官報とは違う? 破産者名簿について解説します

 

クマ

自己破産をすると、破産者名簿に名前がのってしまうんでしょ?

ミミズク

自己破産をすると、破産者名簿に名前がのって色々な人に破産したことがバレてしまうと勘違いしている人はたくさんいるんだけれど、破産者名簿は一般の人が見られるような物ではないんだよ。

クマ

じゃあ、破産者名簿って一体何に使われる物なの??

ミミズク

よし!では今回の記事では、破産者名簿は一体何か?

利用目的などをチェックしていこう!

「自己破産したら『破産者名簿』に名前が載る」

あなたもそう思っているのではないでしょうか?

 確かにかつては、自己破産したら必ず自治体の管理する「破産者名簿」に掲載されていましたが、今ではその取扱いが変わっています。

また破産者名簿に載った場合でも、一般に公開されるものではないので周囲の人に破産の事実を知られる心配はまずありません

 今回は破産者名簿とは何か、目的や掲載される条件、一般人が閲覧できるのかなど、解説していきます。

破産者名簿とは

破産者名簿には地域の破産者の情報が掲載されている

破産者名簿は、自治体が管理している「その地域に本籍地のある破産者の名簿」です。

たとえば東京都武蔵野市であれば、武蔵野市に本籍地を置いている破産者の情報を武蔵野市が管理しています。

ただし後に説明しますが、これまでに破産したことのある人全員の名前が載っているわけではありません。

破産者名簿に名前が載るのは「免責決定を受けられなかった人」のみです。

破産者名簿は何のために作成されるのか

クマ

破産者名簿には何が記載されているの?

ミミズク

免責がおりなかったという事実だけが、破産者名簿に記載されているよ。

破産者名簿は何の目的で作成されているのでしょうか?

それは、自治体が「身分証明書」を発行するためです。

ここで言う「身分証明書」は、主に「破産していないことを証明するもの」であり、一般的にイメージされる運転免許証や健康保険証などの身分証明書とは全く違います。

書かれている内容は「破産していない」事実です。

 たとえば弁護士や税理士などの士業に就くには、自己破産による「資格制限」を受けていないことが必要です。

そこで、登録時には「破産していないことの証明書(身分証明書)」を弁護士会などに提出する必要があります。

そうだとすると市区町村としては、身分証明書の請求者が破産しているかどうかを正確に判断しなければなりません。

そのため、破産者名簿を参照して、請求者が破産者として資格制限を受けているかどうかをチェックします。

 市区町村が「破産していない」と証明してくれることにより、本人は希望する職業や地位に就くことが可能となります。

破産者名簿は、官報や信用情報とは別物

破産者名簿を「官報」や「信用情報」と混同している方も多いのですが、これらはまったく異なるものです。

 官報は、政府が発行している新聞のような機関誌であり、全国に公表されています。

読もうと思えば誰でも読めますし、ネットでも閲覧可能です。

信用情報は、ローンやクレジットの利用履歴であり、信用情報機関が管理しています。

本人が情報開示請求をすれば閲覧することが可能ですし、金融機関は貸付審査の際に参照しています。

のように、官報や信用情報は、一般にも見られる可能性のあるものです。

 これらに対し、破産者名簿は自治体が内部的に管理するものですから一般人は一切閲覧できません

第三者だけではなく親族が「閲覧させてほしい」と言っても開示されません。

本人や代理人が「破産されていないことの証明書」を申請したとき、自治体が証明書を発行して良いかどうかの判断だけのために利用されています。

破産者名簿に載るとどうなる?

クマ

破産者名簿に名前がのるとどんな影響があるの?

ミミズク

職業制限を受けてしまう事があるんだよ。

もしも破産者名簿に名前が載ってしまったら、どのようなことが起こるのでしょうか?

身分証明書によって破産者であることがバレてしまう

破産者名簿に名前が載ると、自治体が発行する「身分証明書」に「破産していない」と表記されません。

すると「破産者」であることが判明してしまいます

就ける職業が制限される

身分証明書に「破産していない」と書かれていなかったらどうなるのでしょうか?

先にも少し説明しましたが、自己破産には「資格制限」があり、破産免責を受けていない人は就ける職業や資格、地位が制限されます。

制限される職業や地位に就くには、身分証明書を提出して「破産していない」事実を証明しなければなりません。

しかし破産者名簿に載ると「破産していない」と書かれないので、破産者でないことの証明になりません。

 すると、資格制限を受ける仕事や地位に就けなくなります

具体的には以下のような仕事や地位が制限対象です。

破産者が就けない仕事

  • 弁護士
  • 弁理士
  • 司法書士
  • 税理士
  • 公認会計士
  • 不動産鑑定士
  • 行政書士
  • 通関士
  • 宅地建物取引士
  • 公証人
  • 貸金業者
  • 旅行業者
  • 生命保険募集外交員
  • 警備員
  • 建設業者
  • 風俗業の管理者
  • 廃棄物処理業者
  • 調理師
  • 騎手

破産者がつけない地位

  • 後見人(成年後見人、保佐人、補助人)
  • 後見監督人
  • 遺言執行者

 破産者名簿に載っている限り、上記のような仕事や地位に就けません。

戸籍謄本や住民票には何も記載されない

破産者名簿は自治体が管理するものです。

すると「自治体から発行される戸籍謄本や住民票などにも破産したと書かれるのではないか?」と心配になりますよね?

 しかし破産者名簿に名前が載っても、戸籍謄本や住民票に何らかの記載がされることは一切ありません

破産手続き中も破産後も、戸籍や住民票の内容は全く普通の人と同じであり、見た目で破産者と判断することは不可能です。

パスポートや健康保険証などの公的書類も同様です。

破産者名簿によって「他の人に破産者であることを知られる心配」は不要です。

どんな人が破産者名簿に載るのか

クマ

自己破産の手続きを進めると、全員破産者名簿に名前が残るの?

ミミズク

免責許可が下りなかった人だけだから、自己破産の手続きを進めても、免責許可が下りていれば名前が残ってしまう事はないんだよ。

自己破産したら全員が破産者名簿に載ってしまうのでしょうか?

免責を受けられたら破産者名簿に載らない

実は、現在の制度では破産したほとんどの人が破産者名簿に載りません。

破産者名簿に載るのは「自己破産をして免責決定を受けられなかった人」だけだからです。

 免責とは、借金などの負債の支払い義務を免除してもらえる決定です。

免責許可が下りれば税金などを除く負債を支払う義務がなくなり、資格制限も取り払われて「復権」します。

つまり普通の人と同じ状態になるということです。

免責して復権した以上、破産者ではなくなるので破産者名簿に載ることはありません。

 裁判所は、破産して免責を受けられなかった人のみについて情報を自治体に送り、自治体が破産者名簿にその人を登録する、という運用になっています。

きちんと免責を受けられた方は破産者名簿に載らないので、免責決定が確定したら資格制限を受ける仕事や後見人などにも自由に就けます。

復権するまでの期間が「破産者」

一般には、破産した後もずっと「破産者」のままであるかのように思われるものです。

「昔破産したことのある人」を「破産者」と呼ぶこともあるでしょう。

 しかし法律上では「破産者」は「破産手続き開始決定時から免責決定が出るまでの間」の人です。

免責決定が出たら「復権」と言って元の権利を回復するので、破産者ではなくなります。

破産者に対する制限の内容

破産手続き開始決定から免責決定時までの「破産者」の間は、以下のようなさまざまな制限を受けます。

  • 資格制限
    上記でご説明した職業や地位の制限です。
  •  住所や旅行の制限
    破産者に一定以上の財産があるなどで「管財事件」になった場合には、引っ越しや長期旅行が制限されます。
  •  郵便物の転送
    同じく「管財事件」になった場合には、郵便物が破産管財人の事務所に転送されるので、自分で直接受け取ることができなくなります。

破産手続き開始決定から免責までの期間

破産者が上記のような制限を受ける「破産手続き開始決定から免責決定までの期間」は、同時廃止(財産がない人の簡易な破産)の場合に3か月程度、管財事件(財産がある人などの複雑な破産)の場合に半年~10か月程度です。

また同時廃止の場合、上記の住所や旅行の制限、郵便物の転送は受けません。

破産者名簿に載ることは滅多にない

クマ

実際には自己破産の手続きをしたどの位の人が破産者名簿に名前が載っているの?

ミミズク

免責不許可となってしまう人は、全体の1%にも満たないんだよ。

現実に、免責決定を受けられなくて破産者名簿に載るケースはどのくらいあるのでしょうか?

自己破産した人のうち、少なくとも95%以上は免責を受けています(たとえば平成23年では97.4%の方が免責されています)。

自己破産を自ら取り下げたり却下されたりする割合が数%ありますが、「免責不許可」になる人は1%にも満たない状況です(平成23年では0.16%)。

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 このように免責を受けられた人や取り下げ、却下された人は破産者名簿に載らないので、破産者の中で破産者名簿に載るのは1%にも満たないということです。

自己破産をしたら、ほとんどの方は無事に免責を受けて借金をチャラにしてもらい、資格も回復できています。

 「自己破産をしたら、破産者名簿に名前が載ってさまざまな不利益を受けるのではないか?」という過剰な心配は不要です。

免責を受けられないケース

クマ

免責許可が下りない人はめったにいないんでしょ?

免責を受けられない人って一体どんな人なの?

ミミズク

ギャンブルで自己破産をしたけれど、またギャンブルで自己破産手続きををするような、悪質な人だけなんだ。

一般的には免責不許可事由があっても、裁量免責といって、裁判所が免責を許可してくれることがほとんどなんだよ。

そうだとしても、0.16%程度の人は免責を受けられず破産者名簿に載っているわけです。

実際に免責決定が出ないのは、どういったケースなのでしょうか?

免責不許可事由

自己破産には「免責不許可事由」があります。

これは「該当すると免責を受けられなくなる諸事情」です。

たとえば以下のような事情が免責不許可事由になっています。

  • 浪費やギャンブル、投機による借金
  •  財産隠し、不当な処分
  •  債権者隠し
  •  一部の負債のみ返済した
  • 自己破産の手続きを妨害、非協力
  • 以前の自己破産から7年経っていない

 上記のような事情のある方は、自己破産しても免責を受けられない可能性があります。

免責されないのは「裁量免責」を受けられない場合に限られる

ただし実際には免責不許可事由があっても、免責を受けられるケースがほとんどです。

自己破産には「裁量免責」という制度があるからです。

免責不許可事由があっても、裁判所が全体的な事情を見て「裁量」で「免責しても良い」と判断してくれたら免責を受けられるのです。

 浪費やギャンブルなどがあっても裁量免責制度によってほとんどのケースで免責されるので、さほど心配する必要はありません。

免責を受けられない方は、裁量免責も受けられないほどよほど悪質な免責不許可事由がある方だけです。

たとえば悪質な財産隠しをして債権者に損害を与えたりした場合や、前回も酷い浪費によって破産し、2回目も同じように酷い浪費で破産しようと思った場合などには、反省がないとして免責してもらえない可能性があります。

免責が取り消しになるパターン

いったん自己破産で免責を受けても、その後に免責不許可事由が発覚して免責決定を取り消されるケースもあります。

たとえば免責決定後に財産隠しがバレた場合などです。

すると免責を受けられなかったのと同じ扱いになるので、破産者名簿に載ります。

免責が認められないとどうなるのか

免責を受けられなかった場合、以下のような状態になります。

  • 借金が免除されないので債権者から請求が来る
  • 資格制限を受けたままになる
  • 破産者名簿に名前が載り続ける

免責されなかったときに破産者名簿から名前を消してもらう方法

クマ

破産者名簿に名前が載ってしまったら、一生そのままなの?

ミミズク

借金を完済したり、他の債務整理を行うことで、破産者名簿から名前を消してもらうことが可能だよ。

免責を受けられなかった場合でも、以下のような場合には破産者名簿から名前を消してもらえます。

  • 裁判所に届出た債権者が全員破産手続きの廃止に同意した場合
  •  個人再生で再生計画の認可決定が確定した
  •  詐欺破産罪(破産者が財産を隠した場合などに成立する犯罪)の有罪判決を受けずに10年が経過した
  • 借金を完済した(任意整理を利用してもかまわない)

 特に有効なのは、個人再生や任意整理を利用する方法です。

免責を受けられなくて困ったら、弁護士に相談してみてください。

まとめ

クマ

破産者名簿は官報と同じで、色々な人が閲覧できる物だと思っていたよ。

ほとんどの人が破産者名簿に名前が残ることがないってわかって安心したよ。

ミミズク

官報では、自己破産の手続きをした人の名前が公開されてしまうけれど、破産者名簿は自己破産の手続きを進めたけれど、許可がおりなかった人だけが記載されるし、公開されてしまう事はない、ここが大きな違いだね。

では今回の記事のまとめだよ。

自己破産をしても破産者名簿に載る方は非常に少数です。

また破産者名簿は一般に公開されないので、これによって誰かに破産を知られる心配は不要です。

しかし免責を受けられないと借金が残るので、債権者からの督促が止まりません。

安全かつ確実に自己破産を進め免責を獲得するには、専門の弁護士によるサポートが必要です。

借金問題にお困りであれば、まずは債務整理に力を入れて取り組んでいる弁護士に相談してみましょう。

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福谷陽子

福谷陽子

京都大学在学中に司法試験に合格し、多重債務(債務整理)、離婚問題や交通事故、相続などの案件を担当し、自身で弁護士事務所を運営。その後体調不良により弁護士事務所を一時閉鎖し、現在は10年間の弁護士経験を元に執筆に専念。

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