債務整理の森

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年金受給者でも債務整理をする事はできるのか?

 

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高齢者の借金が増えている現実

8月末に放映されたNHKスペシャル・老人漂流社会「親子共倒れを防げ」を見た方も多いと思いますが、収入が少ない中高年が高齢の親と同居するケースが増え子どもと同居することで経済的に苦しくなり、老後破産に陥ってしまう親子が増えていることが問題視されています。

この背景には全人口に占める65歳以上の高齢者の比率が増えていること、国や地方自治体の財政難・核家族化の進展による独居老人の増加・介護問題・医療問題などがあり、いずれの問題も簡単に解決できない根の深い問題です。

その結果、住宅ローンなどの債務を抱えたまま65歳以上の高齢者に仲間入りする人も多く、65歳を過ぎて年金受給が始まっても年金だけでは生活できない世帯も増えています。

しかしながら、親の介護や自分の病気などで働きたくとも働けない人も多く、NHKスペシャル・老人漂流社会でも指摘されたように親子共倒れになるケースも増えています。

従って、今や過大な債務を抱えた高齢者の老後破産問題は深刻な問題で、私達一人一人がそうなる前に具体的な知識増備を整え対策を練っておくことが大事になってきています。

つまり、実際には年金受給者や高齢者で債務整理を考えなければならない人も多い筈ですが、債務整理する人は氷山の一角で老後破産や親子共倒れになって初めて事態の深刻さを自覚する人も多いのです。そこで、年金受給者の債務整理について以下で具体的に見ていきます。

 

年金受給者でも任意整理できるのか?

任意整理は基本的に債務者と債権者である金融業者間の民民の和解交渉ですから、年金受給者が任意整理できない理由はありません。

但し、年金受給者が任意整理を考える場合、以下のポイントをクリアする必要があります。

和解後の条件で返済できるか

もともと、任意整理は和解交渉により過去の過払い利息や遅延損害金や将来発生する見込みの利息などをカットした上で、債務の元金部分について3年から5年で分割返済する債務整理手続です。

従って、上記の債務引き直し後の債務を最長5年以内に返済することになりますから、毎月、債務引き直し後の債務額を60ヶ月で分割した金額を返済できるか否かが大きなポイントとなります。

具体例

例えば、任意整理により300万円に圧縮された債務を60ヶ月で返済するとなると、毎月5万円の均等返済を5年間継続することになります。

果たして、65歳以上の年金受給年齢に至った債務者が、5年間に渡りこの様な債務の返済を継続できるか否かは甚だ疑問です。

従って、相当、慎重に計算した上で任意整理交渉を行う必要があります。仮に、債務者と金融業者間の和解交渉が成立し任意整理できたとしても、約束した返済が継続できなければ、結局、自己破産するしか手段はなくなるからで、それならば最初から自己破産を検討した方が良かったということになります。

 

自己破産した場合に年金はどうなるか

それでは65歳以上の年金受給者が自己破産した場合、年金はどうなるのでしょうか?

年金は差し押さえられない

結論を先に申し上げますと、自己破産しても年金に影響は無く、債務者が年金を差し押さえられる様なことはありません。

もともと、年金は現在では65歳以上の高齢者が日々の生活の費用として使う趣旨の資金です。

つまり、憲法で保障された国民の最低限度の生活を営む原資とも言える資金ですから、年金を差し押さえると最低限度の生活費が不足するということになりますので、年金の受給権は法律で差押が禁止されているのです。このことは国民年金法24条と厚生年金保険法41条に明記されています。

年金が差し押さえられるケース

但し、次の様なケースでは実質的に年金資金が差し押さえられる場合が有り得ます。

それは、銀行口座凍結になった場合です。もともと、年金は銀行口座振込で受け取る人が殆どですが、自己破産手続などで銀行口座が凍結された場合、通常、振り込まれた年金資金を引き出すことはできず実質的に年金資金が差し押さえられるケースも有り得ます。

従って、年金受給者が自己破産する場合、あらかじめ自己破産手続とは関係の無い銀行に年金受取口座を変更する必要が出てきます。

つまり、自己破産しても年金の受給権を侵されることはありませんが、振り込まれて預金口座に入っているお金は預金債権として差し押さえられることがあるということです。

差押禁止範囲の変更申立

しかしながら、このケースにおいても債務者である年金受給者側から「差押禁止範囲の変更申立」を行い、振り込まれて預金口座に入っている年金資金を取り戻す手続を行うことができます。

最終的には裁判所の判断に委ねられますが、それだけ年金資金は保護の対象になっているということです。

 

最後にポイントをまとめるとすれば・・・

現在、消費者金融会社や信販会社では、65歳~69歳をカードローン審査の上限年齢に設定する会社が多くなっています。

つまり、年金受給者であっても69歳以下の場合はカードローンやクレジットカードのキャッシングが可能です。

また、国の出先機関である「独立行政法人 福祉医療機構」は例外的に年金を担保にした融資を行っています。現在、貸出金利は年率1.6%で基本的に1年間の年金受給額が融資限度額となっており、返済は支給される年金から天引きされます。

従って、50万円程度の少額資金を一時的に借りる場合は金利が低い「独立行政法人 福祉医療機構」がお得と言えますが、100万円~200万円の大金を借りる場合は大事な年金を担保に取られる方策は考え物です。

つまり、最悪の場合を想定すると仮に自己破産しても年金は守られるのに対して、年金を担保に「独立行政法人 福祉医療機構」で大金を借りてしまうと実質的に年金を取られてしまうからです。
(この記事は坂本一夫が書いています)

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