auやドコモなどの携帯料金の未払い・滞納には時効があるの?専門家が解説します

 

シカ
auの支払いを滞納している場合でも、普通の借金と同じように時効を成立させる事ってできるの?
ミミズク
そうだね、携帯電話の未払いも、5年を経過すると時効にする事が出来るけれど、時効の中断が行われていない場合にのみ、時効援用の手続きが出来るんだ。
今回の記事では、auなど携帯電話料金を時効にする方法や、携帯料金を滞納するとどんなデメリットがあるのかなど、詳しく見ていこう。

借金に消滅時効があり、それを過ぎると時効援用すれば返済しなくて良くなるというのは比較的広く知られていますが、auなどの携帯料金についてはどのような取扱いになるのでしょうか?

料金を滞納している場合はどんな対応がされるのか、時効がどのくらいで成立するのか、もし時効援用し債務を免れたとしたらどんなデメリットがあるのかなどを考えてみましょう。

携帯料金の滞納は時効にできるの?

貸金債権について、取引当事者のどちらかが商法上の「商人」であれば5年の消滅時効にかかります。

もし、滞納している状態で請求も受けず、債権者と連絡もせず5年のが経過しているのであれば消滅時効が成立している可能性も出てきます。


携帯料金についても同様に、商事債権として5年の消滅時効が完成すればそれを援用することによって支払いを免れることができます。

ただし、2020年4月に債権法が改正されているのでそれ以降に締結した契約についてはこちらの記事を参照してください。

合わせて読みたい

では、ずっと携帯料金を支払わずに5年逃げ続ければよいのでは?と思うかも知れませんが、そんなに簡単な話ではありません。

時効には天災等があった場合の「停止(完成猶予)」、債権の請求(とそれに伴う訴訟)や債務承認などの中断事由があった場合の「中断」があります。

これがあると、いったん完成が妨げられることになります。


滞納者への回収手続きについてはauもその他のキャリア(通信事業者)も長期滞納があればそのまま放置するはずがなく法的措置を取るため、何の対応もしなければ訴訟などを起こされて時効を中断される可能性もあります。

携帯電話料金を滞納するとどうなるの?

携帯料金の未納については、一定期間経過後にいったん回線の利用が停止されます。

キャリアによっても利用停止までの期間が異なりますが、auの場合は口座振替日から2週間後に停止されます。

※一時的な利用停止の場合、20時までにコンビニエンスストアかauショップで入金すれば30分程度で再び利用できるようになります。

また、auは滞納してから半年程度経つと「強制解約」という措置が取られます。

強制解約となってしまえばその後、すべてのキャリアについて新規の回線契約ができなくなりますが、これについては後述します。

携帯料金の滞納はサービサーへ債権が移行される

シカ
auの支払いを延滞していたら、知らない会社から督促が来たんだ。
auじゃないから放置していてもいいよね?
ミミズク
auなどの携帯料金を滞納していると、債権がサービサーと呼ばれる債権回収会社に譲渡されてしまうんだ。
知らない会社から督促が来たからといって決して放置してはいけないよ!

では、これまでの滞納分はどうなってしまうのでしょうか。

キャリア側では不良債権化した分の料金については直接に債権回収業務を行いません。

つまり、債権回収専門業者である「サービサー」に「債権譲渡」された上で督促が行われるというのが一般的な実務的処理方法です。

サービサーとは

「サービサー」という言葉を聞いたことがあっても何となく、どんなものかピンとこない人も多いでしょう。

平たく言えば

「債権回収には独特のノウハウが必要であり、手間もかかる。よって、不良債権を抱えた会社が回収業務を丸投げするために存在するのがサービサーである。」

ということなのです。

債権回収業務は法律事務ですので、本来であれば「弁護士、認定司法書士(所定の認定考査を受けて合格した司法書士が140万円を超えない債権について)」しか行うことができません。

債権回収会社(サービサー)はいわばその「例外」ということになります。

平成11年に施行された「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」によって債権回収業務が民間にも認められました。



このような仕組みになっていますが、要するにサービサーは元の債権者から「安く債権を買取り」その債権を「債務者から極力多く回収する」ことによって差額で利益を得ているのです。

ただ、やはり一般にこのような仕組みはわかりづらいため、サービサーから督促状が来た場合、「こんな会社は聞いたこともないから悪徳商法の類ではないか?」と思い、中身を見ないで処分してしまう人もいるようです。

しかし、とりあえず何らかの滞納がある状況でどこかの会社や裁判所から封書が来たら「とりあえず中身を確認する」ことは大切です。(ハガキで来る「最終通告書」のようなものはほぼ100%詐欺と考えて間違いありません。)

ニッテレ債権回収、星川法律事務所などから来たものはauの督促である可能性が高いといえます。

もちろん中にはこれらの会社や事務所を騙ってニセの文書を出す業者もいるので、封書の中に書かれた番号に電話する前に必ず「サービサーや法律事務所の公式ホームページ」を調べてそちらに連絡し、真偽を確かめることが大切です。

サービサーでも時効は可能?

上記のように債権には「消滅時効」があります。

たとえ途中でサービサーに債権譲渡されていたとしてもそのことで時効期間が伸びるわけではありません。

最後の携帯料金支払いの時から5年間督促も一切なく、債権者とコンタクトを取らずに経過していれば完成している可能性もあるということです。

ただ、やはり時効については「中断」している(期間がリセットされている)ことがしばしばあると考えなくてはなりません。

携帯料金の時効を成立させるには

シカ
auの未払いを時効にさせるにはどうしたら良いのかな?
ミミズク
時効の中断がない状態で5年経過しており、時効の援用という手続きを行えば、携帯料金の時効を成立させることができるよ。

では、仮に「時効が完成したはずだ」と確信を持てる場合はどのように対応したらよいのでしょうか。

5年で時効を主張可能

時効中断の具体的事由については、上記リンク先で詳しく解説した記事を参照してください。

もし、それらの中断事由が取られずに時効期間(最終支払から5年)が経過したと思ったら、「まず債権者(携帯電話会社やサービサー)には連絡を取らず、弁護士(司法書士)に事情を説明する」ことをおすすめします。

なぜなら、ここで債権者に連絡してしまうとそこでのやりとりの中で「時効中断にあたる行為」をさせられてしまうおそれがあります。

時効完成後に債権者とやりとりをして「全額でなくても、一部で良いので払ってください」と言われて支払ってしまえばそれにより時効の援用をできなくなるという裁判例があります。

自分では一切手を付けず法律家に任せれば、万一時効が成立している場合は時効を「適切に援用」することによって支払いを免れることができることがあります。

5年経過したら時効の援用を行う

もし時効が完成していることがわかった場合、「援用」をすることによってはじめて債務を免れることになります。

時効の援用は裁判上、裁判外のどちらでも行うことができますが、援用の証拠を残し、相手に確実に届けるという意味でも通常は「内容証明郵便」で行います。

郵便を送り、債権者から何のリアクションもなければ時効援用は成功したということです。

仮に時効が中断している場合、債権者から「このような事由で中断しているため時効は完成していない。だから支払ってください。」などの連絡があるはずです。

この連絡の際に対応を間違えると上記のような「債務承認」となってしまうこともあり得るため、事後の対応まで含めて法律家に依頼してしまった方が安心です。

携帯料金を滞納するデメリット

シカ
auを未払いにしたまま放置すると、どんなデメリットがあるの?
ミミズク
他の携帯会社もあわせて新たな契約が出来なくなってしまったり、延滞金が膨れ上がってしまったりするんだ。
その他にも、ブラックリストにのってしまうというデメリットもあるよ。

携帯電話は今や国民必須のツールになったため、年齢や収入を問わずほとんどの人が持っていますが、その一方で低所得者を中心とした滞納の問題も深刻です。

たかが携帯料金で裁判までしないだろうと気軽な気持ちで滞納してしまう人もいるのですが、実際には裁判まで持ち込まれる事例も少なくありません。

利用者側から見た「携帯料金を滞納した場合の具体的なデメリット」について考えてみましょう。

時効になることはほとんどない

携帯料金に限らないことですが、一定の規模以上の貸金業者であれば債権についてはコンピュータ上のシステムを使い厳密に管理しているはずです。

どれだけの債権を持っていても、仮に債務者から適法に時効を援用されてしまえばもう手も足も出ないからです。

必要に応じて請求をかけたり、訴訟や支払督促といった法的措置を取ったり、文書で債務承認させるなどの働きかけをします。

「自分は引っ越していて何も通知が届いていないから大丈夫」と思っていても、知らない間に時効が中断されていることもあります。

訴訟を提起したものの、債務者が届け出ていた住所に訴状が届かない場合は「公示送達(裁判所に掲示する)」という手段を使って裁判を起こし、勝訴判決を取る方法もあるからです。

よって、大手キャリアである債権者が時効の管理もせずに放置し時効を完成させてしまうということは非常にレアな事態でしょう。

延滞金が増えてしまう

長期滞納して時効も完成していない場合、怖いのが「遅延損害金(延滞金)が多額にのぼっている」ということです。

上記のように時効が完成していることはめったにないため、「もしかして時効?」と考えた場合でもすぐ弁護士(司法書士)に相談し、自己判断で「あと少しできっと時効だから払わないでおこう」といった「時効待ち」はしない方が賢明です。

携帯の新たな審査に通らない

「ひとつのキャリアで滞納して解約になっても他の会社でまた契約すればいい」というのは通用しません。

もしauを滞納し、支払っていない状態で強制解約されたら他のキャリアの審査にも通らない仕組みになっています。

携帯電話のキャリアは滞納者情報を共有しているのですが、これは「一般社団法人 電気通信事業者協会」に各社のデータが保有されているからです。

通信料金の滞納情報があることを「携帯ブラック」と呼ぶこともあります。

携帯ブラックの場合、通常の「CICなどの信用情報機関のマイナス情報(いわゆるブラックリスト)」とは違い、滞納を解消すればすぐにリストからは外れ、回線契約はできるようになります。

事故情報が残る

「新規の回線契約自体は回線料金滞納を解消すればすぐできる」ことと「新しく端末を分割で購入できるかどうか」はまた話が別です。

「端末代金の分割払い」を滞納した場合はCICなど、一般の信用情報機関のブラック情報に掲載されます。

つまり、クレジットカードを使い分割払いの条件で買った商品の支払いが滞っている状況と同じですから、他の債務と同様、5年間~10年間の制限を受けることがあります。

合わせて読みたい

もしそのような事態になっていたら、携帯電話の端末を「割賦購入(分割払い)」で契約することができなくなりますので、端末は「現金一括」で購入しなくてはならないことになります。

携帯料金は、他の貸金と比べて割と深く考えずに滞納してしまう人がいますが、一般の貸金と同じく、やはり滞納することによるデメリットはいくつもありますし、何よりも携帯電話が使えなくなれば日常の生活や仕事に大きな支障をきたします。

支払いが滞って通知等が来た場合は必ず放置せずに連絡を入れ、他の債務との関係で支払いが不可能と判断された場合は弁護士(司法書士)への相談も視野に入れておきましょう。

まとめ

シカ
auの未払いも時効にする事は出来るけれど、現実的に時効にする事は難しいという事が良くわかったよ。
ミミズク
携帯料金を時効にできる可能性は非常に低いけれど、もしかして時効が成立しているかも?!という時には、自分で動かずに弁護士に相談してみよう!
  • 携帯料金にも消滅時効は適用されるが、時効は債権者により中断されていることがほとんどであり、また、万一完成していても効を援用しなければ支払いを免れることはできない
  • サービサーなど見慣れない会社から通知が来たら滞納した携帯料金の督促である可能性もあるので中身を確認せずに捨てたりしてはいけない。
  • 携帯料金を滞納したまま放置すると回線の一時停止や強制解約、信用情報への掲載などさまざまなデメリットがあるため、どうしても支払えない状況であれば弁護士(司法書士)に相談することも検討する。
The following two tabs change content below.
西岡容子

西岡容子

青山学院大学卒。認定司法書士。
大学卒業後、受験予備校に就職するが、一生通用する国家資格を取得したいと考えるようになり退職。その後一般企業の派遣社員をしながら猛勉強し、司法書士試験に合格。

平成15年より神奈川県の大手司法書士法人に勤務し、広い分野で実務経験を積んだ後、熊本県へ移住し夫婦で司法書士法人西岡合同事務所を設立。

「悩める女性たちのお力になる」をモットーに、温かくもスピーディーな業務対応で、地域住民を中心に依頼者からの信頼を獲得している。
以後15年以上、司法書士として債務整理、相続、不動産を中心に多くの案件を手掛ける。

債務整理の森への寄稿に際しては、その豊富な経験と現場で得た最新の情報を元に、借金問題に悩むユーザーに向け、確かな記事を執筆中。

■略歴
昭和45年 神奈川県横浜市に生まれる
平成5年   青山学院大学卒業
平成14年 司法書士試験合格 
平成15年 神奈川県の大手司法書士法人に勤務
平成18年 司法書士西岡合同事務所開設

■登録番号
司法書士登録番号 第470615号
簡易裁判所代理権認定番号 第529087

■所属司法書士会
熊本県司法書士会所属

■注力分野
債務整理
不動産登記
相続

■債務整理の森閲覧者へのメッセージ
通常、お金のプロである債権者と、一般人である債務者の知識レベルの差は歴然としており、「知らない」ことが圧倒的に不利な結果を招くこともあります。
債務整理の森では、さまざまなポイントから借金問題の解決方法について詳しく、わかりやすく解説することに努めています。

借金問題を法律家に相談する時は、事前に債務者自身が債務整理についてある程度理解しておくことが大切です。
なぜなら大まかにでも知識があれば法律家の話がよく理解できますし、不明な点を手続き開始前に質問することもできます。

法律家に「言われるがまま」ではなく、自分の意思で、納得して手続きに入るためにも当サイトで正しい知識をつけていただけたら幸いです。

厳選!おすすめ記事BEST3

1
債務整理に注力しているおすすめの事務所一覧【徹底調査】

当サイトでは、実際の取材や債務整理の相談を行なった体験談をもとに、おすすめの弁護 ...

任意整理の費用と支払い方法でみる弁護士ランキング 2
任意整理にかかる費用相場と支払い方法別の弁護士・司法書士おすすめ一覧

借金に関する相談は、弁護士事務所や司法書士事務所において無料で行なうことができま ...

3
みどり法務事務所の評判の真実(悪評含む)を体験者の口コミや電話インタビューで徹底分析

目次1 みどり法務事務所の評判の真実を徹底分析2 みどり法務事務所の概要3 みど ...

 - 借金が返せないとどうなる?対策集