借金の踏み倒しをするとどうなる?解決方法も併せて解説
借金って返済せずに逃げ切ることはできるの?
借金を返済できずに、夜逃げをしたり、そのまま放置してしまう人もいるけれど、借金は逃げ切ることができない場合の方が多いんだ。 今回の記事では、借金は踏み倒すことができるのかどうかを、詳しく見ていこう。
借金返済ができなくなって「踏み倒し」をしてしまったら、何が起こるのでしょうか?
- 逮捕されるのか?
- 給料を差し押さえられるのか?
- 逃げ続けて長年払わなかったら、時効が成立して払わなくても良くなるのか?
いろいろと気になることがあるでしょう。
今回は借金の踏み倒しをしたらどうなるのか、借金問題を解決する方法を解説していきます。
借金を踏み倒したら逮捕されるのか
借金の返済をしないと、逮捕されてしまうことってあるの?
相手をだましてお金を取るような事がなければ、借金をしたからといって逮捕されてしまう事はないよ。
借金の踏み倒しとは、お金を借りたのにきちんと返済をせずに無視して払わないことです。
放っておくと逮捕される可能性はあるのでしょうか?
借金を踏み倒しても、基本的に逮捕はされません。
お金の貸し借りは「民事的な契約」であり、そこに「刑事的な捜査機関」である警察が介入することはないからです。
日本には「借金を返済しない罪」は規定されていないので、借金を踏み倒したからといって警察が逮捕することはできません。
ただし相手を騙してお金を払わせた場合などには「詐欺罪」が成立して逮捕される可能性があります。
たとえば、結婚詐欺などで、当初から支払うつもりがないのに「絶対返す」などと告げて大金をだまし取った悪質なケースなどです。
そういった特殊なケース以外では、借金の踏み倒しは犯罪になりません。
踏み倒すと裁判されて差押えを受ける可能性が高い
返済できないまま借金を放置するとどうなるのかな?
ほとんどの場合、裁判を起こされるね。 裁判になると、給料の差し押さえなどが起きてしまうから、確実に返済しなければいけない状況になってしまうんだよ。
ただし借金を返済せずに放置していると、民事的な請求を受けます。
まずは債権者から支払い請求をされます。
電話や郵便などで督促が来て、それでも放っておくと「内容証明郵便」で一括払いの請求をされます。
それも放置していると、今度は「裁判」を起こされます。裁判で判決がでたら、残債務と遅延損害金の一括払い命令が出されます。
払えないからといって放置していたら、最終的に給料や預貯金、保険などの財産の差押を受けます。
このように、借金を踏み倒そうとしても、裁判をされてまともな生活が難しくなる可能性が高いので、踏み倒しはあまり有効な借金問題解決方法ではありません。
借金を踏み倒すと時効が成立する可能性がある
借金には時効があるんだよね? 時効にするにはどうすればいいのかな?
最終返済日から5年、もしくは10年が経過しており、その間に時効の中断が行われていなければ、時効の援用という手続きを進める事で、借金を帳消しにできるよ。
借金を踏み倒して長期間支払わなかった場合、時効が成立して支払いをしなくて良くなる可能性はあるのでしょうか?
時効とは
結論的に、借金を長期にわたって返済していなければ、時効が成立する可能性はあります。
この場合の時効は「消滅時効」です。
消滅時効とは、権利を持っている人が長期間権利行使をしないことによって権利が消滅してしまう制度です。
借金にも消滅時効の制度が適用されるので、時効に必要な期間を過ぎれば権利が消滅し、支払いをしなくて良くなります。
時効の期間
借金の時効の期間は、5年または10年です。
5年で時効になるのは、相手が金融機関や貸金業者の場合です。
たとえばサラ金やカード会社、銀行などからの借金の場合、5年で時効消滅します。
借入先が個人の場合や信用保証協会、公庫などの場合には10年で時効消滅します。
時効の起算点について
時効が成立しているかどうか確認するには「いつから期間を計算するか」を確定しなければなりません。
「いつから計算するか」の起点になるタイミングを「時効の起算点」と言います。
借金の時効の場合には「最終支払い日の翌日」から期間を数えます。
たとえばサラ金からの借金の場合、最終支払い日の翌日から5年が経過していたら時効が成立し、支払いをしなくて良くなります。
時効援用について
最終返済日から5年や10年が経過して支払い義務がなくなったとしても、何もしなかったら時効消滅の効果を主張できません。
時効の効果を得るには「時効援用」という手続きが必要です。
時効援用とは「時効による利益を得ます」という意思表示です。
援用をしない限り時効の効果は確定しないので、債権者から支払い請求されたら支払いをしなければなりません。
時効成立に必要な期間が過ぎたら早急に時効援用をしましょう。
時効援用の方法
時効を援用するには、内容証明郵便で債権者に「時効援用通知書」を送る方法をお勧めします。
内容証明郵便とは、郵便局が内容を証明してくれる郵便です。
発送日付なども入るので、いつ発送したのか明らかになりますし、「配達証明」という制度を利用すればいつ相手に配達されたのかも証明できます。
口頭などで援用すると、後に時効援用をした事実を証明できずトラブルになるおそれがあります。
内容証明郵便なら、後々まで確実に時効援用をした事実を証明できるので、いったん提出してしまえば後は借金の督促を受ける心配がなくなり、安心です。
放置していても時効が認められず、借金の踏み倒しができない場合もある
時効を待てば、借金をチャラにできるよね?!
ただ返済せずに待っているからといって、時効になるわけではないんだ。 債権者は時効にならないように、時効の中断を行うから、時効になることはほとんどないんだよ。
借金を返済せず5年や10年以上放置していたら時効が成立する可能性がありますが、この期間が経過しても踏み倒しができない場合もあり、要注意です。
時効には「中断」がある
借金の時効には「中断」という制度が適用されます。
中断とは、借金の時効が途中で止まってしまうことです。
いったん中断したら、また当初から時効期間の数え直しになります。
中断を繰り返していれば、永遠に時効を成立させないことも可能です。
たとえばサラ金からお金を借り、最終返済日から3年後に中断が発生すると、またそのときから5年(または10年)が経たないと時効は成立しません。
そのときから3年後に再度中断されたら、またそのときから5年または10年が経過しないと時効が成立しないのです。
延々と繰り返されたら時効が成立する可能性はありません。
時効の中断事由
時効の中断にはどんなものがあるの?
借金の督促が行われたり、何日までの返済しますと伝えるだけで、時効の中断になってしまうんだよ。 その他にも、裁判を起こされた時や、差し押さえをされた時なんかも、時効の中断になるよ。
では、どのような事情があれば時効が中断されるのでしょうか?
債務を承認した
債務者が「払います」と言ったり書面を差し入れたりすると、債務承認によって時効が中断します。
何も言わずに借金や利息の一部を支払っただけでも時効は中断されます。
裁判を起こされた
債権者から裁判をされると、時効は中断します。
相手にこちらの住所を知られていなくても「公示送達」という方法で知らない間に裁判を起こされる可能性もあるので要注意です。
また通常訴訟だけではなく「支払督促」という簡単な裁判によっても時効は中断します。
裁判をされると、確定判決によって時効期間が10年に延長されます。
もともとの借金がサラ金やカードなどで時効期間が5年であっても、裁判されると時効期間が10年になるので注意が必要です。
仮差押、差押えをされた
仮差押とは、裁判前に相手の資産を動かせないように凍結する手続きです。
差押えは,強制執行のために財産を動かせないように把握する手続きです。
これらの手続きが行われた場合にも時効は中断します。
現実には債権者が時効の成立を待ってくれることは少ない
借金の時効は裁判によって比較的簡単に中断できるので、債権者が何もせずに5年や10年傍観し続けて借金の時効が成立するケースは少数です。
時効によって借金を踏み倒そうとしても、簡単には成功しません。
夜逃げすれば借金の踏み倒しはできる?
督促状が届かないように、夜逃げしちゃえばいいんじゃない?
夜逃げはリスクが高く、生活していく上で不自由なことが多くなってしまうからお勧めはできないな…
一般には「借金から逃れたければ夜逃げすると良い」と思われているケースがあります。
実際に夜逃げによって借金を踏み倒せるのでしょうか?
夜逃げはリスクが高い
夜逃げとは、借金などを苦にして一家がこっそり別の場所に引っ越しすることです。
昔は夜中に荷物とまとめて逃げたことから「夜逃げ」と言われるようになりましたが、今では昼間に「夜逃げ」する人も少なくありません。
結論的に、夜逃げしても借金から逃れられません。
そもそも夜逃げをしても、督促が来ないように別の場所に移っただけですから法的には借金が免除されません。
見つかったらまた元のように督促を受けます。
督促が来ないようにするには、相手から逃げ隠れし続ける必要があります。
住民票も移せませんし、ネットでSNSなどを通じて交流したりブログを書いたりするのも難しくなるでしょう。
仕事も限定される可能性が高くなります。
少しでも目立つ行動をとると発見されるおそれがあるので、こっそり生活をし続ける必要があります。
住民票を移せなかったら、さまざまな不都合を強いられます。
健康保険への加入手続きが複雑になったり、子どもの学校関係の連絡が来なかったり、地域で行われている行政サポートを受けられなかったりするでしょう。
このような問題があるので、夜逃げは決してお勧めできません。
夜逃げしても裁判される可能性がある
夜逃げの場合には、時効の中断を行うことはできないよね?
住所が不明な場合でも、裁判を起こすことはできるから、夜逃げで時効の中断を防ぐことはできないんだよ。
夜逃げは確実な借金踏み倒し方法でもありません。
夜逃げをすると、債権者に住所を知られないので「裁判されないだろう」と考える方がおられますが、甘いです。
裁判は、相手の住所を知らなくてもできるからです。
具体的には「公示送達」という方法を利用します。
公示送達とは、相手の住所や居場所が不明なときに、裁判所に「裁判が行われています」という掲示をすることにより、相手に訴状を送ったとみなす制度です。
公示送達が認められたら、被告不在のまま裁判が進行し、最終的に債権者の主張が全面的に認められます。
債務者には一方的に借金の残債全額と遅延損害金の支払い命令が下されます。
これによって時効が10年延長されるので、夜逃げしていても永遠に借金が時効にかからない可能性があります。
夜逃げして時効の成立を待つのは非常に確実性の低い対処方法と言えます。
借金の踏み倒しをしなくても借金を減らせる!まずは法律家へ相談
借金を踏み倒すことができないなら、返済できなくなってしまったらどうしたら良いの?
専門家に相談して債務整理を取り入れるのがお勧めだよ。
以上のように、借金を踏み倒そうとしてもなかなかできるものではありません。
苦しい借金を免れるには、どうしたら良いのでしょうか?
この場合、専門家に相談して債務整理をするのが一番お勧めです。
債務整理とは
債務整理とは、法的な方法で正式に借金を減額・免除してもらう手続きです。
債務整理をしたら、借金の踏み倒しや時効に頼らなくても借金を減らしたり免除してもらったりできるので、早期かつ安全に借金問題を解決できます。
債務整理には、以下の3種類の方法があります。
任意整理
任意整理は、債権者と直接話し合って借金を減額してもらい、支払い方法を決め直す手続きです。
多くのケースでは、合意後に発生する将来利息を全額カットしてもらい、元本限りの返済にしてもらえます。
返済期間も5年程度にまで延ばせるので月々の支払いが楽になります。
サラ金やカードローンなどを利用しすぎたときに有効です。
個人再生
個人再生は、裁判所に申立をして借金を大幅に減額してもらう手続きです。
借金額や手持ちの財産額にもよりますが、元本ごと5分の1~10分の1にまで減らしてもらえるので、借金額が膨らんでいるケースでも非常に有効です。
住宅ローンがある方の場合、家を守りつつ借金を減らせる「住宅ローン特則」があるので、大切なマイホームを失うこともなく安心して手続きを進められます。
自己破産
自己破産は、裁判所に申立をしてすべての借金を0にしてもらう手続きです。
借金がどれだけ多くなっていても、無職などで一切収入がなくても借金を「0」にできるのでとても効果的です。
ただし債務者に財産があれば、大部分が失われます。
債務整理を成功させるには早期の相談が大切
専門家への相談はいつするのがお勧めなのかな?
返済できないと気が付いた時に、すぐに相談するのがお勧めだよ。
債務整理をするときには、上記のどの手続きが最適か判断して選択しなければなりません。
その後も書類集めや債権者との交渉、裁判所への申立などの複雑な手続きが必要で、自分一人ではなかなか進めにくくなっています。
また借金問題は放っておくと状況が悪化していくので、早期に取りかかることが重要です。
早めに対応すれば自己破産などのデメリットの多い方法を避けて任意整理などで解決できる可能性も高くなります。
借金問題に対応してくれるのは、弁護士や司法書士です。
借金問題に困っているなら、早めに専門家に相談してみて下さい。
まとめ
借金は逃げ切ることができないんだね。 夜逃げすれば何とかなるんだと思っていたよ…
夜逃げも時効も、借金から逃れる方法としてはお勧めできないから、返済できずに困った時にはできるだけ早く専門家に相談しよう。
借金を踏み倒そうとしても、うまくいくものではありません。
時効の成立を待つのも困難です。
それよりは早期に専門家に相談をして債務整理で解決する方法が有効です。
まずは借金問題に力を入れている弁護士または司法書士の事務所の無料相談を受けるところからはじめましょう!
福谷陽子
元弁護士・ライター。
弁護士としての活動した約10年間のうち、7年間は独立開業して事務所の運営を行う。
実務においては債務整理案件を多数担当し、任意整理・個人再生・自己破産のみならず、過払金請求も手がける。
その経験をもとに、現在はライターとして法律関係の記事を執筆している。
■略歴
・京都大学法学部在学中、司法試験合格
・京都大学法学部卒業後、司法研修所入所
・弁護士登録・某法律事務所にて勤務
・独立し、陽花法律事務所を設立
・弁護士活動を停止し、ライターに転身
■ご覧のみなさまへのメッセージ
借金問題を抱えていると、追い詰められた気持ちになるものです。
「どうしようもない」「借りた自分が悪い」「借りたからには返さなければ」と律儀な思いを持ち、必死で返済を続けている方もおられるでしょう。
しかしどんなに頑張っても返済できない借金があるものです。
法律は借金返済できない方や苦しくなった方に救済手段をもうけています。
債務整理をすると嘘のように借金問題を簡単に解決できるケースが本当に多いです。
借金問題に悩んでいる時間はもったいないです。
債務整理は恥ずかしいことではないので、勇気を出して専門家へ相談していただきたいと思います。
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