銭が借金の大半の理由である場合は、まず弁護士に詳しい事情を説明しましょう。
裁量免責を取れる可能性があるかどうか、また、より免責の可能性を高めるための裁判所への書類の作成方法、審尋での振る舞い方などを弁護士にアドバイスしてもらうことが大切です。
※審尋・・・免責の可否を判断する材料などとして、裁判所が債務者本人に面談して事情を聞くこと。
また、自己破産以外の「任意整理」「個人再生」といった手続きでは借入原因の如何を問わず債務整理することが可能です。
債務整理の種類
弁護士等に相談をして債務整理をすることになったら、次に決めなければならないのは「債務整理の種類」です。
債務整理といえば最初に自己破産のイメージが浮かぶ人も多いでしょうが、自己破産のようにすべての借金をゼロにする手続きだけではありません。
債務整理には
- 「任意整理」
- 「特定調停」
- 「個人再生」
- 「自己破産」
があり、下記のような特色があります。
|
任意整理 |
特定調停 |
個人再生 |
自己破産 |
|
|---|---|---|---|---|
|
裁判所が関与するか |
しない |
する(※1) |
する |
する |
|
利息引き直し計算した残額よりさらに減額できるか |
できない |
できない |
できる |
全額免責 |
|
相手方債権者を選択できるか |
できる |
できる |
できない |
できない |
|
資産の処分 |
不要 |
不要 |
不要(※2) |
必要(※3) |
|
債権者の同意 |
必要 |
必要 |
不要(※4) |
不要 |
※1.裁判所で調停委員立会のもとに行うが、当事者同士の合意で内容が決まるため、個人再生や自己破産のように裁判所が主導するのではない。
※2.資産そのものを処分する必要はないが、「清算価値保障の原則」といって、債務者が保有する財産価額以上を弁済しなければならないというルールがある。
※3.各地方裁判所により定められた基準の金額までは債務者の手元に残すことができる。
※4.小規模個人再生においては「再生計画案の決議(債権者が個人再生に同意しない旨を表明するための決議)」がある。
それぞれの手続きの特徴やメリット、デメリットについては下記の記事を参照してください。
どのような人がどの種類の手続きに向いているのかは、大雑把にいえば次のようになります。
- 自身の収入に対して元金がそこまで大きくないため、分割払いの合意をして将来利息がカットできれば返済できる。⇒任意整理や特定調停
- 元金がある程度高額(200万円を超えるなど)であり、元金をカットしてもらうことに意味があるが、元金カット後の月返済額を確実に返していける程度には債務者本人の収入に安定性がある。⇒個人再生
- 元金が本人の収入から考えて、分割払いであっても返済不能と考えられる。⇒自己破産
あくまでも上記は目安であり、最終的に債務整理の種類を選ぶ際は弁護士とよく話し合い、現状を分析した上で決断しなければなりません。
中途半端な方法で債務整理してしまうと結局、途中で返済に行き詰まったり生活の立て直しに失敗したりするリスクもあるので、手続きの種類選択は非常に大切なプロセスであることを覚えておきましょう。
まとめ
- ネット上の投げ銭とはライブ配信者に対しオンライン上で金銭やプレゼントを贈るシステムであるが、他の支援者との競争などで過熱しやすいことから借金が膨らんでしまう人も存在する。
- 投げ銭を借入の原因として債務が増えてしまった場合、債務整理も可能である。
- 借入の元金がいくらなのか、収入がどのくらいなのか等で選択すべき手続きは変わってくるため、債務整理の手続選択は弁護士と相談の上、慎重に行うべきである。
西岡容子
青山学院大学卒。認定司法書士。
大学卒業後、受験予備校に就職するが、一生通用する国家資格を取得したいと考えるようになり退職。その後一般企業の派遣社員をしながら猛勉強し、司法書士試験に合格。
平成15年より神奈川県の大手司法書士法人に勤務し、広い分野で実務経験を積んだ後、熊本県へ移住し夫婦で司法書士法人西岡合同事務所を設立。
「悩める女性たちのお力になる」をモットーに、温かくもスピーディーな業務対応で、地域住民を中心に依頼者からの信頼を獲得している。
以後15年以上、司法書士として債務整理、相続、不動産を中心に多くの案件を手掛ける。
債務整理の森への寄稿に際しては、その豊富な経験と現場で得た最新の情報を元に、借金問題に悩むユーザーに向け、確かな記事を執筆中。
■略歴
昭和45年 神奈川県横浜市に生まれる
平成5年 青山学院大学卒業
平成14年 司法書士試験合格
平成15年 神奈川県の大手司法書士法人に勤務
平成18年 司法書士西岡合同事務所開設
■登録番号
司法書士登録番号 第470615号
簡易裁判所代理権認定番号 第529087
■所属司法書士会
熊本県司法書士会所属
■注力分野
債務整理
不動産登記
相続
■ご覧のみなさまへのメッセージ
通常、お金のプロである債権者と、一般人である債務者の知識レベルの差は歴然としており、「知らない」ことが圧倒的に不利な結果を招くこともあります。
債務整理の森では、さまざまなポイントから借金問題の解決方法について詳しく、わかりやすく解説することに努めています。
借金問題を法律家に相談する時は、事前に債務者自身が債務整理についてある程度理解しておくことが大切です。
なぜなら大まかにでも知識があれば法律家の話がよく理解できますし、不明な点を手続き開始前に質問することもできます。
法律家に「言われるがまま」ではなく、自分の意思で、納得して手続きに入るためにも当サイトで正しい知識をつけていただけたら幸いです。
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